2023/06/02 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.223

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


赤エビ半額、サンキュ

最近レタスがぐっと安くなった。ちょっと前まで税抜き198円だったのが安い時で98円で手に入る。毎日のように通うスーパーで、野菜の価格の動きから季節の移ろいを感じる時が多々ある。それにしても、欲しいものを営業時間内であれば好きなときに、新鮮な状態で提供してくれるスーパーマーケットという存在はほんとにありがたい。日々心の中で「サンキュ」とつぶやいている。

圧倒的な近さゆえに通うこととなった近所のスーパーだが、1年ほど前に引越しをして初めて行った時は好きになれるか心配だった。もちろん好きにならなくともなんら問題はないのだけど。その前に通っていたスーパーが好きすぎたのだ。多少の思い出補正はかかってるかもしれないが、建物が広くて新しく、品揃えも豊富で行くたびにたくさん買い物したくなるスーパーだった。マスコットキャラクターみたいな(私にとっての)名物スタッフさんもいて、今日はあの人いるかな?とワクワクしたりしていた。無意識に前通っていたスーパーと比較してしまっていたのだ。それでも「わざわざちょっと離れたところに行くのもなぁ……」と近さに流されて通っているうちに、だんだんと生活に馴染み、さりげない良さが見えてくるようになった。 期間限定でめずらしい野菜を買いやすい値段で販売してくれるところ(使ったこのとない食材は調理も食事も楽しい)。主要な調味料などをルーティンで値引き販売してくれるところ。不可能を可能にしたようなこだわりの帽子の被りかたをしているスタッフさんがいるところ。そして最後に、これはまったくさりげない話ではなく、この話をするためにここまで書いてきたのだが、私の大好物であるエビ、生食用の殻付き赤エビが夜になるとかなりの頻度で半額になるところ、だ。文字を打っている今でさえ想像すると武者震いしてしまう。あんなにうまいものをあんな値段で購入させてもらえるなんて……。こんなに贅沢なおもいをしちゃっていいのかなぁと申し訳なく思いながら、手は売り場から手持ちのカゴへ、スムーズな動き。買わない理由がない。もうほんとにありがたい。赤エビにもスーパーにもすべてに特大のサンキュを送りたい。

そんな、いつもお世話なっている最寄りのスーパーの店内BGMを妄想でつくり、今回のプレイリストとした。気持ちを明るく和やかにキープしてくれつつも、お財布事情を気にする冷静な脳みそを過度に刺激してこない程よいテンションの曲を基調に、トム・ウェイツの “Closing Time” で閉店、そして閉店後にはビル・エヴァンスの “Peace Piece” でスタッフのかたにほっと一息、1日の疲れを癒してほしいと願いを込めて曲を組んだ。 いつか半額で浮かれないリッチな大人になれるのかな私は。

この記事の筆者
石川 幸穂

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