遊戯「貴様が真の黒魔術師使いなら聞こえるはずだぜ。主に裏切られ犠牲となったカードの…魂の嘆きが!」
ある決闘者「魔導サイエンティストの効果で紅陽鳥召喚!そしてカタパルト・タートルで射出!」
闇のプレイヤーキラー「な…なに!自らのモンスターを犠牲にする気か!」
カタパルト・タートルとは、漫画「遊☆戯☆王」及びアニメ「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」に登場するカードである。通称「亀」。
遊戯王OCGにも登場し、古くは【サイエンカタパ】デッキ(後述)のキーカードとして猛威を振るい、登場から24年後(エラッタから13年後)にヌメドラ射出罪で禁止カードに指定された。
概要
初登場は「決闘者の王国編」の遊戯VS闇のプレイヤーキラー戦。
闇のプレイヤーキラーの「闇晦ましの城」に対抗するため、自らの「竜騎士ガイア」を射出し、浮遊リングを破壊した。
日頃からモンスターとの絆を重要視し、勝利のためにモンスターを墓地に送るのは間違っている、などと言っていたはずの遊戯がなんと自らのモンスターを犠牲にするという行動をとった(しかも笑いながら効果を説明していた)ことから、よく突っ込まれることが多い。
「これもアクナディン(大邪神 ゾーク・ネクロファデス)って奴の仕業なんだ」ということだろうか。まあ和希先生は「最初の頃はゾークの影響を受けていた闇遊戯が罰ゲームしなくなったのは性格が柔らかくなったから」という旨の発言をしている→罰ゲームを下してた頃の闇遊戯は割と鬼畜な性格ということなので・・・
VS孔雀舞戦でも使用。「洗脳―ブレイン・コントロール」(原作版、OCGでは「・」がない)でコントロールを奪った「ハーピィズペット竜」を射出、「銀幕の鏡壁」を破壊した。
原作の効果はアニメ・OCGとは大きく違う。ルール自体が違っていたり、初期ゆえにルールが整っていなかった部分も多いので仕方がないと言えばそうだが。
無理矢理OCG風に表現するなら
- 自分フィールド上のモンスターの攻撃力を500アップさせ、そのターンのバトルフェイズ終了時にそのモンスターを破壊、そのモンスターの元々の持ち主が攻撃力の半分のダメージを受ける効果
- 自分フィールドのモンスター1体を生け贄に捧げ、相手フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を破壊、その後生け贄に捧げたモンスターの元々の持ち主が攻撃力の半分のダメージを受ける効果
の2つの効果を持っているということになるだろうか。
アニメではOCG効果に直された上でオリジナルストーリーなどでの出番が増えている。
VSレベッカ戦ではコントロールを奪った「千年の盾」を射出していた。
「乃亜編」では、ビッグ5が使用。「伝説の都 アトランティス」の効果でレベルを落としたうえで生け贄なしで召喚され、「ヒステリック天使」を射出して城之内にダメージを与えた。
直接このカードとは関係がないが、関連する話を少々。
「バトルシティ編」のVSパンドラ戦でパンドラはエンドフェイズにモンスターを生け贄に捧げダメージを与える「エクトプラズマー」を使用していたのだが、これに対して遊戯は否定的で、「決闘者はカードとの絆を断ち切ったとき敗北の谷底に落ちる」などと発言していた。
王国で自分がやったことを忘れたのだろうか?あるいは、王国~バトルシティまでの間に遊戯(表遊戯)や仲間たちと接することで考え方が変化したという可能性もある。
さらに「キャノン・ソルジャー」(アニメ版効果)を用いたレベッカに対しても、「勝利のためにモンスターを墓地に送るのは間違っている」「墓地に送ったモンスターへの敬意を忘れてはいけない」と言っている。ホプキンス教授も同様のことを言っており、少なくともアニメの世界では射出系効果はモンスターとの絆を忘れた、よろしくないものらしい。王国編はともかく、射出効果をよく思っていないのは表遊戯も闇遊戯も共通のようだ。
そして、このカードの最も印象深い場面が、アニメオリジナル「ドーマ編」のVSラフェール戦(1回目)だろう。
「光の護封剣」で攻撃を防ぐラフェールに対して、「オレイカルコスの結界」によって心の闇に染まった遊戯はこのカードを召喚。そしてパンドラ戦で自らが批判したはずの射出効果を使用、最も信頼するはずのカードとの絆を裏切り、「ブラック・マジシャン」、「ブラック・マジシャン・ガール」を射出してラフェールにダメージを与える。だが、「サクリファイス・リミテッド」によって生け贄に制限がかけられていたためにラフェールのライフを削りきることができなかった。
