【ローマ=末続哲也】イタリアで、独裁者ムソリーニを擁護するベルルスコーニ前首相の発言が引き金となり、ムソリーニの評価を巡る論争が起きている。 前首相は1月27日、ミラノでホロコースト(ユダヤ人虐殺)犠牲者の追悼式に出席し、報道陣にムソリーニについて、「(ユダヤ人を差別した)人種法制定は最悪だが、良いことも多く行った」と、持論を展開。ナチス・ドイツと同盟を組んだことも「ドイツの勝利」が見込まれた中、やむを得なかったとの認識を示した。 追悼式での発言だったため、国内では「不適切で歴史的根拠を欠く」(ユダヤ人団体)、「わが国はナチスやファシズムとの戦いに立脚しており、容認できない」(中道左派「民主党」報道官)などの批判が殺到。ファシズムの擁護を禁じる法律を根拠に、前首相の訴追を求める動きも出た。 これに対し前首相が率いる中道右派の政治家からは「ファシスト政権が、社会保障保険公社を作るなど、社会福