ワンダースワン(WonderSwan)とは、1999年3月4日に発売されたバンダイの携帯ゲーム機である。
のちに、ワンダースワンカラーが2000年12月9日、スワンクリスタルが2002年7月12日に発売された。
概要
「ワンダースワン」という名前は、故横井軍平氏が名付けたものである。後に発売される「ゲームボーイアドバンス」と比較すると、初期のモノクロは言うまでもなく、カラーやクリスタルでさえも消費電力が低い。初期のモノクロであれば、単三電池1本で十数時間稼働させることが可能である。
ワンダースワン誕生
任天堂を退社して独立した横井軍平氏が発案したゲーム機だが、彼自身は1997年に不慮の事故で他界したため発売時には立ち会えなかった(退社したのは1996年で横井氏は55歳だが、別にバーチャルボーイの不振の責任で退社したのではなく、別のことをしたいという願望があった)。
同時発売ソフトは「チョコボの不思議なダンジョン」、「電車でGO!」、「新日本プロレスリング闘魂列伝」といったプレイステーションでも人気のあった作品の移植に加え、横井軍平氏の形見の作品と言える「GUNPEY」の4タイトルであった。
ハードメーカーであるバンダイはゲームボーイにもソフトを供給していたが、ワンダースワンが出てからしばらくはワンダースワンのみに注力していた。ちなみに、開発はトーセが大半を請け負っている。
ハードの重さは電池入れても115グラム。横井氏の任天堂時代最後の開発ハードのゲームボーイポケットより軽い。画面はモノクロだったが、アルカリ単3電池1本で、音量を最小にすると40時間連続利用できた。
ワンダースワンカラー登場、あのRPGが携帯ゲームに初のリメイク
ワンダースワン発売から1年9か月、ワンダースワンカラーが誕生した。
スクウェアはこの時期(明確なソースはないが)任天堂との関係が悪化しており、任天堂ハードへの参入を拒まれたことからやむを得ずワンダースワンに参入したとされている。
携帯ゲーム機としては初のリメイクであるファイナルファンタジーシリーズをひっさげて登場。ワンダースワンカラー発売と同時に「FFI」、のちに「FFII」、「FFIV」をリメイクした。ただ、念願の移植が決定した「FFIII」や「聖剣伝説2」、「Sa・Ga2 秘宝伝説」は開発が難航(というより「FFIII」は既にほぼ完成だった)し、ワンダースワンカラーから4ヶ月後にゲームボーイアドバンスが発売され、発売タイミングを逸してしまい、発売を中止。「ロマンシング サ・ガ」や「魔界塔士 Sa・Ga」も移植された。
因みに、エンターブレイン調べのワンダースワン歴代売り上げTOP3はスクウェア関連が独占(FFI、II、チョコボの不思議なダンジョン)。
発売当初は売り上げも好調だったが、前述のとおり、4ヶ月後に出たゲームボーイアドバンスに話題を持っていかれ、すぐに下火になってしまった。
また、バンダイは任天堂にとってのシャープのようなパートナー企業を持っておらず、「ゲームボーイアドバンス」等多くの携帯ゲーム機に採用されていたTFT液晶を確保出来なかったため低品質なSTN液晶を採用せざるを得なくなってしまった。このため、ワンダースワンカラーではカラー画面のちらつきが大きく(これは画面のスクロールで顕著)、アクションゲームなどには不向きであった。
この問題は後継のスワンクリスタル(2002年7月発売)で解消されている。
発売タイトル総数197、ワンダースワンシリーズ販売台数国内280万台。
ワンダースワン音源
ワンダースワンは内蔵スピーカーの質の低さもあり誤解されているが、実は音源としてかなり優秀な面を持っている。
ステレオ出力のできる4chの波形メモリ音源を持ち、2ch目をPCM音源に使用でき、3ch目にスイープ機能がついていて、4ch目はノイズが出力出来る。但し、後者の機能を使う場合、そのchでは波形メモリは使用できない。
波形メモリ音源において、波形データは4bit × 32step(つまり16段階で指定出来る要素が32個指定できる)であり、GBの波形メモリ音源とほぼ同等であるが、GB音源は波形メモリ音源が1パートである。
2ch目は、先程述べた通り波形メモリ音源かPCM音源かを選択して演奏させることとなる。PCMの場合は8bitのサンプリングデータを直接出力して演奏させる。「カードキャプターさくら」等に使われたボイスはこのチャンネルで演奏している。
3ch目には、周波数を時間とともに一定の割合で変化させる機能であるスイープ機能が付属している。これは波形メモリ音源で演奏するときに同時に使用できる(同時に使用するものである)。
4ch目は、前述のとおり波形メモリ音源かノイズ音源かを選択して演奏させることが出来る。ノイズの場合は8種類のホワイトノイズを使用することが可能。
ワンダースワンでは左右の音量は別々に出力しているので、左右の音量を調節することによりステレオパンが設定出来る。
しかし、ステレオ出力しているというのは別売りの変換プラグがなければ分からない(というのも、ワンダースワンは省電力化のためヘッドフォンプラグを用意していないので)。
beatmania for WonderSwanは、携帯機とは思えないほどの意外な高音質で衝撃を与えた。
ワンダースワン音源はWonderWitchにより実機で制御でき、Wonder Swan Total Sound Driver(WTD)を使うことでPC上でエミュレート出来る。
余談
バンダイが発売していたためか、10年以上前のゲーム機が「ゲームを要素にした特撮ドラマ」である「仮面ライダーエグゼイド」の主人公の回想シーンに登場した。
仮面ライダーのスポンサーもバンダイであるための登場と思われるが、その懐かしいチョイスに放送中のツイッターのトレンドに入った。
ニコニコ動画でのワンダースワン
ワンダースワンタグで708件ヒット(2018年11月現在)。
関連商品
関連項目
- 横井軍平
- バンダイ(現バンダイナムコゲームス)
- 仮面ライダーエグゼイド(スポンサーつながりで回想に登場)
- 携帯型ゲーム機一覧
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