もう中年太りとは呼ばせない! 痩せる食べ方・動き方6つの鉄則
第3回 無理なく続ける 目指すはリバウンドゼロ
柳本操=ライター
20代のときよりも10キロ、20キロと太ってしまった「中年太り」の正体とその怖さを解き明かしてきた本特集。最終回の今回は、いよいよ「脱・中年太り」のために何を実践すべきかを国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所身体活動研究部運動ガイドライン研究室長の山田陽介氏に聞く。食べ方、運動、いずれも無理なくできることから始め、継続していくことが大切だ。食事改善と運動を組み合わせることで、リバウンドも防ぐことができる。
『脱・中年太り 「代謝の低下」は言い訳にならない』 特集の内容
- 第1回中年太りの主犯は「代謝の低下」ではない 知っておきたい4つの原因
- 第2回中年太りを“放置”した人の末路 疾患リスクとダイエットの勘違い
- 第3回もう中年太りとは呼ばせない! 痩せる食べ方・動き方6つの鉄則←今回
本特集は「中年太り」との向き合い方、解消の仕方を、科学的な裏付けとともにお伝えしてきた。
1回目では、「中年太りは年齢とともに代謝が低下することが原因」という通説が最新研究により覆されたこと、さらに中年太りの原因として「ほんの少しの食べ過ぎ」、「あまり動かない生活」、「筋肉の質が劣化」、「褐色脂肪細胞の減少」といった4要因があることを解説した。
さらに2回目では、中年太りを放置すると、メタボリックシンドロームだけでなく心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる深刻な病気や認知症のリスクが高くなり、健康寿命を縮めていくことも解説した。ダイエットする際に避けたい食品や睡眠時間と太りやすさの関係なども、参考になったに違いない。
日本人の食事内容、身体活動量を幅広く調査し、健康寿命延伸のための有効な対策について研究する国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所身体活動研究部運動ガイドライン研究室長の山田陽介氏は、「中年太り解消のためには、食事の改善と活動量を増やすことを両輪で進めることが大切です」と強調する。
最終回の今回は、食事と運動における6つの鉄則を順に見ていく。
「腹八分目」で余剰カロリーを積み重ねない
まずは食事のとり方から。本連載1回目で解説したように、中年太りは、摂取カロリーが消費カロリーを上回り、余ったカロリーが体脂肪として蓄積されることが積み重なった結果起こる。「ほんの少しの食べ過ぎ」の繰り返しが、10年、20年後の10キロ、20キロ増という現実を作るのだ。
では、食べ過ぎを抑えるためには食事をどの程度減らせばいいのだろう。
徹底したいのは「腹八分目」だ。自分の腹八分目のカロリーは、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」を参考にするとよい。表のように、年齢・性別・身体活動レベル別に「推定エネルギー必要量」が定められている。「この値に0.8をかければ平均的な腹八分目がどのくらいかが分かります」(山田氏)。
例えば50歳男性で活動レベルが普通(Ⅱ)の場合は、2600×0.8=2080キロカロリーとなる。
自分の摂取カロリーを把握した生活を送るためには、どの料理がどれぐらいのカロリーか、おおよその見当がつくようになりたい。弁当のラベルや外食のメニューなどにカロリーが記載されているのを参考にして、例えば、よくあるのり弁当なら600~700キロカロリーなどと目安をつける。
「私たちの調査でも、食べているカロリーを把握している人は少なく、多くの人が実際に食べている摂取カロリーを少なく見積もってしまう傾向にあることが分かっています」(山田氏)。摂取カロリーを正確に把握することは難しいかもしれないが、カロリーを気にするだけでも食べ過ぎ(カロリーオーバー)を減らせる可能性が出てくる。
腹八分目に抑えるコツもある。「大盛り無料」「おかわり無料」「食べ放題」「ビュッフェ」という言葉には近づかない、というルールを作るのだ。これらはどれも魅力的な言葉で、食欲を誘う。食欲が満たされるだけでなく、お得感もあってつい利用したくなるが、中年太りを気にしている人ならぐっと我慢しよう。
普段から多めの量を食べていると、それが当たり前になる。そうなると普通の量でも物足りなくなり、結果的に食べ過ぎたり、間食が増えたりする。「家で食事をとるときは、ご飯を盛るお茶わんのサイズを小さくする方法もお勧めです。少量でもよくかんで、時間をかけてゆっくり食べると満腹感を得られます」(山田氏)。