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コレラとは、細菌性感染症の一種である。元はインドの風土病だった。
概要
コレラ菌(Vibrio cholerae)はグラム陰性桿菌に分類される通性嫌気性菌の一種であり、海中や真水中に存在する細菌である。コレラ毒素による症状をコレラというが、コレラ毒素を生産しないコレラ菌による食中毒はコレラとはならない。
現在、コレラ菌は菌体表面のO 抗原(リポ多糖体)の違いによって、205種類に分類されており、そのうちコレラを発症するのはO1とO139の一部である。逆に言うと、コレラの典型的な臨床症状を起こす原因物質はコレラ毒素であるので、この2つの型がコレラ毒素(コレラトキシン、コレラエンテロトキシン)を生産する型ということになる。O1が主な病原菌であり、O139によるコレラは稀。
経口感染が主な感染経路で、コレラ菌に汚染された水や食料を摂取することで感染する。食物中にたまった毒素により、または胃酸で死滅しなかったコレラ菌が腸内に侵入し増殖した菌から毒素が生産される事で、発症する。
日本で発症するコレラは基本的に海外から持ち込まれたものである。海外旅行中に発症するケースが多い。
日本の感染症法では腸管出血性大腸菌O157感染症や細菌性赤痢、腸チフス、パラチフスと同じ三類感染症となっており、感染者は陰性になるまで飲食業やサービス業などへの就業が制限される。また、学校も出席停止となる。
症状・対策など
- 潜伏期間
- 汚染された物を摂取してから数時間~5日。通常1日程度で発症する。
- 症状
- 軽症の場合は軽い下痢と腹痛、重症になると水のような下痢便(“米のとぎ汁様 (rice water stool)”と形容される)と激しい嘔吐がみられる。下痢の量は1日10ℓを超えることも珍しくなく、発症から完治までに体重の2倍に及ぶこともあるという。下痢による重度の脱水症状が併発する。
- 高熱や激しい腹痛を伴うことはまれであるとされる。
- 治療法
- 十分な水分と電解質を取って安静にすること。重篤な場合は抗生物質を投与する。
- 予防
- 汚染された物を摂食しないこと。現在のところ実用的なワクチンや特効薬は存在しない。
関連動画
関連項目
- 感染症
- 食中毒
- 細菌
- グラム陰性菌
- 下痢、嘔吐
- 腸炎ビブリオ…コレラ菌と同じビブリオ属に分類される細菌。
- ビブリオ・バルニフィカス…敗血症や壊死性筋膜炎を起こすこともある非常に危険な細菌。
- O157
- 細菌性赤痢
- 腸チフス、パラチフス
- ノロウイルス
- ロタウイルス(ロタウィルス)…主に乳幼児に感染する胃腸炎の原因ウイルス。コレラと同様に白色の水様便が出るのが特徴。
- 豚コレラ (名前以外に直接の関係は無い)
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