『ラスト レムナント』 (THE LAST REMNANT) とは、スクウェア・エニックスより発売されたロールプレイングゲームである。略称は「ラスレム」。
概要
製作はスクウェア・エニックスの『サガ』チームで、閃き・陣形・連携など『ロマンシング サ・ガ』シリーズのシステムを色濃く受け継いだ作品である。『サガ』スタッフが「作り手として、もうRPGは卒業していい」と言うほどの自信作で、『サガ』シリーズ最高傑作との意気込みが伺える(ただし正式な『サガ』シリーズではない)。
ゲームシステムの理解度が強さに繋がる『サガ』らしいゲーム性とバランスにより、評価が極端に分かれる作品である。
特にPC版の2週目で選択できる「乱殺マニアクス」の高難度は『サガ』シリーズらしい突き放し具合である。とは言っても、『アンリミテッド:サガ』ほど説明不足だったりプレイヤーを放置していたりはしない。
ゲームエンジンにはUnreal Engine 3を採用している。
発売機種
Xbox 360版は2008年11月20日に全世界で同時発売された。
PC (Microsoft Windows) 版は2009年4月9日に発売された。発売当時のゲームとしては要求スペックはやや高め。公式サイトでベンチマークと体験版が無料配布されているので、購入前に確認されたい。
PC版は、システムのパワーアップや英語音声の収録、パラメータ再調整や新技追加などが図られている。特にリーダーユニットの上限がなくなった点が大きな違いとして挙げられる。360版とは別ゲーと評する者も。
なお、本作は『スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-』・『インフィニット アンディスカバリー』と共にスクウェア・エニックスのXbox 360向けRPG発表会にて発表されたものであるが、そのときにプレイステーション3版も発売予定であるとの案内が出されていた。ところがPC版が発売されてからもPS3版の情報は音沙汰無く、開発スタッフの言動や和田社長の発言からすると発売中止になったものと推測される。
PS4版は2018年12月6日に『ラストレムナントRemastered』のタイトルで配信予定(3980円税別)。
ゲームエンジンの変更、PC版の追加要素が含まれているとの事。
描画負荷について
Xbox 360版はテクスチャ貼りの遅延、高い描画負荷による処理落ち、『サガ』らしい癖の強い独特なシステムと難度、奇妙なキャラクターモーション、といったものにより不名誉な知名度を得た。
この処理落ちやテクスチャ遅延については、360のシステム設定でD5(1920x1080p)、D4(1280x720p)からD2(720x480p)、D3(1920x1080i)に解像度を落とすことでかなり軽減される。 また、キャラクター数の多さ=処理負荷なので、バトルに参加させるキャラクターを少人数にするという軽減策もある(これら負荷軽減策はPC版でも有効)。
PC版は国産ゲームとしては要求スペックが高いが、スペックアップすることで高解像度と高フレームレートを両立できる。古いドライバやウィンドウモードではSLIやCrossFireといったマルチGPU技術が有効にならない模様。アンチエイリアスは標準サポートされていないため、グラフィックドライバ側で設定するか、GeForce系なら外部ツールを使用することで適用可能。
なお、エンジン設定ファイル内には垂直同期 (VSync)、異方性フィルタ (Anisotropy)、バリアンス・シャドウマップ (VSMShadows)、近傍フィルタ処理付きカスケード・シャドウマップ (PCFShadows)、といったシステム設定に項目のない要素もあるが、多くがFALSE(非適用)となっており、値を増やしたりTRUE(適用)にすることで更なる画質の向上、あるいは負荷軽減を図ることもできる。もちろん自己責任であり、各項目の意味を理解していないと効果的でないことも多い。この設定書き換えによる描画変更は他のUnreal Engine採用タイトルでも同様に可能である。
システム
- ユニオン
- 最大5キャラクターで作るチームをユニオンと呼び、戦闘の一単位となる。ゲーム進行と共に最大5ユニオン、合計18人まで増加していく。Xbox 360版はリーダー(ユニークキャラクター。一般兵以外の固有のグラフィックをもつキャラを指す)数の制限もあったが、PC版ではリーダー数制限は撤廃された。
所属キャラクターのHPの合計がユニオンのHPとなり、これをゼロにすることでユニオンを倒す(Terminated)事が出来る。最大値は9999の為、これを超えるようなレベルまで育てたキャラクターは分散させる方が良い。また個別のHPもそのまま適用されている為、1キャラに攻撃が集中し、そのHPがゼロになる事でも気絶(KO)する。
