中国の自動車メーカーが続々と、中国新興DeepSeek(ディープシーク)のAI(人工知能)モデルの車両搭載に乗り出している。同社は低コストで高性能なAIモデルを提供できるとして、2025年1月末から急速に注目を集めている。自動車メーカー各社は主にコックピットシステムにDeepSeekの大規模言語モデル(LLM)「DeepSeek-R1」を導入し、音声AIアシスタントなどの性能を高めるという。
中国・浙江吉利控股集団(Geely Holding Group、吉利グループ)や同・東風汽車集団(Dongfeng)など、複数の地場大手の自動車メーカーが中国のSNS(交流サイト)「微博(Weibo)」や「微信(WeChat)」で明らかにした。
吉利グループの主力メーカーである中国・吉利汽車(Geely Auto)は、自社のAIモデル「星睿(Xingrui)」にDeepSeek-R1(以下、R1)を統合する。2025年2月6日に複数の中国メディアが報じ、吉利汽車がWeChatの投稿で認めた。R1の導入によって、ユーザーの漠然とした意図を正確に理解したり、車内外のシーンに基づいてユーザーの潜在的なニーズを分析したりできるようになるという。これにより能動的な音声対話機能を提供し、車両とユーザーによる双方向のやり取りの精度を高められるとする。
吉利グループ傘下で高級電気自動車(EV)を手掛ける中国Zeekr(ジーカー)も、コックピットシステムにR1を導入する。同社副社長の林金文氏が2025年2月7日に「(Zeekrの)コックピット開発チームは、独自開発のAIモデルとR1の統合を完了した」とWeiboに投稿した。同社の音声AIアシスタント「Eva」において「より先見性のある知的なサービスを提供できるようになる」(林氏)とする。