軍隊の階級とは、軍隊組織において兵士を円滑に行動させるための階級制度である。
軍隊はそれを構成する各員に役割分担があり、指揮系統の上位の指示に基づいて下位が的確に行動しなければならない。この指揮統制を確立する上で序列を明確にすることが必要となり、軍隊では武官に階級を与えている。
軍隊は国家や歴史において差があり、さらに言語の違いもある為、階級の序列や呼称は今でもバラつきがある。また陸海空軍及びそれに準じる組織は、それぞれに独自の階級を有することも珍しく無く、一国の全軍で統一された階級が使われているとは限らない。というかむしろ異なるのが普通。
我が国においては幕末に西洋式の近代軍隊が伝わり、明治期に入ってからは欧米列強に対抗する為に陸軍と海軍を編成した。近代国家の軍隊として相応の階級も作られることになり、古代の律令制で使われいた佐、尉、曹という言葉を流用しつつ作られた。あくまで言葉を流用しただけなので、古代の職名と互換性は無い。
敗戦後に自衛隊が編成されてから、旧軍の違いを明確にするために別の階級を制定した。但し将、佐、尉、曹という言葉は保持している。
各国の序列は概ねでは似通っていて、日本語で言うところの「将官>佐官>尉官>下士官(准尉、軍曹など)>兵卒」に概ね分かれている。
将官は戦略レベルでの作戦指導を策定し、決定して指示を出す役割をになう。佐官と尉官は将校(士官)として、将軍の戦略を実現するために下士官以下を指導する任を帯びている。下士官は兵をまとめて戦術レベルで将校を補佐し、小部隊の指揮をとり、また兵に罵詈雑言を浴びせて死の司祭に育て上げる。士官学校を出てきたヒヨっ子士官を鍛え上げて、一人前の軍人になるよう補佐するのも仕事と言えるだろう。兵はパパとママがベッドでヤって、ザーメンの残りカスから生まれた平等に価値の無い存在だ。口からクソを垂れ流す前と後ろにサーをつけろ。
だが細部をみると色々と違いがある。概要に示したように言語の違いや歴史的な流れの違いもある為、呼び方は国や、さらに陸海空軍によっても異なる。また階級の数も違いがあり、A国では9階級に分かれている部分がB国では10階級になっちゃうとか、C国は9階級だけどA国とは役割に違いがあるとか、そんなのはザラである。
言葉の違いを示す具体例として帝国海軍、海上自衛隊、米英独海軍における佐官級の違いを挙げてみる。
帝国海軍 | 海上自衛隊 | アメリカ海軍 | フランス海軍 | ドイツ海軍 | NATO コード |
大佐 | 1等海佐 | Captain | Capitaine de vaisseau | Kapitan zur See | OF-5 |
中佐 | 2等海佐 | Commander | Capitaine de fregate | Fregattenkapitan | OF-4 |
少佐 | 3等海佐 | Lieutenant Commander | Capitaine de corvette | Korvettenkapitan | OF-3 |
佐官に該当する階級は各国共に軍艦の艦長をになう階級であり、特に最上位ともなれば空母など大型艦の艦長になる。また海軍はどこの国でも船乗りに準じるのが常であるので、比べても大した違いはないだろう…と想像していたら、思ったよりは違っていた。
独仏海軍は「艦長+船のクラス」という言葉になっているのが分かる。直訳すると、いずれも下から「コルベット艦長」「フリゲート艦長」と並ぶ。しかし大佐級には違いがあり、フランス海軍のそれは直訳すると「旗艦の艦長」である。フランス語のVaisseauは英語で言うところのVesselだが、同時に旗艦という意味もある。一方でドイツ海軍はSeeになっている。これは英語のseaと基本的は同じ言葉。
帝国海軍は先述のように律令制度に基づいた序列を用いている。海上自衛隊は旧軍の大中小を123に入れ替えたと考えれば分かりやすい。
