急降下爆撃 単語

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急降下爆撃とは、軍用機が用いる爆撃方法の一種である。

対義語:爆撃

概要

第二次世界大戦中に各で用いられた戦術の一つ。

一般的な爆撃方法である、標上飛行しながら爆弾を投下する爆撃は、高高度からの投下では命中率が悪く、低高度で飛行すると対空砲火の餌食になりやすいという欠点がある。これに対し、急降下爆撃は上から標に向かって急降下。その降下中に爆弾を投下すると言うものである。

度が付いている分、同じ爆撃精度であっても方向のズレは小さくなり、命中率は上がる。特に艦車両等の移動する標に対しては、非常に有効な手法であり、多くので攻撃に用いられた。

ただし急降下爆撃の爆弾投下高度は概ね1000m以下と低く、貫通エネルギーが不足する事で、頑丈な標に対しては決定打とならないことも多い。また数kgの爆弾を抱えた状態での急降下は慣性力が非常に強く、一度急降下体勢に入ると大幅な軌修正が容易ではない他、戦場において爆弾を抱えたままでの再上昇/再攻撃は危険が大きすぎるため、的を外した状態でも爆弾を投下せざるをえない。(しかも基本的に艦爆や急降下爆撃機は爆弾1発しか積まないので、次弾投下は不可能)その為、第2次大戦も末期になると、この欠点を見抜き、敵機にわざと急降下に入るタイミングを与え、急降下を開始すると同時に自艦は急転して回避する戦術で生き延びた艦も存在したという。

なお、一般的な戦闘機爆撃機では急降下の際の速度の上昇を抑えきれないため、一般的には急降下爆撃機と呼ばれる大エアブレーキを装着した専用の機体を開発、又は既存機を改良して使用しなければならず、また急降下とその引き起こしに耐える頑丈な構造も必要であった。

通常の爆撃機とは構造的に相違点が多いため、例えば日本海軍では、「急降下爆撃できる機体」を爆撃機と称し、これが出来ない機体を攻撃機として区別していた。この戦法を重視したドイツ軍では、開発した全ての爆撃機に急降下爆撃力を与えている。ちなみに戦車撃破王として知られるルーデルが乗ったのもJu-87という急降下爆撃機である。

現代ではアビオニクスの発達により、較的安全な爆撃等でも命中率が上がった事などもあり、危険を伴う急降下爆撃は一般的には使われていない。

日本海軍[1]

日本海軍では1934年にHe-66を改良した九四式艦上爆撃機を配備することで実用化時代に入った。

急降下爆撃は、敵艦の艦尾上から降下すれば、度に応じて発生するウェークを見ることで投弾点を修正できるので、爆撃より桁違いに命中確率は高かった。ただ、エアブレーキをかけながら降下し、500メートルの低爆弾を放すので、命中時の運動エネルギーは、3000メートル以上の高から投下する爆撃には及ばなかった。従って、上面アーマーを持つポスト・ジュトランド戦艦は沈められないと見られていたが、上面アーマーを持たない初期の空母は急降下爆撃だけで撃沈できることが昭和17年明され、以降空母空母の戦いでは急降下爆撃が雷撃機よりも頼りにされた。

やがてアメリカ軍艦は対りレーダ、5インチ両用のレーダ管制、VT信管などを実現し、日本機が降下に入る直前の低速飛行状態を狙い撃ちすることで全滅に近い損を与えるようになった。空母のような高機動標に対しては艦尾直上からアプローチするしかなく、同時に多方向から狙うことは不可能だったので、米海軍空母の後方に護衛の戦艦を配置すると、もうお手上げであった。

そこで日本海軍人は、突入方位を艦尾に限定されない緩降下アプローチで、しかも機速を殺す必要のない体当たり自爆、という結論を導き出した。これが特攻だが、いくらエンジンを全開にして降下しても、艦爆の衝突エネルギーは急降下爆撃機の投下した爆弾のそれには及ばないので、空母戦艦の撃沈を最初から諦め、上部構造の破壊や甲の人員の殺傷のみを期待できる戦法だった。

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関連項目

脚注

  1. *日本海軍兵備再考」兵頭二十八/宗像和広 銀河出版 1995 pp.120-123
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