概要
ピンボールとは、金属球を2つのバー(フリッパー)を用いて弾き、場にある的(ターゲット)に当てていくことで得点を増やすゲームである。
バーとバーの間には空間があり、その空間に球を落とすと失敗となる。また場の左右にも同じ空間に連なる穴が空いていることがあり、そちらに球を落としても失敗になる。仕組み上、操作に失敗しなければ1クレジットで半永久的にプレイすることが可能なゲームである。
それ故の時間に対するインカムの低さや、繊細な機械部分のメンテナンスにかかるコストのためか、はたまた末期に版権モノばかり乱発したためか、何れにせよ現在では世界的に絶滅危惧種であり、国内に入ってくることもほぼなくなっている。
どうやって遊べばいいのか?
まず基本事項だが、お金を入れたら台にあるスタートボタンを一回だけ押すこと。複数回押すと多人数プレイと判断されてクレジットを損することが多い。またスタートボタンは「台にボールを出す」ボタンではないので、ボールが落っこちても慌てずボールが用意されるのを待とう。ここで押してしまうと前述のとおりクレジットを損する。
実機でプレイするときは上から覗きこむのではなく、姿勢を低くして台全体を見渡すようにプレイするとボールの動きに対応しやすい。一番下だけでなく台の上の方にもフリッパーがある場合もあるので、盤面をよく観察しよう。
ピンボールを構成する要素
基本的に好きなところへボールを打って遊べばいいのだが、打ち込むと得点がおいしい場所や、ピンボール独特の仕掛けが色々と存在する。基本的には盤面の矢印型ライトが点滅していたら、そこが指す場所を狙って打ち込むと良い。また、打ち込む順番が数字で書いてあるライトもある。
フリッパー
ボールを弾くバー。台の左右にあるボタンで操作する。上げっぱなしてボールを受け止める、隣のフリッパーへボールをパスする、あえて打ち返さずにボールをぶつけて勢いを殺す、など色々なテクニックがある。左右両方のフリッパーを無闇に上げるとボールが落ちやすいので、片方だけで打ち返すのが基本。バンザイは避けよう。
メインギミック
台にある豪華な仕掛け。打ち込むと派手なアクションが起こったり、後述のミニゲームが始まったりと効果は色々。台を派手にした反面、ルールやメンテの複雑化も呼び込んだ近代ピンボールの象徴的な存在。
ターゲット
ボールを当てると得点がもらえる標的。左右に移動しているものや、複数個が組になっていて、全てに当てると高得点の「ドロップターゲット」などもある。
レーン
ボールの通り道。奥の方に数本あり、ボールを全てに通すと様々なボーナスが貰える「トップレーン」、スロープになっている「ランプレーン」、フリッパーへボールを流す「リターンレーン」、リターンレーンの横で待ち構え、ボールを下へ落とす「アウトレーン」などがある。
バンパー(マッシュルームバンパー、キノコバンパー)
接触したボールをガンガン弾き飛ばす丸いパーツ。スマブラにも登場したアレである。数個が組になって設置されていることが多い。上手く利用すれば得点のチャンスだが、ボールに勢いがつくのでコントロールが困難になることも。
スリングショット
フリッパーの近くにあるハンペンのような三角形の仕掛け。バンパーの一種であり、ボールに無慈悲な往復ビンタを喰らわせてアウトレーンへ突き落とすことも多いクセモノのヤクモノ。
キャプティヴボール
レーンにボールが仕込まれており、ボールがぶつかるとビリヤードの如く奥のターゲットにぶつかる仕掛け。ラムネ瓶のビー玉みたいな物なので、店員さんに取ってもらったりしないように。
プランジャー
ゲーム開始時にボールを台へ打ち込む装置。人力で引っ張ってバネの力でボールを飛ばす。思い切り引っ張って打つ人も多いが、ゆるく打ち込むと「スキルショット」として得点がもらえる台もあるのでよく観察すべし。スイッチで自動的にボールを飛ばす台もあるが、「ボールシューター」と呼んで区別したりする。
ミニゲーム
特定の条件を満たすと始まるイベント。開始時はモニタに「◯◯ MODE」などと表示されることが多い。内容は制限時間以内に指定のターゲットへボールを当てる、指定のレーンへボールを通す、バンパーにボールを指定の回数ぶつけるなど。クリアすればボーナスが貰える。
揺らし
誤解を恐れず言えば、ピンボールは「揺らして遊ぶ」ゲームである。球を盆に乗せて揺らすと球が動くが、ピンボールも同じように、台を揺らして球の軌道を調節する。後述のピンボールエミュでも揺らしは必ずと言っていいほど実装されており、実機のピンボール台も揺らすことを前提に作られている。危ないと思ったら恥とTILT(後述)を恐れず揺らそう。