「一番右側のNATOコードって何よ?」と思っただろうが、これはNATO各国の階級を分かりやすくするために、NATOが制定した共通符号である。OF(officer)とOR(other rank)、WO(Warrant Officer)などに大別され、OFだと1~10に、ORでは1~9に細分化される。数字が大きいほど偉い。コードは全軍共通であり、各国陸海空軍の階級をこれに当てはめている。
というように比較しやすい。全軍共通だから、異なる国の陸海空軍同士でも互換性がある。とは言えこれでもカバーしきれない場合もあるらしい。こういうものを作らないといけないぐらい違いがある、ということだろう。
日本で外国軍の階級が伝えられるときは、辞書に書いてある旧軍準拠訳や訳者の翻訳に基づいて、旧軍の階級に置き換えられるのが一般的。だから分かりづらいかも知れないが、違いは色々とあるのだ。
旧日本軍呼称を流用すれば、
元帥、大将、中将、少将、准将、大佐、中佐、少佐、大尉、中尉、少尉、准尉、曹長、軍曹、伍長、上等兵、一等兵、二等兵
のように並ぶことが多い。
他に上級大将、特務曹長、先任軍曹、政治士官など国家制度において各所階級が入る。
また、上でも述べたように陸海空軍で呼称に違いがある。例えばNATOコードOF-6は米英の陸軍では上記の序列でいう「准将」(英:Brigadier)だが、英海軍では「代将」(英:Commodore)と呼び、米海軍ではOF-7と共通して「少将(英:Rear admiral)」となっている(OF-6の「少将」とOF-7の「少将」は同じ少将でも区別され、略称や徽章や給与は異なる。詳細は「准将」の記事参照)。
兵卒は徴兵はもとより志願兵であっても、契約社員のような一時的な存在であることも多い。任官前の士官候補生や民兵などもあるが、彼らには階級が付かないことも多い。
ただ、戦場においては『士官扱いや一時的に階級を上げるケース』は存在し、これらは『野戦任官』という形で行われる。戦争、あいるは任務が終われば元の階級に戻るという仕組みである(戻らない場合もあるが)。優秀な士官に指揮をとらせるため、あるいは被害続出により下級士官しかいないため、など状況は様々である。
似たようなケースだとアメリカ海軍などにおいては過去に艦隊指揮官は議会の承認を得る必要があるため、この手間を嫌って佐官による艦隊指揮時には「代将」扱いとすることもあった。
士官になるためには士官学校に入る必要があるため、戦時中に士官へと戦時任官した場合、一旦呼び戻されて士官学校に入ることになる。余裕があれば別だが、これとは別に兵、あるいは下士官を現地指揮官の権限のもと昇進させるケースもある。
なお、大元帥はほぼ『国家元首か政府代表』の名誉呼称に近いため、元帥が頂点である。
…社会主義国家では『階級制度は悪』という考えの下、軍内の階級制度をなくした国もあるにはあるが、全く意味が無く弱体化した為元に戻っている。
旧軍は律令制の言葉を流用した階級を陸海軍共に使った為、他の国と比べれば陸海軍の間での差は小さい。
それでも旧軍下士官は陸軍が「曹長、軍曹、伍長」だったのに対し、海軍は「上等兵曹、一等兵曹、二等兵曹」と分かれるような違いがあった。
階級制度という観点から言うと、日本海軍ではいささか面倒なものがある。兵卒を勤め上げたものから各種兵科学校に入学、卒業できたものが下士官となった。士官と下士官・兵の差は(範をとった英国海軍と同様に)明確にさだめられていた。
よって士官になる方法は、海軍兵学校を卒業するしかなかった。下士官より特別な能力・技能を有するとして選ばれた特務士官、あるいは商船乗組員、動員学生による士官待遇者=予備士官とは建前からも制度上からも同一とみなさず、士官からは蔑視の対象となっていたとも言われる。もっとも終戦間際、「特務士官」という呼称はなくなり、「士官」へと呼称が統一される形になった。
