ベネッセとは、株式会社ベネッセコーポレーションのことである。本社は岡山県岡山市に所在。教育事業などの展開で知られている。
概要
幼児向け「こどもちゃれんじ」や小・中・高校生向けの「進研ゼミ」といった、幅広い層を対象とした通信教育事業が有名。その他にも語学、介護、生活情報などを事業領域とする。
1955年福武書店として創業し、1995年にベネッセコーポーレーションに商号を変更。それまでは文芸誌や人文学などの出版も手掛けていたもののそれらは90年代に撤退、現在の事業領域に至る。
2000年には東証一部に上場。進研ゼミ会員の急激な増減にも耐える安定した業績をもち、新卒者の就職先としても高い人気を誇る。DMや配送の諸問題で不評はあるものの、最近では文部科学省とのつながりを深める事でテスト事業などへと参入するなど、新たな分野における事業の拡大を図っていた(しかし、後述の問題につながってしまうことに…)。
過去にはパソコン教室のアビバ社や通訳・翻訳サービスのサイマル・インターナショナル社もグループ会社であったが、近年になって他社に売却[1]・譲渡[2]されている。
ベネッセでは現在まで紙面、スマホアプリ、タブレット端末、アニメDVDなど様々な形で教材を提供し続けているが、一風変わったところでは家庭用ゲーム機を利用した学習教材をリリースしていた事もあり、ファミリーコンピュータにテープレコーダー内蔵の機器『スタディボックス』、ワンダースワンの一部仕様を変更した(カートリッジ形状や本体形状が異なる)携帯教育機器『ポケットチャレンジV2』、ニンテンドーDSソフト『得点力学習シリーズ』、オリジナルのソフト交換式携帯ゲーム機『チャレンジギア』などを展開していた。
多くの教材は店頭販売ではなく、進研ゼミの会員として入手するかベネッセのサイト経由でしか購入できなかった。ゲーム機向け教材などは基本セット販売である為、値段もそこそこ高かった。稀に運が良ければリサイクル店やフリマサイトで目撃される場合もあるが、多くの場合中古で見かけるのは極めて少なく、一昔前の特定の教材を買い求めることは困難なことがほとんどである。
ニコニコ動画においては教材や販促DMのネタが多く評価されており、上記の企業風土とはまた違った意味で有名な会社だったりする。(関連項目も参照。)
主な事業
教育
介護・保育
グローバル
雑誌出版
主なグループ会社
不祥事・問題
2014年 個人情報流出事件
2014年6月、ベネッセのみに登録された顧客の宛先に他社からDMが届く事例が報告されるようになった。
これを受けて同月27日より調査が行われたところデータベースの管理に従事していた派遣社員のSEによって名簿業者三社に対し進研ゼミの会員などのベネッセの顧客の個人情報が不正に売却・流出していたことが発覚[4]。7月に会見が開かれ役員が謝罪した[5]。当時の原田泳幸社長兼会長は6月21日に就任したばかりで、その矢先のことであった。
流出された個人情報は最大で3504万件にも及び、近年の個人情報流出事件の中では最大の被害をもたらした[6]。マクドナルドを立て直した立役者でもあった原田社長兼会長(当時)はタブレット学習への転換などで巻き返しを図ったが振るわず引責辞任。これらを受けて2年間でのべ100万人もの会員が減少、3期にわたり減収減益が連続することとなった[7]。
その後代替わりした安達保社長によるコストカットや進研ゼミのサービス刷新などが功を奏し、3年後の2017年にはなんとか黒字に転じ、徐々に回復に向かっている。
2019年 大学新入試問題
ベネッセは安達社長の指揮のもと、不祥事を受けた転換の一環として大学の入試改革にかかわる業務に組織をシフト、2017年には採点業務のために学力評価研究機構を開設、国語・数学の採点業務を受託。また大学入試の模試試験や英語の技能検定「GTEC」の展開、学生のポートフォリオサービス「JAPAN e-Portfolio」の運営受託、学習支援サービス「Classi」「EDUCOM」など、入試にかかわる数多の事業を展開していた。
しかし2019年10月、萩生田文部科学大臣が「身の丈に合わせて」と格差を容認する発言をしたことなどにより関連の問題が指摘されるようになり、前述の採点業務受託のほか、GTECの運営を共同で行っていた「進学基準研究機構」の役員に文科省の次官が天下りしていたことが発覚したり、ベネッセの子会社が共通テスト記述問題の正答例を事前に把握していたことが発覚[8]。
2020年7月には「JAPAN e-Portfolio」の運営許可取り消しが報じられるに至った[9]。
2020年 Classi不正アクセス事件
ベネッセとソフトバンクの合弁子会社として運営されていた「Classi」の学習支援クラウドサービスにおいて、不正アクセスが行われていたことが2020年4月13日に明らかとなった。
これにより教員を含む全ての利用者約122万人分のユーザーID、パスワードの暗号化された文字列、自己紹介文が流出した恐れがあるという[10]
「Classi」の記事も参照のこと。
関連項目
脚注
- *ベネッセHD(9783)PC教室最大手のアビバを売却 - M&Aキャピタルパートナーズ
- *株主変更に関するお知らせ - サイマル・インターナショナル
- *以上の事業は公式ホームページ、特に「事業内容」のページに基づく。
- *事故の概要 - 株式会社ベネッセホールディングス
- *ベネッセ、情報漏洩3504万件に 補償は500円の金券 - 日本経済新聞
- *「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査 - 東京商工リサーチ
- *ベネッセ「3期連続減収減益が明確に」 原田会長兼社長が退任 - 日本経済新聞
- *英語民間試験の市場は約123億円か ベネッセに天下り者多数の利権構造 - ライブドアニュース
- *大学入試の新システム 運営許可取り消す方向 - NHKニュース
- *122万人分のID流出 教育アプリにサイバー攻撃 高校の約半数利用 - 産経ニュース。
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