最近、あるブログ記事が話題になっていたので読んでみた。翻訳という職業が生成AI(人工知能)の登場によってなくなってしまうという内容だ。以前から言われていたことなのでテーマとしての目新しさはないが、翻訳を職業とする筆者の仕事がゼロになってしまったという体験を基にしており、現実の切実さに多くの人が関心を持ったようだ。
このブログ記事には、賛否両論の多くの意見が寄せられている。AIによる機械翻訳は品質が足りないので、それを補うために逆に翻訳者の仕事が増えているという同業者の意見もあった。下訳(大まかな翻訳)をAIに任せることで作業効率が上がったという翻訳者もいた。
この筆者は、多くの人は機械翻訳によるコスト削減にしか興味がないとも主張する。その裏には「AIによる機械翻訳のレベルは人間に及ばない」という前提がある。機械翻訳の影響で「人間の側が翻訳に対する要求水準を下げ始めた」とブログ記事に書いているからだ。
たしかに、顧客が翻訳に高い品質を求めなくなっているという風潮はあるだろう。しかし将来的には、機械翻訳のレベルが低いという前提がそもそも成り立たなくなる可能性がある。
なぜなら、現在のAIは機械学習をベースにしているからだ。機械学習では、基本的に学習を進めるほど成果物の品質が上がっていく。「機械翻訳で十分」という顧客が増えたのは、AIによる機械翻訳のレベルが徐々に上がっていき、最低限の品質の要求を満たせるレベルに達したからだ。将来的には「人間並み」あるいは「人間を超えた」と評されるようになるかもしれない。
AIエージェントが自律的にソフト開発
この筆者は翻訳という仕事が消滅することを危惧しているが、私には翻訳よりも先にAIに駆逐されると考えられる仕事に心当たりがある。ほかでもないプログラミングだ。