また階級だけではなく兵科による差別が存在した。海軍機関科問題として知られており、艦の指揮をとれるのは兵科のみであり、機関科出身の士官はそれを行えないなどという問題があった。(同時期の諸国海軍もこの手の問題はあり、解決が図られている。日本の場合は太平洋戦争末期になってようやく解決になった)。
陸軍では兵卒は徴兵はあるいは志願者。下士官は兵卒勤務経験者が陸軍教導団で学ぶ。士官は中学あるいは陸軍幼年学校から陸軍士官学校を経て士官になることができた。
自衛隊になってから殆ど違いは無くなり「等級+陸海空+地位をあらわす言葉」になる。世界の軍隊の中では、違いが小さい方である。
近年、米軍などに範をとって、先任下士官制度が取り入れられている。兵や下士官に纏わる問題について部隊指揮官を補佐する立場となり、各部隊・艦レベルで先任下士官をもつ。
統合幕僚監部では最先任下士官としてよばれ、陸自では最先任上級曹長、海自は先任伍長、空自では准曹士先任が存在する。
まず、架空の話ゆえ、佐官に十代でなれるなんてことはありえないというのは既に話し尽くされている事象である。
命が懸かる軍隊ではなおさら経験が求められるからである。
でも、現実に兵卒から佐官・将官まで成り上がった人はいるので、無いとはいえないが、そんなに若くではなれない。
史実ではダグラス・マッカーサー元帥の父親、アーサー・マッカーサーJr.がいる。南北戦争に義勇兵として参加。その数度にわたる戦いの功績が認められ19歳にして名誉大佐(別名少年大佐)になった。後に陸軍士官学校に入り少尉より再スタート。最終階級は中将となっている(60代も後半の話だが)。同じく、リトル・ビックホーンの戦いで有名なカスター将軍も23歳前後で大尉から将軍となっているが、実は野戦任官で将官扱いだったにすぎない。
最年少将官のケースでいえば第二次世界大戦中のドイツだろう。ハラルト・フォン・ヒルシュフェルトが32歳で少将。パンツァー・マイヤーこと、クルト・マイヤーも33歳で少将となっている。
独自の行動をするにはどうしてもある程度の階級も必要なので、いろいろな理由をこね回す必要が求められることになる。こまったときは野戦任官扱いとするか、別の特権を用意するのが一番でしょう。
ガンダム作品を始め、特定機体に乗る場合はある程度の階級を要求されるためか最低少尉からスタートするのだが、それは現実において、米空軍あるいは航空自衛隊での航空機パイロットが少尉から始めるから、です。詳しくは少尉の項を参照のこと。
ニコニコ動画ではハートマン軍曹やケロロ軍曹の『軍曹』がもっとも有名であろうと思われる。
掲示板
58 ななしのよっしん
2021/05/29(土) 14:11:43 ID: 1O7JVswzNo
兵はパパとママがベッドで~ ってハートマン軍曹の台詞を記事の中になんの脈絡もなくいきなり入れているけど、何か意味あるの?そんなに面白くないから削除してもいいのでは
59 ななしのよっしん
2022/05/26(木) 03:33:28 ID: n1uIUZ+2DL
>一方でドイツ海軍はSeeになっている。これは英語のseaと基本的は同じ言葉だが、「湖」も意味する(女性名詞die Seeは海、男性名詞der Seeは湖。「母なる海」ってことかな)。この場合zurが「zu + der」らしいので海の方かと思われる。直訳の仕方は分からなかった。海の艦長だと変だし。
仮にも大百科なんだからこんな無責任な記述やめないか
Kapitän zur Seeを訳すなら「海上における総指揮官」だろうよ
60 ななしのよっしん
2023/10/24(火) 19:17:14 ID: n1uIUZ+2DL
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/27(金) 22:00
最終更新:2024/12/27(金) 22:00
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