信玄餅とは、山梨県の銘菓である。信玄餅には桔梗屋が販売する「桔梗信玄餅」と金精軒が販売する「信玄餅」が存在するが、本記事ではその両方を含む菓子そのものについて解説する。
概要
信玄餅とは、黄粉がかかった餅に黒蜜をかけて食べるお菓子である。桔梗屋のものは求肥(餅米粉に砂糖や水飴などを加えて練ること)にちょうどよく加工することで、味を保ちつつ日持ちを良くしている。販売形態としては容器の中に餅が入っており、それに黒蜜がタレ瓶(弁当の醤油やソースを入れている容器)で付属してあり、プラスチック製の風呂敷でそれらがまとめられている。そして、風呂敷の結び目には楊枝が付いていて、それを用いて食べるようになっている。
桔梗屋は信玄餅の由来について、山梨県でお盆の時期に食べられる「安倍川餅」をヒントに作ったとしている。それに対して金精軒は信玄餅の由来について、武田信玄が出陣の際に非常食として用いた切り餅に由来するとしている。
特徴
- 信玄餅には保存料が全く使用されていない。しかし、桔梗屋のは前述の通り求肥加工をしているので、10日ほどは保つ。一方金精軒のは求肥加工していない餅を使用しており、風味は桔梗信玄餅より上と言われるが賞味期限は5日ほどと短い。現在でこそ桔梗屋・金精軒ともに山梨県外でも販売しているが、交通手段が未発達だった(中央自動車道が山梨県内で全通していなかった)1980年頃は賞味期限の短さから金精軒のは県外で販売することが困難で、桔梗屋との知名度の差が発生する要因にもなっている。
- 信玄餅が売られるときには容器をいくつかにまとめて売られているが、6個入り及び8個入りの物の袋は「信玄」に因んで信玄袋になっている。
- 信玄餅に容器に入ったまま上から黒蜜を掛けると、黒蜜が容器からあふれてしまう。そうしたことがないように、菓子メーカーが公式に食べ方を紹介している。
内容は主に餅を上手くどかして、その隙間に黒蜜を流し込むといったものだが、中には容器を包装している風呂敷の上に信玄餅をすべて出し、その上から黒蜜をかけて手で揉むといった奇抜なものまである。
歴史
信玄餅ができる以前の山梨県では、果物や生のブドウを使った「月の雫」と呼ばれるお菓子しかお土産品がなかったため、年中を通して安定して売ることができるものがなかった。また、昭和35年頃から洋菓子ブームが起こったため、これに対抗する和菓子を作るという目的で製作されたとされている。その後、大河ドラマ「天と地」や映画「風林火山」で武田信玄が注目を集めたことで山梨県の観光客が増え、それに乗じて信玄餅の知名度も上がっていった。
桔梗屋の「桔梗信玄餅」は「2017年 JR東日本おみやげグランプリ お菓子部門 金賞」、「2012年~ 3年連続モンドセレクション金賞」といった賞を取っており、金精軒の「信玄餅」は「第18回全国菓子博覧会有功金賞」、「第19回全国菓子博覧会審査総長賞」といった賞を取っている。
派生商品
桔梗屋は「桔梗信玄餅」の派生商品を多数販売している。以下に列挙すると、
といったようである。また、ハローキティのご当地ストラップなど食べ物以外の派生商品も出している。
一方で金精軒は、高級版の「極上生信玄餅」、ゆべし風の「くるみ信玄餅」、そして「寒天信玄餅」(2018/12/01現在休止中)とあまり多くない。ただ、金精軒の店舗で期間限定で販売している「水信玄餅」は各所で話題となった。
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