股関節の可動域を広げ、なめらかに動かすための動的ストレッチ
第3回 4つの段階で取り組む「ニークロスオーバー」
中野ジェームズ修一=フィジカルトレーナー
「股関節」を動かしたときに引っかかりがあったりして、「可動域」が不十分になってしまう場合があります。「そのようなときは股関節の可動域を適正にする動的ストレッチに取り組んでください」と話すのは、書籍『すごい股関節』を出版したフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さん。動的ストレッチのやり方と、可動域の考え方について教えてもらいました。
『中野ジェームズ修一直伝「股関節」を良くする方法』 特集の内容
- 第1回股関節はすごい! 自分で股関節を良くする方法をトレーナーが伝授
- 第2回筋肉の柔軟性のバランスを整え、股関節の違和感・動かしづらさを解消
- 第3回股関節の可動域を広げ、なめらかに動かすための動的ストレッチ←今回
股関節の可動域を適正にする動的ストレッチ
前回、股関節を支える筋肉のどれかが硬くなっていると、骨の位置がずれて不具合が生じるという話をしました。どの筋肉に問題があるかをチェックし、その柔軟性を改善すれば、股関節を適正な状態にもっていくことができます。
筋肉の柔軟性には、「生理的柔軟性」と「機能的柔軟性」の2種類があります。生理的柔軟性とは、その筋肉がもともと持っている柔軟性のことで、手や道具など何らかの補助があるときにどれくらい伸ばせるかを確認します。一方、機能的柔軟性とは、そういった補助がなくてもどれくらい伸ばせるかを確認します。
生理的柔軟性が不足しているのなら、静的ストレッチを繰り返すことで解消します。静的ストレッチとは、反動やはずみを付けずにゆっくり筋肉を伸ばすことで、一般的にストレッチと言えばこれです。一方、機能的柔軟性が不足している場合、一連の動きの中で柔軟性が発揮できるようなトレーニングを行います。
このようにして股関節を支える筋肉の柔軟性の問題を解消できたら、次は「股関節の可動域」を適正にしていきましょう。
年齢を重ねると、股関節が動く範囲である「可動域」が、本来動くはずの角度よりも狭くなってしまう、ということがあります。動かす途中で引っかかりを感じたり、詰まったような感じがあり、十分に動かないのです。そのようなときに取り組みたいのが、次の動画で紹介する動的ストレッチです。
これは「ニークロスオーバー」という動的ストレッチです。動的ストレッチとは、体をリズミカルに動かし、反動を使って筋肉を刺激することで、関節の可動域を広げ、柔軟性を高めるものです。
ニークロスオーバーには4つの段階があります。股関節に違和感があり、機能不全を起こしている人がいきなり大きく動かすのは危険なので、少しずつ可動範囲を広げていきましょう。最初の段階では動きが小さく、狭い範囲で動かしていきます。
もし、段階を上げたときに違和感があったら、1つ前の段階に戻ってください。自分がどこまでできるのかを確認し、徐々に動かせるようにしていくことが大切です。繰り返し行うことで自然と次の段階もできるようになっていきます。