陣形により様々なボーナスが付く為、効果を上昇させるべく陣Lvを優先して1ユニオンにキャラクターを集中させるか、分散させて行動の自由度を増すかという選択も迫られる。
ユニオン編成はテキトーに済ませると大いに苦戦する、重要要素である。 - バトル
- 『ラスト レムナント』のバトルはダンジョン内をさまよう敵と接触することで戦闘開始となる、シンボルエンカウント方式。基本的にプレイヤーがエンカウントトリガーを発動する(戦闘を仕掛ける)事で開始されるが、敵から接触されるとENEMY ADVANTAGEとなって先制攻撃を受けるなどマイナス要素が大きい。
戦闘が始まるとまず「叩きのめせ!」「警戒しながら攻撃しろ」など、指示の内容がバトルコマンドとして表示され、各キャラクターはこの指示を元に自分の行動を決定し実行する。バトルコマンドは味方や敵ユニオンの位置、距離、状態によって変化するため、その時々で適切な指示を出していくことが重要。バトルコマンドは固定ではなく数十種類の中からランダムで提示される為、編成や育成、あるいは運次第でHPが減っても回復コマンドが出現しないなど、サガらしいシビアさもある。
RPGでありながらSLG的でもあるこの独特の戦闘が本作の魅力の一つである。 - クエスト
- クエストとは街のパブで受けることができる特殊な依頼で、クリアすることで報酬等を得ることができ、時には依頼人自らゲストとしてパーティに参加することもある。さらに依頼達成後、依頼人が正式なメンバーとしてパーティに参加することもある。
- ギルド
- 主人公のラッシュ達が旅の中で立ち寄る街には、ギルドが存在する。ギルドの中ではバトルユニットの雇用解雇から、バトルに関するアドバイスなどを聞くことができ、時には役立つ情報などが聞ける。ギルドで雇うことのできるユニットはゲームの進行やギルドアドベンチャーの達成、クエストをクリアすることによって増えていく。
尚、選択や進行によって雇用出来なくなるキャラクターもいる。 - レムナント
- 「何だかよく分からないが強い力をもった代物」的な存在。宝石や昆虫など大小様々な形をしていて、巨大な大砲型のゲイ・ボルグなど、中には戦闘中の武器になるものも存在する。
サガ・フロンティア2のクヴェルやメガリスに似るが、利用には代償があり、契約者の居ないブランクレムナントと呼ばれる状態で放置されるとコラプスと呼ばれる災害を引き起こす。
LPシステムが無いからか使用してもゲームシステム上は一切代償が無く、ストーリー上の演出や設定に止まる。
レムナントにはサガシリーズの有名な武具の名が多く使われている。 - 種族
- 人間型のミトラ族、蛙の様なクシティ族、魚の様なヤーマ族、猫の様なソバニ族という4つが主なものである。
FF11を類似例とすれば、それぞれヒューム、タルタル、ガルカ、ミスラ+エルヴァーンといった所。
標準的なミトラ、小型で素早く知力に長けるクシティ、大型で腕力と耐久力に優れるヤーマ、四本腕による火力の高さと長命による知識を深さを兼ね備えた希少種ソバニ、というのが大まかな方向性。
これ以外にジャーナ族といった獣人も存在するがモンスター区分となっている。
主な登場人物
- ラッシュ・サイクス
- ミトラ族。空気を読まない主人公。シスコン。服は学ランをモチーフにしたデザインとなっている。
研究者である両親と仕事で離れ、レムナントの存在しないユラム島で妹イリーナと共に暮らしていたが、彼女が拉致された事でその捜索の旅に出ることとなった。
唯一、装備を自由に変更可能なキャラクターであり、ファイティングアーツ、ミスティックアーツ、アイテムアーツの全てを修得可能な唯一のキャラクター。(PC版では設定を弄ることで他のキャラの装備も自由に変更可能となる)
その特性と強力な固有技の存在で主力となる。ちなみにPC版ではパーティから外す事も可能。
礼儀を置き去りにした(悪い意味での)フレンドリーさに突っ込みが絶えない。 - イリーナ・サイクス
- ミトラ族。ラッシュの妹。ブラコン。ポニーテール。
攫われた彼女を助ける為、ラッシュの旅が始まった。
芯の強い、気丈な性格。 - ダヴィッド・ナッサウ
- ミトラ族。アスラム侯領を治める若き君主。浅黒い肌と金髪のイケメン。
大砲型レムナント『ゲイ・ボルグ』(及び銃型レムナント『ケレンドロウス』)の契約者で、寿命を削るという設定のあるゲイ・ボルグを連発してくれる頼もしいキャラ。能力自体は平均的。
君主とは思えない(良い意味での)フレンドリーさをもつ。 - エマ・ハニウェル
- ミトラ族。アスラム四将軍の一人。代々武芸者として知られるハニウェル家の当主。
そのあまりに男前な姿にプレイヤーからの求婚が絶えない熟女。
ここまで熟女が評価されるのも珍しい。CV.田中敦子も理由だろうか?
