美の革命家・GYUTAE 初写真集『FULL MOON』で魅せるメイクの無限の可能性 「ポジティブになれたのはメイクのおかげ」

GYUTAE 初写真集『FULL MOON』刊行

  SNSの総フォロワー数、約240万人を超える人気メイクアップクリエイターのGYUTAE(ギュテ)が、1月30日に初の写真集『FULL MOON』をリリース。30歳という節目を迎え、「本当の意味で人生が始まった」という20歳からの10年間を振り返り、月の満ち欠けにたとえた4つのチャプターで構成された1冊となっている。

  窮屈だった小さな世界から抜け出し、自分自身が何者なのかを探し求めた日々。持病の全身脱毛症によるコンプレックスを受け入れ、表現者として歩み出したことで見えてきた気づき……。GYUTAE自身が書きつづった文章と、当時の記憶や感情をベースに落とし込んで表現された写真たちが、ページをめくるたびに心を揺さぶる。

  メイクの力が見せてくれる希望と無限の可能性。そして、生き様を通して私たちに教えてくれる「自分らしく生きる」ことの大切さ。そんなGYUTAEが持つ繊細な感性とたくましいエネルギーが凝縮されたような1冊に仕上がった。この写真集をどのような思いで作ったのかという裏話、そして年々活躍の場を広げているGYUTAEが叶えたい新たな夢について聞いた。

■1枚1枚の写真に込められた、10年間の感情

――写真集のお話はいつから動き出したのでしょうか?

GYUTAE 写真集『FULL MOON』(講談社)

GYUTAE:去年の2月ごろに、知り合いを通じて「今このタイミングで、GYUTAEさんの写真集を私が作りたいです!」と言ってくださる編集者の方との出会いがきっかけでした。でも「僕の写真集なんて需要あるのかな?」っていうのが率直な気持ちでしたね。けれど、その方がすごい熱量で声をかけてくださったので。「そこまでおっしゃってくださるなら!」と作ることにしました。

――熱意に押されたわけですね。

GYUTAE:はい。以前に出したエッセイ本(『無いならメイクで描けばいい』(幻冬舎))のときもそうでしたが、僕はYouTube動画でけっこう赤裸々に話していますし、改めて本としてまとめて読みたい、写真を見たいっていう人がどれくらいいるんだろうって思ったんです。


――いざ写真集を作られるにあたってこだわられた点は?

GYUTAE:最初はパリとか海外に行ってキラキラとした写真集を作るお話もあったんです。それはそれで親しみを感じられる写真が撮れると思いましたが、僕としてはもっとディープな「作品集」と言いたくなるようなものを作りたいなと。というのも、ファンのみなさんって、僕のビジュアルもそうなんですけど、やっぱりメイクを楽しみにしてくださっている方が多くいらっしゃると感じていたので。

そこから、自分自身の20歳から30歳を表現するというテーマが固まりました。本当に怒涛の10年間だったので、そのときどきで何を感じていたのか、どういう思いがあったのかっていうのをノートに書き起こしていくところから始めたんです。でも、僕の頭の中にしかない世界観を、編集さんやスタイリストさん、カメラマンさんにどうやって伝えたらいいのかっていうところが難しかったですね。初めての経験でしたし。

――そこは実際にどのように共有したんですか?

GYUTAE:文字や絵で伝えるのはもちろんですが、イメージに近い画像を見せたりといろいろと試行錯誤をしながら、「こんな感じにやりたいんです」と。でも、予算とかの兼ね合いで「今回は実現が難しいね」ってなる案も結構ありました。

 例えば、大きな美術館みたいなところで僕が宙吊りになって、スポットライトが当たっているみたいな案もありました。それは「周りからの視線」とか「絶望」を感じていた時期を表現したいと思ったときにパッと浮かんだものです。

――すごいアイデアですね。そうしたイメージのヒントになりそうなものを日頃からご覧になっていたのですか?

GYUTAE:意識して作品集などを見る機会はそう多くはなかったので、どちらかといえば映像作品から受ける刺激のほうが大きかったかなと思います。YouTube動画だったり、好きなアーティストさんのミュージックビデオだったり。心が動いた場面を頭の中でスクリーンショットを撮るように印象に残っていたのかもしれないです。

――特にこだわった点はありますか?

GYUTAE:全体的に寒色系の色味で、品のある雰囲気を出そうというのは、特にこだわったところです。今回『FULL MOON』というタイトルをつけたのは、僕にとって満月ってすごく縁があるものだったからなんです。ふと夜空を見上げたら満月だったということも多いですし、パワーをもらっている感じがあって。初めて首の後ろに入れたタトゥーも満月でしたし。

そのタイトルに紐づけて、写真集全体のトーンも月光っぽい色味を意識したんです。月の光って聞いて、黄色って言う人も入れば、白って言う人もいると思うんですけど、僕はなんか青白くて冷たい光のイメージなので。

――写真集を拝見すると本当にたくさんのスタイルがあるんですが、全部で何パターンの写真を撮られたんですか?

GYUTAE:トータル6日間の撮影で30コーデ撮りました。でも、撮ってみたもののカットしたものもすごくたくさんあります。それこそ、フル装備とか女装も撮ったんですけど、全体の構成を考えたときに繋がりがなくなってしまうように思えて……。

逆に言えば、フル装備の工程などはSNSでもたくさん公開しているので、「だったら写真集では自分の等身大の姿を見てくださるほうがいいんじゃないか」って話し合った結果、思い切ってフル装備は全部カットしました。

――動画やこの写真集でもノンバイナリーであることを公表されていますが、もはや「GYUTAEさん」という独自の性別にさえ感じました。

GYUTAE:ありがとうございます、うれしいです! この男性的な凛々しいメイクをしながら、女性的なベールをまとっているウェディングドレス風の正装感のあるコーデは、まさにそんなジェンダーに対するメッセージ性も含まれています。もっと自由に自分の着たいものを着ていいんだよって。

GYUTAE 写真集『FULL MOON』(講談社)中面より

――聞けば聞くほど、1枚1枚に込められたコンセプトが興味深いのですが、それを説明される機会というのはあるのでしょうか?

GYUTAE:今のところ、全部キレイに説明しようとは思っていないです。どう受け止めるのかはみなさん次第というか。もちろん聞かれたらお答えしますけど。実は撮影時のオフショット動画を撮ろうとカメラを回していたんですけど、どうしようかなと思っていて。この写真集はこの1冊で完成ってしようかなと。でも、もしかしたら全然関係ないタイミングで出すかもしれない(笑)。

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