疎開とは、くっついているものや密集しているものを分散させることである。
特に、都市に暮らす人が空襲や災害を避けるために、地方に移住することを指す。
概要
「疎になるように開く」という意味。もともと軍事用語であり、行進している軍隊の兵を分散させて攻撃目標とされにくくすることを指す。
1940年代前半に、本土空襲への警戒からこの軍事用語を転用し、東京などの大都市に暮らしている人を地方に移住させることを指して「疎開」というようになった。「全滅」→「玉砕」のように、自国の敗北感を国民に与えないために「避難」を「疎開」に言い換えたという側面もあった。
特に戦時中は「学童疎開」と呼ばれる子供の疎開が盛んに行われた。疎開によってある程度空襲の危険は回避できたが、必ずしも疎開先の生活環境が良いわけではなく、栄養失調で亡くなった子供も多く出た。
なお、イギリスのバトル・オブ・ブリテンなど、他の国でも学童疎開を行った例がある。
これ以外に、人間ではない物の退避も「疎開」と呼ぶ場合がある。一画にある建物を取り壊し、空襲の延焼防止を図った取り組みを「建物疎開」と呼ぶ。例えば京都の御池通、堀川通
、五条通
は建物疎開によって道路が拡張された。横浜の根岸疎開道路
、大阪の疎開道路
など、建物疎開でできた道路の一部には「疎開道路」という名前が付けられている。
1962年の三宅島噴火には学童疎開が行われるなど、戦後でも「疎開」という言葉を使う事例が見られる。2020年には新型コロナウイルスの感染拡大により「コロナ疎開」と呼ばれる地方観光・移住の傾向が見られた。しかし、感染症の回避のために疎開を行うと、地方にも感染症が拡大し、非感染地域が一切なくなってしまう危険性があるため、感染地域の住民は引っ越したり観光したりせずに、自宅にとどまるべきである。詳細は「コロナ疎開」の記事も参照。
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