新学期の悩みに答えます!

新学期、痛くない中耳炎に要注意 治療とホームケアのポイントは?

2024.05.13

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森泉萌香
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新学期が始まって1カ月。体調を崩していませんか? 風邪を引いた後やアレルギー性鼻炎、副鼻腔(ふくびくう)炎が続くとき気をつけたいのが「痛くない中耳炎」。親が知らない間に悪化し、難聴を引き起こす可能性があります。新しい集団生活が始まる4、5月は急性中耳炎にかかりやすくその後の経過に特に注意が必要だそうです。早期発見や治療のポイントについて、自治医科大学付属さいたま医療センター耳鼻咽喉・頭頸部外科長の吉田尚弘医師に聞きました。

吉田尚弘

話を聞いた人

吉田尚弘さん

医師

(よしだ・なおひろ)自治医科大付属さいたま医療センター耳鼻咽喉・頭頸部外科教授、科長。1989年に東北大医学部を卒業後、東北大耳鼻咽喉・頭頸部外科に入局。97年ハーバード大留学。2010年から自治医科大学付属さいたま医療センターで診療にあたり、15年から現職。専門は中耳・内耳、鼻副鼻腔、涙道疾患。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医・指導医 、日本アレルギー学会専門医・指導医など。

――滲出性(しんしゅつせい)中耳炎とはどのような中耳炎ですか。

鼓膜の奥の中耳腔に水がたまってしまい、難聴を引き起こす中耳炎です。滲出性中耳炎には痛みがありませんが、鼓膜が振動しづらくなり、耳の聞こえが悪くなります。

中耳炎の中で最も多い急性中耳炎は耳の痛みや発熱を伴い、3歳未満とくに保育園など集団保育のお子さんに多い疾患です。急性中耳炎が治りきらず、また耳と鼻をつなぐ管(耳管)が閉じたままとなると中耳の粘膜から出た滲出液が引かずにたまってしまい、滲出性中耳炎に移行します。

――滲出性中耳炎になりやすい子どもの特徴やタイミングはありますか。

耳管の機能の良くない、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)、食道逆流症などの疾患をすでに抱えているお子さんに多いです。鼻の奥の「アデノイド」の肥大や耳管の短さなど、小さい時期特有の身体の構造も影響しています。急性中耳炎にも言えますが、集団保育を経験している子どもたちがなりやすいです。家庭内での喫煙もリスクを高めます。

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