ゲーム上では専用武器の二刀流だが、その象徴的シーンでは何故か1本のみである。 - トルガル
- ソバニ族。アスラム四将軍の一人でリーダー格。黒猫っぽい。
四本腕と長い寿命、人と交わらぬ気難しさが特徴のソバニとしては珍しく友好的な性格をしている。
その四本腕による抜群の攻撃力を誇り、終盤は強力なウェポンアーツまで扱う。
Xbox 360版ではバグや仕様による不遇もあったがPC版では修正されている。 - パグズ
- クシティ族。アスラム四将軍の一人で参謀役。リアルケロロ。
その高い知力と術法でパーティを支え、プレイヤーからパグズ様・パグズ神などと呼ばれる。
老境の彼が見せる微笑みは癒し効果抜群である。残念ながら受け付けない人もいる。 - ブロクター
- ヤーマ族。アスラム四将軍の一人。こんな見た目でも24歳と若く、君主ダヴィッドとは共に育った幼馴染。
脳筋のようでいて紳士だったり、やっぱり脳筋だったりする。
高い腕力から繰り出される攻撃は威力抜群だが、終盤はコレといったものが無く、武器も今一つな為、攻撃面では息切れしてしまう。その一方、専用装備ワンダーバングルにより防御面に優れ、バングルさんと呼ばれる。 - イェーガー
- ミトラ族。ラッシュの妹イリーナを攫った組織の一人。刺青のある銀髪ドレッドの黒人。
飛行するレムナント『ロブオーメン』の契約者。
汚れ仕事を請け負っているものの、根っからの悪人ではなく性格自体は陽気。 - ワグラム
- ミトラ族。イリーナを攫った組織の一人。
各種アイドルや地獄門といった強力なモンスターの召喚や長距離移動など強力な術法を操る謎の魔導士。
慇懃無礼というよりは他人を見下した立ち振る舞いを見せる。
何故かズルズルと引き摺っている裾の長さに突っ込みが入らない。 - 覇王
- ミトラ族。誰が呼んだかラスレム界の範馬勇次郎。
レムナントを受託する為に辺境より軍を率いて諸侯集う聖都エリュシオンに乗り込むなど通例を無視した破天荒さを見せる。
片手で都市の巨大な門扉を突き破り、放り投げるなど化物地味た描写がされているように人外の強さをもつ豪傑だが、某オーガの様な戦闘マニアではなく、達観したかの様な淡々とした平静さが窺える。 部下にロエアス、カスタネア、七人衆という一騎当千の兵がいる。
スタッフ
- エグゼグティブプロデューサー:河津秋敏(代表作:サガシリーズ全般)
- ディレクター:高井浩(代表作:ロマサガ1、2、3、ミンサガ)
- アートプロデューサー:直良有祐(代表作:フロントミッション4、5、アンサガ、ミンサガ)
- コンポーザー:関戸剛(代表作:武蔵伝、ミンサガ)
関連動画
関連リンク
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