1.我が国の大学院の課題 グローバル化が進展する知識基盤社会において,専門分化する膨大な知の体系を俯瞰しながら物事の本質を捉え,新たな価値を創造し,人類社会が抱える未知で複雑な課題の解決を先導する高度な人材として,博士の重要性はますます高まっている。 我が国の博士課程は,優れた修了者を輩出し,我が国の高い研究力を牽引してきたものの,産学官を問わず十分に活躍しているとは言えない。その背景として,教育が個々の担当教員の研究室で行う研究活動に依存する傾向にあることが指摘されている。我が国の博士が,アカデミアはもとより広く産学官の中核的人材としてグローバルに活躍していくためには,広範なコースワークや複数専攻制,研究室のローテーションなどの専攻分野の枠を超えた体系的な教育を経て独創的な研究を計画し遂行させるなど,博士課程の5年間を通じて一貫したプログラムを構築することが必要である。 2.「博士論文研