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BtoBマーケティングの打ち手を再考する

資料ダウンロード数が前年比約1.5倍!ソフトバンクがメール配信設計に取り入れた“スコアリング”とは?

 ソフトバンクでは、見込み顧客が求める情報をリアルタイムで提供するメールコミュニケーションの実現に向け、2023年4月にユーザー行動を基にしたスコアリングを活用する独自モデルを導入。その結果、前年比でクリック数が約10倍、資料ダウンロード数が約1.5倍に向上したという。本記事では同社の法人マーケティング本部でメール・広告・Webなどの各種配信を担当する竹之内彩歌氏に、同氏が取り組んだ新モデルの概要や、同社におけるメールマーケティング役割についてなどを伺った。  

スコアリングの導入でメール配信先を最適化

──竹之内様が所属しているマーケティングコミュニケーション統括部のデリバリーチームでは、2023年4月からメールの配信設計に新モデルを導入されたと伺いました。まず、新モデル導入前に感じていたメール配信における課題について教えてください。

 前提として現在ソフトバンクの法人マーケティング活動は、マーケティング戦略を担当する「ポートフォリオ」、ホワイトペーパー・事例・ウェビナーなどのコンテンツ制作を担当する「コンテンツ」、コンテンツの配信を担当する「デリバリー」、新規リードをフォローする「インサイドセールス」などが、組織横断で連携しつつ実施されています。

ソフトバンク株式会社 法人統括 法人マーケティング本部 マーケティングコミュニケーション統括部 マーケティングオペレーション部 2課 竹之内 彩歌氏

 元々当社のメール配信では、受領した名刺に記載の業種や役職を基にユーザーを分類し、メール配信を行っていました。

 しかし、この方法だと「ユーザーのニーズに最適化したコミュニケーション」が取れない上に、配信内容の重複が発生してしまうという課題を抱えていました。

──この課題を解決するため、どのような設計に変更したのでしょうか。

 ユーザー行動に着目してスコアを付与するモデルを導入しました。具体的には、まず新規ユーザーを「情報システム」「総務」といった属性に分類し、メールを配信。そのメールに対して「メールを開封」した場合は1点、「メール内のURLをクリック」した場合は10点、「資料をダウンロード」した場合は100点、といったようにユーザーの行動に応じてスコアを加算していきます。そしてこのスコアに応じて配信するコンテンツを選定し、キャンペーンメールを一定期間配信するという設計です。

 このモデルを採用したことで、ユーザーが求めている情報にリアルタイムで連動するメールの配信が行えるようになりました。

【クリックすると拡大します】

従来型との掛け合わせで配信ボリュームを担保

──メールはそもそも訴求したいサービスによっても内容が異なり、貴社でも多く枝分かれしていると思われます。スコアリングが導入されると、複数のサービス間でメールが配信されるボリュームに偏りが生じてしまいそうです。サービスの訴求を担う各チームから心配されそうでもありますが、どのように対処されましたか。

 スコアリングでの配信と同時に、従来型の配信モデルも組み合わせることで、ユーザーの業務内容に応じてのメール配信も可能にしているため、どのサービスでもある程度の配信ボリュームは担保できています。

 具体的に、ファネルの上層を担当している方には基礎知識から始まって導入事例へと移行するなど段階的なコンテンツ配信を行い、ファネルの下層を担当している方にはより専門的な内容を配信するといったように、その人の役職や行動に合わせて業務により必要になるだろう内容を配信しています。

 さらに、スコアのリセット設計も各サービスでのメール配信ボリュームの担保に寄与しています。現在、当社では、スコアが最後の算出から90日で一度リセットされるように設定。定期的に様々なキャンペーンが送られるような仕組みとなっているため、一度興味をもたれた内容だけが配信され続けるといったことはないようにしています。

──スコアリングを導入してからメールの配信数は具体的にどの程度変化しましたか。

 キャンペーン内容やタイミングにもよって変動しますが、導入前と比較して、大体10分の1から5分の1程度のボリュームになりました。ユーザーの行動ベースで最適なコンテンツを出すため配信数は少なくなりますが、その分、ユーザーの意図や目的に合った情報提供が可能になっています。

次のページ
反応がないユーザーへの配信はあえて一時停止

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この記事の著者

塚本 建未(ツカモト タケミ)

ライター・編集者・イラストレーター。早稲田大学第二文学部を卒業後、社会人を経て再び早稲田大学スポーツ科学部へ進学。2度目の学部卒業後は2つの学部と高校デザイン科で学んだ分野を活かすためフィットネス指導者向け専門誌「月刊Fitness Journal」編集部に所属してキャリアを積み、2011年9月から同雑誌の後継誌「月刊JAPAN FITNESS」編集部の中心的な人物として特集・連載など数多くの誌面を担当した。現在はWebメディアに主な...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/01/30 08:30 https://markezine.jp/article/detail/47285

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