(元吉 烈:映像作家・フォトグラファー)
ニューヨークのマンハッタンを窓下に見下ろす高層マンションで、メトロポリタン歌劇場で活動する舞台演出家の夫と、ふたりの娘と裕福な生活をするロミー(ニコール・キッドマン)は、自らもテック企業のCEOであり、すべてを手に入れているように見える。しかし、その「完璧」な幸せは、ある男の登場によって乱されていく。
昨年9月のベネチア映画祭でニコール・キッドマンに最優秀女優賞をもたらした映画「ベイビーガール」(監督・脚本:ハリナ・ライン)は、皆が憧れる生活を送る自立した女性ロミーと、彼女の経営する会社に入社してくるイケメン・インターンのサミュエル(ハリス・ディキンソン)の、怪しくも現代的な男女の関係を、オランダ人であるハリナ・ラインが、アメリカ的なミー・トゥーからは少しひねりを効かせた人物像と繊細な演出で描いた2024年の最大の話題作のひとつだ。(日本公開は2025年3月28日)
*以下、映画のネタバレがありますので、気になる方はご注意ください。