そして、ラフェールは「ガーディアン・エアトス」を召喚、遊戯が裏切ったモンスターたちの力によって「ガーディアン・エアトス」の攻撃力は10000まで上昇。モンスターたちの怒りを受け遊戯は敗北した。
さらに、その後の表遊戯の幻とのデュエル。闇遊戯が「光の護封剣」で表遊戯の攻撃を防ぐのに対して、表遊戯の幻がこのカードを使用、「クイーンズ・ナイト」、「ブラック・マジシャン・ガール」を射出するという、闇遊戯に自身の罪を思い知らせるような行動をとった。
このデュエルでは闇遊戯が「聖なる突風-ディバイン・ウィンド」(効果ダメージを無効にし、倍のダメージを相手に与えるカウンター罠、発動条件のない「クリムゾン・ヘルフレア」)を発動し、表遊戯の幻のライフを0にしている。
先ほど、アニメではOCGと同じ効果、と書いたが、ラフェール戦での様子をみると、ラフェールが、生け贄に捧げた「ブラック・マジシャン・ガール」に対して「収縮」を発動していることから、OCGとは違い、生け贄に捧げるのはコストではなく効果であると思われる。
このカードの効果を使用する際に射出すると表現していることから、遊戯王関連ではカードをコストにダメージを与える効果を使用することを俗に「射出する」ということがある。
GX以降の作品での登場は今のところないが、遊戯デッキのレプリカにこのカードがあるのが確認できる。
また、アニメ5D'sでボマーが使用した「ダーク・ダイブ・ボンバー」、漫画5D'sで遊星が使用した「カタパルト・ウォリアー」など、射出効果を持ったモンスターは敵味方問わず様々なキャラクターによって使用されている。彼らはみな、墓地へ行ったモンスターたちに敬意を払い使用しているのだろうか。
OCGにおいて
2000年1月27日に発売された第1期ラストのパック、「Vol.7」で登場した。
(テキストはマスターデュエル準拠)
効果モンスター(禁止カード)
星5/水属性/水族/ATK 1000/DEF 2000
①1ターンに1度、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。
リリースしたモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
攻守は控えめだが、自分フィールド上のモンスターを生け贄に捧げる(リリースする)ことで相手にダメージを与えることができる効果を持つ。
上級モンスターゆえにアドバンス召喚(生け贄召喚)は少々大変だが、その低ステータスのおかげで「リミット・リバース」や「グリズリーマザー」などでの特殊召喚は比較的容易。
モンスターをリリースすることでダメージを与えられるが、1ターンに1度しか使用できないため、1体リリースしたところで得られるダメージはたかが知れており、上級モンスターを出す手間や高攻撃力のモンスターを失うに見合うだけのリターンを得にくい。
どうしても使うならばこのカードを特殊召喚しやすい「グリズリーマザー」などを採用したデッキになるだろうか。
旧テキスト・テキストの変更(エラッタ)について
初登場時から「BEGINNER'S EDITION 2」(2011年発売版)までのこのカードのテキストには「1ターンに1度」の記述がなく、1ターンに何度でも使用可能であった。そのため、リリース要員さえ大量に確保できれば一気に1ターンキルを行えた。これを突き詰めたデッキとして有名なのが【サイエンカタパ】と呼ばれるものである。
【サイエンカタパ】デッキでキーとなるのは「魔導サイエンティスト」と「カタパルト・タートル」、そして融合デッキ(エクストラデッキ)にあるレベル6以下で攻撃力が高い融合モンスターたちである。
「魔導サイエンティスト」、「カタパルト・タートル」をフィールドにそろえればそれだけで準備完了。後は相手にとっての地獄が待っている。「魔導サイエンティスト」の効果によって融合デッキからモンスターを特殊召喚し、「カタパルト・タートル」でそれを射出、を繰り返すだけである。当時は今ほどダメージを防ぐカードがそろっておらず、これに対抗することが難しかった。
先攻1ターン目に決められるとほぼ妨害不能であり(現在ならば「エフェクト・ヴェーラー」、「ハネワタ」など、ある程度妨害可能)、そのため当時の大会はじゃんけん大会などと言われるほどであった。