ただし台パンだけは簡便な。
英語
おそらく日本人にとって最大の壁。アナログの実機や後述のピンボールエミュなどを含め、ピンボール台には盤面のライトや台のモニタに描かれた文字(しかも英語)くらいしか情報がないため、特に日本人の初心者はいざ遊ぶと何をすればいいか戸惑うことが多い。ここでは躓きやすいピンボール特有の用語を紹介する。
TILT
揺らしすぎの反則。フリッパーなどがロックされ1ボール飲まれる。思い切り揺らす、台を持ち上げるといった狼藉を働くと「SLAM TILT」と表示され、1クレジット飲まれてしまう。TILTを起こさない範囲で揺らして遊ぶのが肝である。
FREEZE
PCのフリーズとは違い「動くな」「落ち着け」の意。ピンボールには開始早々ボールが落ちると救済措置で1ボール遊ばせてくれる機種があり、その際に表示される。「もう1ボールオマケしてやるから、落ち着いてボールが用意されるまで待て」ということである。「BALL SAVED」などと表示されることもある。
EXTRA BALL
いわゆる1UP。「SHOOT AGAIN」のライトが点灯するなどして、もう1ボール遊べることを教えてくれる。
MULTI BALL
複数個のボールが登場するモード。高得点のチャンスとなるが、気が散ってボールを落としてしまわないよう注意が必要。突入の布石として台のどこかにボールを蓄える「BALL LOCK」という段階を経る台もある。「BALL LOCKED」などと表示されたら次のボールが用意される(または自動で打ち出される)ので、「MULTI BALL START」や「BALL LOCK」などのライトが光っていれば引き続き狙おう。
登録商標のためこの名称が使われていない機種もあるが、複数のボールが出たらコレだと考えておけばいい。
JACKPOT
大量得点が貰えるボーナス。盤面でこれが書かれたライトが光っていたら積極的に狙うといい。MULTI BALL突入中しかJACKPOT獲得のチャンスがない台も多い。
MATCH
正しくは「MATCH NUMBER」といい、ゲーム終了時に表示される。画面に表示された数字と自分のスコアの下二桁が同じならもう1ボールおまけで遊べるというもの。見逃して立ち去ったりしないように。
ピンボールエミュ
本来のピンボールはアナログゲーム(エレメカ)であるが、その挙動を家庭用ゲーム機やコンピュータの画面上で可能な限り再現した「ピンボールエミュ」と呼ばれるソフトも作られている。現在、国内で一般的に楽しめるピンボールといえば、そういったピンボールエミュとなるだろう。
ピンボールとしての再現度を重視するか、アナログでは不可能な要素を入れて再現度を犠牲にする代わりに、ゲーム性を重視するかは開発者の裁量次第である。
ピンボールエミュで有名なものとしては、Windows 95 Plus! 以降、Windows XP までのマイクロソフト製OSにバンドルゲームとして標準搭載されている、"Windows 3D ピンボール" がある(Full Tilt! Pinball からの移植、架空の台"Space Cadet"の再現)。
また、任天堂よりファミリーコンピュータ用ソフトとしてリリースされた"ピンボール"を始めとした、家庭用ゲーム機やPCゲームの様々な台も忘れてはいけないだろう。
現在広くマニアに楽しまれているピンボールエミュとしては、定評のある挙動再現と吸出しされた実機ROMのエミュレート機能(著作権的な問題も同様に孕むが)により人気の高い"Visual Pinball" + "pinmame"や、高い要求スペックを誇り、また挙動再現では劣るものの(特に垂直同期OFFやスペック不足時)、フル3Dによる美しいグラフィックを持つ"Future Pinball"などがある。
いずれもPC用フリーソフトであり、またエディタ機能を搭載しており、実機再現からオリジナル台まで自由に製作することが可能となっている。各コミュニティでは様々な台がリリースされており、飽きることなくピンボールを楽しむことも出来るだろう。(前述した特徴と、Future Pinballのエディタのほうが使いやすいことにより、Visual Pinballは実機の再現台が多く、Future Pinballはオリジナル台が多くなっている)
関連動画
関連項目
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