『機動戦士ガンダムF91』とは、1991年公開の富野由悠季監督の劇場アニメである。宇宙世紀ガンダムシリーズの一つ。
概要
監督 | 富野由悠季 |
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脚本 | 伊東恒久 富野由悠季 |
音楽 | 門倉聡 |
制作 | サンライズ |
製作 | サンライズ 山浦栄二 |
配給 | 松竹 |
初代機動戦士ガンダムの宇宙世紀0079年から40年以上経過した宇宙世紀0123年が舞台。前作「逆襲のシャア」で、初代ガンダムから続いていた連邦とジオン・アムロとシャアの争いに一区切りをつけ、大きく時代が進み、前作までのキャラを一切登場させないなど、リニューアルの意味を含めた作品でもある。
当初は新しいガンダムシリーズの旗揚げ的な存在としての企画だった。
作風や雰囲気、構成なども今までのガンダムシリーズと意図的に大きく変えているとされる。これは本作以降の「Vガンダム」「ブレンパワード」「∀ガンダム」にも共通する、宇宙移民という1stガンダムの頃からのSF思考に代わって環境問題や人種差別、宗教などのテーマを舞台にするという富野由悠季監督の意図したものだという。実際、本作の時代背景は宇宙世紀となってから100年以上経った後の物語であり、人類が十分宇宙に馴染んだ時代ということ、人間が宇宙に住む事で人が革新するのか?というNT論争も前作で片付いたことなどもあって、宇宙世紀自体も大きな転換期に入った、ガンダム新時代の物語ということになる(「Vガンダム」も同様。ガイア・ギア?知らん。)。故に、こういった斬新な部分に惹かれるガンダムファンも多い。
全体の作品テーマは「家族論」。前作の逆襲のシャアに比べると分かりやすく、身近な部分に作品テーマをあてており、シーブックとセシリーのドラマを中心に描いていたこともあって、富野監督は本作を「ストーリー的には成功」とも語っている。
また、戦争描写もフロンティア1という一般人と身近な舞台をメインにしている為、戦闘に巻き込まれ子供を残して死ぬ母親、アーサーなんだぜ?、自律型殺戮兵器『バグ』の存在など、生々しく殺伐とした描写も多い。
スタッフは初代機動戦士ガンダムを手がけた複数の主要スタッフが再び集まっている。(富野由悠季 安彦良和 大河原邦男 他)
元々この映画はTVシリーズの1クール目(12話分)として企画されていて、放映後は本作の続編のTVシリーズが企画されていたが、頓挫したという経緯がある(単体映画にもかかわらずシーン毎の作画にムラがある、などという指摘も一部にあるが、それは元々この映画のフィルム自体が当初はTV版用に製作されたもであるからという説もある)。そのためかエンドクレジットはなく「To be continued」で終了しており、今もなお直接の続編などで『F91』の詳細な結末は描かれずにいるままとなっている。
だが、富野監督は「機動戦士Vガンダム」の企画段階において、本作のTVシリーズ化後の構想の一部を取り入れている事をVガンダム放送開始前のインタビューで明かしている。そちらは当該記事を参照のこと。
なお、劇場版の話の前後の状況は富野由悠季による小説版「機動戦士ガンダムF91前編・後編」(角川スニーカー文庫刊)に語られているので、興味の持たれた方は一読を薦める。(映画だけでは分からない部分も小説で補完されている)
主題歌が売れた事と、長谷川裕一の漫画作品「機動戦士クロスボーン・ガンダム」に繋がったのが救い。
オープニングでコロニーのハッチが切り裂かれ、弾け飛ぶハッチからクロスボーン・バンガードのモビルスーツがコロニーに侵入するシーンは劇中でタイトルバックが挿入される場面であるほか、予告編などでも使われたことなどから有名なシーンである。
あらすじ
「シャアの反乱」から30年が過ぎた、宇宙世紀0123年。外敵を失った地球連邦政府は緩慢な肥大化と腐敗を進行させていた。そんな中、「一部の高貴な人間が人類を導くべきである」とする「コスモ貴族主義」を掲げる資産家のマイッツアー・ロナは、私設軍隊「クロスボーン・バンガード(CV)」を秘密裏に創設していた。
コロニー「フロンティアⅣ」に暮らす学生のシーブック・アノーは、学園のマドンナであるセシリー・フェアチャイルドら学友と学園祭を楽しんでいた。だが、フロンティアⅣを本拠地と定めたCVと連邦軍が戦闘を開始し、彼らは戦いに巻き込まれてしまう。戦火の中セシリーとはぐれたシーブック達は連邦軍の練習艦スペース・アークに避難し、CVへのレジスタンスに加わる。
技術者の母が制作に関わった白いモビルスーツ「F91」のパイロットを務めることになったシーブックは、セシリーの身を案じつつ戦場に赴く。だがその頃セシリーは、生き別れた実の父であるCV司令官カロッゾ・ロナと対面し、CVの象徴として祀り上げられようとしていたのだった……。
主な登場人物
- シーブック・アノー - 声:辻谷耕史
