目次

  1. サントー試作モデル、「何とかならんか」を断らない
  2. 2019年に事業承継 いきなり米中摩擦で受注減
  3. 息子から「こんなに人の役に立ってるんや」
  4. 家族会議で先代からかけられた言葉
  5. 鳴り続ける会社の電話
  6. もうちょっとを続けるうちに「廃業やめます」

 サントー試作モデルは、1個から1000個まで樹脂・軽金属の切削試作を手がける会社です。家電メーカーの部品を試作製作するのが主な仕事です。

サントー試作モデルの試作品
サントー試作モデルの試作品

 ただし、創業者である先代・重一さんの「何とかならんかと頼まれたらできるだけ断らない」という方針を受け継ぎ、奈良国立博物館向けに展示物を感光変質から守るための光ファイバーによるLED投光システムを試作開発したり、AI駅員ロボットのパーツを製作したり、ラグビー大会のトロフィーを他社といっしょにコラボ製作したりと、東大阪の町工場らしく幅広い仕事を引き受けています。

 2代目の山東基実さんが会社を継いだのが2019年6月。さあ、これからというときに、いきなり米中摩擦のあおりを受けて、受注が急減します。手持ちの現金が少しずつ減っていくのに、できることは工場の掃除のみ。先代の重一さんからは「つぶすために会社を譲ったんと違うぞ」と叱られてしまいます。

 今後の方向性も定まらないまま、コロナ禍へと突入していきます。枝未さんは「誰も正解が分からないなか、できることは手あたり次第、動きました」と当時を振り返ります。

サントー試作モデルの作業現場
サントー試作モデルの作業現場

 X(旧Twitter)やInstagramなどSNSやブログで情報発信を始めたり、MOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)のYoutubeに出演したり、展示会に出たり……。

MOBIO出展時社内発表の様子
MOBIO出展時社内発表の様子

 大阪府内の病院で、コロナ禍で物流が止まって、消毒液やマスク、フェイスシールドなどあらゆるものが品薄で困っていると聞くと、自分たちでできることはないかを考えて曇りにくいフェイスシールドを作って届けました。すると「これで頑張れる」と医師たちにとても感謝されたそうです。

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