トミストマ亜科
トミストマ亜科 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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マレーガビアルの剥製
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地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
古第三紀始新世 - 現世 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Tomistominae Kälin, 1955 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
属 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
トミストマ亜科(トミストマあか)[1][2][3]またはマレーガビアル亜科(マレーガビアルあか)[4]は、東南アジアに生息する現生のマレーガビアルを含むワニ目の分岐群。化石種ではトヨタマヒメイア・マチカネンシス(マチカネワニ)などが含まれる[3]。淡水域に生息するマレーガビアルと異なり、化石種は三角江や沿岸部に生息し、また世界各地に分布していた。
ワニ目の間でのトミストマ亜科の分類は流動的である。伝統的にはクロコダイル上科に置かれていたが、分子系統解析ではインドガビアル上科のインドガビアルと近縁であることが示唆されている。
進化史
[編集]トミストマ亜科は北アフリカとヨーロッパで古第三紀始新世に出現した。既知で最古のトミストマ亜科はイングランドのケンティスクスであるが、さらに古いスペインの暁新世の地層からもトミストマ亜科の可能性がある化石が産出している[5]。他の初期のトミストマ亜科には、モロッコのマロッコスクス、ベルギーのドロスクスがいる。これら初期のトミストマ亜科は、暁新世のヨーロッパや北アフリカの大部分を覆っていたテチス海に生息していた。これらの中には沿岸堆積物層から発見されているものもおり、沿岸部やエスチュアリーに生息していたことが示唆されている。トミストマ亜科はこうした生態のため、テチス海を介してヨーロッパ北部や北アフリカへ分布を拡大することができた[5]。
後期始新世や鮮新世には、トミストマ亜科はアジア中に広がった。中期始新世のFerganosuchus planusや Dollosuchus zajsanicus はカザフスタンとキルギスタンから知られている。やがて後期始新世には中国や台湾に到達し、Maomingosuchus petrolica(後期始新世)やPenghusuchus pani(中新世)が出現した[6]。"Tomistoma" tandoni は中期始新世のインドに生息した。この頃のインド亜大陸はアジア大陸から孤立しており、海水が隔離障壁を構成していた。アジアとヨーロッパを隔てていたオビク海も生物の移動の妨げとなっていた。これらの地域間を移動できたトミストマ亜科は、海水に耐性があったことが示唆されている[5]。
トミストマ亜科は漸新世・中新世・鮮新世にかけて、大西洋を渡って北アメリカ大陸にも分布を拡大した。新熱帯区で既知のうち最古のトミストマ亜科はジャマイカのCharactosuchus kuleriである。C. kuleri とベルギーの D. zajsanicus は近縁性が指摘されており、トミストマ亜科がヨーロッパからアメリカへの移動の際、ノルウェーとグリーンランドおよび北アメリカを結ぶ De Geer 陸橋か、あるいはスコットランド・アイスランド・グリーンランド・北アメリカを結ぶ Thule 陸橋を介したことが示唆されている。テカチャンプサは漸新世から鮮新世にかけて北アメリカ大陸の東岸に生息していた[5]。
トミストマ亜科は漸新世にヨーロッパから姿を消したが、その末期には再び姿を現わし、多様化を遂げて中期中新世にはありふれた分類群となった。Tomistoma coppensi は中期中新世のウガンダから知られている。北アフリカには後期中新世の種の化石証拠が乏しいため、中央アフリカからトミストマ亜科の化石記録が得られたことは珍しいことである[5]。
トミストマ亜科は前期中新世にアラビアがユーラシア大陸に衝突した際に、アフリカからアジアに移動した可能性がある。しかし、アジアの中新世のトミストマ亜科は、東アジアに既に生息していたグループの子孫である可能性もある。この時代にトミストマ亜科はインド亜大陸にも広がり、そのうちランフォスクスは史上最大級のワニ目の一つで、全長は8 - 11メートルと推定されている。更新世にはトヨタマヒメイア・マチカネンシスが日本に生息していた。しかし、東南ジアではマレーガビアルに先行するトミストマ亜科の化石証拠はほとんど発見されておらず、それゆえにマレーガビアルと化石種の詳細な類縁関係は明らかになっていない[5]。
系統
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分岐学的には、マレーガビアルと、インドガビアルやキューバワニよりもそれに近縁な全ての種として定義される[7][8]。従ってトミストマ亜科はステムグループであり、インドガビアルやクロコダイルよりも近縁な化石種もトミストマ亜科に含まれる。
以下は形態学に基づいてトミストマ亜科の類縁関係を推定したクラドグラム。なお、この解析ではクロコダイル科内に位置付けられた[9]。
クロコダイル科 |
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化石種の形態学的研究に基づき、マレーガビアルを含むトミストマ亜科は長らくインドガビアル上科ではなくクロコダイル上科クロコダイル科に分類されていた[10]。しかし、DNAシークエンシングを用いた研究ではマレーガビアル(および全ての化石トミストマ亜科)が実際にはインドガビアル上科インドガビアル科に属することが判明した[11][8][12][13][14][15][16]。
2018年にLeeとYatesにより発表された、形態情報・分子情報・層序に基づいた系統解析では、トミストマ亜科はインドガビアル上科内の側系統群であることが示された[15]。
Longirostres |
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トミストマ亜科 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(クラウングループ) |
出典
[編集]- ^ 「今こそ生かしたいマチカネワニ 化石発見50周年シンポジウムを前に 江口太郎教授に聞く研究の歩みと考現学」第165号、朝日新聞社、2014年、2021年7月24日閲覧。
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