- 主人公。ニュータイプ。コロニー「フロンティアIV」の工業学科の学生。クロスボーンの侵攻で避難した避難民だが、母がF91の開発スタッフだった事から、「親が作ったなら相性がいいだろう」と言う酷い理由でF91に搭乗させられた。ただし初搭乗したモビルスーツは、博物館に展示されていたガンタンクR44である。
- 名前の由来はシー(See=見る) ブック(book=本)で、「見本」だとか。その名の通り、一癖も二癖もあるガンダムパイロットの中では優等生的な性格。
- カロッゾ・ロナ(鉄仮面) - 声:前田昌明
- ロナ家の娘婿。妻には娘を連れて、しかも間男と逃げられている。
- 人類の10分の9を抹殺しろと言われて人を殺すだけの機械「バグ」などを開発。鉄仮面をかぶる。強化人間として改造されたと言う説が有力で、生身で宇宙空間を移動できるなど人間離れしている。
- セシリー・フェアチャイルド(ベラ・ロナ) - 声:冬馬由美
- ヒロイン。本人も知らない事だったが、カロッゾ・ロナの娘。ナディア・ロナとシオ・フェアチャイルドとともに出奔し、パン屋の娘として暮らしていた。
- 避難中にクロスボーン軍に回収され、クロスボーン・バンガードの旗頭「ベラ・ロナ」として祭り上げられてしまう。
- ビルギット・ピリヨ - 声:塩屋翼
- 連邦軍のパイロット。ヘビーガンに乗り新米パイロットのシーブックを良く補佐したが、クロスボーンの無人兵器バグの餌食となり、戦死。
- ザビーネ・シャル - 声:梁田清之
- 眼帯を付けたクロスボーンのエースパイロットで、黒いカラーリングが施された「黒の部隊」と言うモビルスーツ部隊を率いる。
- 鉄仮面とは思想が異なるが立派な貴族主義者で、ベラ・ロナをクロスボーン・バンガードのシンボルに仕立て上げようとした。
- いわゆるライバル的キャラクターながらシーブックとは因縁が薄いが、後のクロスボーン・ガンダムでは死闘を演じる。
ボンボン版
大まかなストーリーは映画版に沿っているのだが、シーブックの性格がおかしい事になっている。
例を挙げると
- 全体的に妙に性格が軽く、のんき。そして食いしん坊。
- セシリーと普通に仲が良く「ちゃん」付けで呼ぶこともある。
- 「もう無茶苦茶ザンスー!」「そったらーッおちゃめによけやがってーッ!」
「こいつは最強のガンダムどわーーーッ!!」「超スーパーすげぇどすばい・・・・」
などと、感情が高ぶると妙な田舎弁になる。 - モビルスーツでの戦闘も総じてアグレッシブ。ガンタンクでパンチしたり(しかもミサイル付きの腕で)
F91乗る時もノリノリで「カッコいいシーンはビデオでとっとくの忘れンなよなー」
友軍がやられたからとはいえ、感情昂ぶってヴェスバーを撃っちゃう(勿論躊躇無し) - 挙句、ラフレシアを「チンポコユリ」呼ばわり。
- クライマックスの決め台詞が「これでゲームオーバーだ ド外道ーーーッ!!!」
ついでに言うと、作者はグロ過ぎる事で有名なボンボンの怪作「はじけてザック!」の作者と同じであり、そのせいかバグによる虐殺シーンがアニメ以上に濃く描写されている。
こんな作品ではあるが、これでも ボンボン版Vガンダムよりは改変は少ない方である。あとドレルは完全にチョイ役、ザビーネがカマセ役。
主な楽曲
- ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~ - 主題歌
- 歌:森口博子 / 作詞:西脇唯 / 作曲:西脇唯・緒里原洋子 / 編曲:門倉聡
- この曲はNHK紅白歌合戦にて歌われた3つのガンダム曲のうちの1つである。
- (1991年。2つ目は2004年度出場『SDガンダムフォース』の「ココロオドル」。3つ目は2015年度『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の「オルフェンズの涙」。)…が、純粋なシングル売り上げでは「RHYTHM EMOTION」が最高であるとの話がある(ソース要)
- 君を見つめて -The time I'm seeing you-
- 歌:森口博子 / 作詞:井荻麟、茂村泰彦 / 作曲:茂村泰彦 / 編曲:門倉聡
- 上記のカップリング曲。劇中では使われていないが人気がある。
- もともとはこちらが主題歌、ETERNAL WINDが挿入歌として使われる予定だった。
関連動画
関連項目
- ガンダムシリーズ一覧
- ガンダムシリーズの関連項目一覧
- ガンダムシリーズのMS・MAの一覧
- アニメ作品一覧
- スーパーロボット大戦シリーズ登場作品の一覧
- F91
- フォーミュラー戦記0122
- 機動戦士クロスボーン・ガンダム
- アーサーなんだぜ?
- しかも脳波コントロールできる
- ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~
ガンダムシリーズ(映像作品) |
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