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ドイツ零年のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ドイツ零年(1948年製作の映画)
3.9
「無防備都市」「戦火のかなた」に継ぐロベルト・ロッセリーニ監督「戦争三部作」の3作目。
終戦直後の廃墟になったベルリンでロケを敢行。出演者はすべて無名の素人俳優を使い、生々しいドキュメンタリータッチで描いたネオ・リアリズモ(イタリアン・リアリズム)を代表する作品の1本。
廃墟になったベルリン、焼けたビルのアパートに住むエドムント少年とその一家の物語。
撮影はロベール・ジュイヤール
音楽はレンツォ・ロッセリーニ
原題:(伊) Germania anno zero)
(1948、74分)

~登場人物~
①ケーレル一家
・父(エルンスト・ピットシャウ):病気で寝込み、働けない。家族に迷惑をかけるくらいなら死にたいといつも言っている。
・娘、エヴァ(インゲトラウト・ヒンツ):密かに夜のキャバレーに出かけ、外国人と交際して小銭を稼ぎ家計を助ける。
・長男、カール・ハインツ(フランツ・クリューゲル):元ナチ党員。警察の目を逃れ自宅に身を潜めている。仕事に出ないので無収入。配給券も貰えない。
・末子、エドモンド(エドムンド・メシュケ):12歳。小学校に通わず、さまざまな仕事をして一家を支える。

②その他
・かつてエドモンドを教えた先生(エーリッヒ・ギュネ):今は、ヒットラーの演説レコードを売る闇屋。

「イデオロギーの変更は犯罪と狂気を創り出す。それは子供の純真な心までも」

第二次世界大戦直後、廃墟になったベルリンをさまよい歩く13歳の少年エドモンドは、焼けたビルの間借りの部屋に住む病気の父と無職の兄に代わって小遣い稼ぎしていた。
ある日、小学校に通っていた時の担任先生に出会い、「今の世に弱い者は死ぬべきだ」と言う、彼のナチ思想に感化される…。

「オンブラ・マイ・フ」

ひとり廃虚をさまよい歩く少年をひたすら追うカメラ。
オーケストレーションを伴う曲の挿入と打楽器の使用も効果を発揮。
素人を起用し作り物の感情を排して冷徹な眼で荒廃した人間性を写し出すドキュメンタリー手法が、強烈な印象を与える。
三部作は何れも必見。
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    ①3.3以上が鑑賞のめど。3.5(特に3.8)以上がおすすめ。4.0が最高。 ②ベスト10は製作年順。 ③レビューは2年1月以降(再)観賞作品のみ。 ④フォロバはしません。誤字脱字も含め悪しからず。