サイエンティストの効果には1000のライフコストが必要なので、攻撃力2000以上の融合モンスターを中心に用意しておきたい。また、ライフコストが途中で足りなくなったら「神秘の中華なべ」、「非常食」あたりで回復しよう。当時は融合デッキの枚数制限がなかったので、中華なべ用の生け贄要員も入れられた。
この【サイエンカタパ】デッキは猛威をふるい、一時期は大会上位が皆このデッキという事態にまでなった。そんなものが放っておかれるはずもなく、2005年3月1日には「魔導サイエンティスト」が禁止カードに指定されてこのデッキは消滅した。
【サイエンカタパ】デッキの消滅によってこのカードを見かける機会は減ったものの、リリース要員さえ用意できれば1ターンキルが行えるため、いろいろとデッキを考えることはできた。
たとえば何度でも融合できる「フュージョン・ゲート」と除外以外のほとんどの場所から融合できる「チェーン・マテリアル」の組み合わせで「魔導サイエンティスト」の代わりをさせたり、「凡骨の意地」で通常モンスターを手札にため、「決戦の火蓋」で特殊召喚、このカードでリリースの流れを繰り返すものなど、いろいろある。しかし、【サイエンカタパ】デッキに比べればキーカードの多さや、当時に比べてサーチ系カードの規制が厳しくなっていることなどからそう流行することはなかった。
しかし、「決闘王の記憶-決闘者の王国編-」(2014年3月8日発売)の情報がVジャンプ誌上で公開された際、そこに収録されるこのカードのテキストに「1ターンに1度」の記述が追加されていることが判明し、後に公式サイトでもテキスト変更についての告知が掲載された。2014年3月8日以降は、旧テキストのカードもこの新テキストとみなして使用することになる。
この変更によって、このカードを1ターンキルのパーツとして用いることはほぼ不可能となった。当時は特に猛威をふるっているわけではないのだが、このカードを特殊召喚しつつ射出する弾を何度でも大量に用意できるP召喚の実装を前に1ターンキルの芽を摘む意図があったのだろうか。
その後「キャノン・ソルジャー」をはじめとした射出するモンスターにも射出回数にも制限の無いカードが全て禁止カードに指定されたが、既にエラッタされていたこのカードは現在も規制されずに済む……かに思われた。
そして禁止へ
ターン1制限があるならどうってことはない。
攻撃力16000以上のモンスターをリリースすればワンキル成立といわんばかりに様々なデッキが開発された。とはいえ、超高火力のモンスターを用意しつつこのカードをサーチ、場合によっては召喚権をこのカードに費やすなど所詮はロマン展開でしかなかった……2023年までは。
2023年の登場した【ホルス】は、レベル8モンスターを複数並べることが可能。
レベル8モンスター4体から適当なランク8モンスターと《No.97 龍影神ドラッグラビオン》をX召喚、ラビオンの効果で《No.100 ヌメロン・ドラゴン》を特殊召喚。ヌメドラの効果で自身の攻撃力を17000にすれば、後はアドバンス召喚したカタパルト・タートルでヌメドラを射出して8500のダメージを与えて先攻ワンキルが成立する。消費手札の枚数が多いのがデメリットだが、ワンキルに複雑な手順が要らないのは大きなポイント。
更に2024年5月に強化された【タキオン】は1枚初動でワンキルが可能になってしまった。特に、《時空の七皇》はEXデッキの《CNo.101 S・H・Dark Knight》を見せるだけでこのカードをサーチ出来る点は大きい。
このように、実用的なワンキルがカードプールの変化と環境のインフレで編み出された結果、OCGでは2024年7月1日、禁止カードに指定された。
マスターデュエルでは【タキオン】強化は未登場だったが、【ホルス】ワンキルが可能だったため同年7月11日、禁止カードに指定された。
最後に
アニメでは射出効果が快く思われておらず、特にドーマ編ではこのカードが悪者のようにも見えてしまう状態であった。だが、このカードには罪はなく、射出も一つの効果でしかない。最も大事なのはカードを信頼する心であり、アニメでも言われているように、リリースしたモンスターたちへの敬意を忘れないことが最も重要である。そのモンスター達は、決闘者のためにその身を捧げてくれたのである。
ライトロードなど、墓地に大量のモンスターを置くことが当たり前のようになっているこの時代、ラフェールほど極端にとはいわずとも、少し墓地に行くモンスター達のことを考えてみてはいかがだろうか。
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