加齢に運動不足が加わり、足腰が衰えて立つ・歩くといった移動能力が低下していく、ロコモ。予防のためには、その前兆となる「4つのサイン」にいち早く気づき、改善に取り組むことが重要だ。今回は3つ目のサイン「休まず歩き続ける」が困難になったとき、そして4つ目の「スポーツや踊り」のような強度の高い動きが難しくなったときについて、それぞれどうすればいいのかを聞いていく。
『足腰寿命を延ばす』 特集の内容
- 第1回足腰の衰えを示す「4つのサイン」 1つでも現れたら「待ったなし」!
- 第2回「階段の上り下り」がしんどくなったら、3つの体操で「階段ラクラク」に!
- 第3回歩行スピード・歩幅は若さの指標 4つの体操で、歩き方から若返り!
- 第4回ロコモの前兆「長く歩けない」に要注意、痛みがある場合は受診を←今回
体操を行う前に整形外科を受診すべきはどんなとき?
立つ、歩くといった移動に関わる能力が低下する「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」。ロコモが進行すると、将来介護が必要になるリスクが高くなるといわれる。
そして現在、国内の40代以上の人口のうち約3分の2にあたる4660万人がロコモ度1以上という推計もある(*1)。まさに今後、ロコモが進行していくリスク世代である私たちは、手遅れにならないうちに効果的な対策を打つ必要がある。
そこで注目したいのが、ロコモになる前にその前兆として現れることの多い「4つのサイン」だ(図1)。
「階段の上り下り」「急ぎ足で歩く」「休まず歩き続ける」「スポーツや踊り」、これらの動作が困難になる「4つのサイン」を研究・調査により明らかにしたのが、埼玉県立大学保健医療福祉学部/大学院研究科准教授の山田恵子氏らだ。山田氏は「ロコモ予防のためには、効果的な体操を行い、活動量を増やしていただく必要があります」と言う。
ただし、場合によっては、体操などを行う前に整形外科を受診すべきとも話す。その代表的なケースが、「痛みがある場合」だ。
それに該当することの多いのが、3つ目のサインである「休まず歩き続ける」が困難になった場合だ。
「休まず歩き続けることが困難である、というのは、腰部脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症といった治療が必要な病気の症状かもしれません。もともと病気がある人がロコモ予防のために痛みを我慢してやみくもに体操をしたり歩いたりすると、病気が悪化する可能性があります」(山田氏)
そうした事態を避けるには、それぞれの病気について知っておく必要がある。まず、「腰部脊柱管狭窄症」について見ていこう。