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この記事は、正確性を保証するものではありません。 現実の法律問題については専門家に相談してください。 |
契約とは、二人以上の当事者の相対する意思表示が合致して成立する法律行為である。
契約はある者が別の者に対してこういう契約をしたいという意思表示をして、それに対して相手方がその契約を受けるという意思表示をすることによって成立する。前者を申込みといい、後者を承諾という。契約は申込みと承諾が一致することにより成立するものである。
意思表示とは法律的な効果を発生させたいということを外部に示すことである。たとえば売買契約の買い手の場合、買おうと思うことが意思、買いたいと言うことが表示であり、この両方が合わさって意思表示なる。この意思表示にしたがって実際に法律的な効果が発生する場合、それを法律行為という。契約は代表的な法律行為の一つである。契約が成立すると原則として契約内容に従って当事者間に権利義務関係が発生する。
申込みも承諾も口頭でもよく、契約書のない契約も有効である。契約書は契約の成立と内容の証拠にすぎない。ただし、保証契約のように契約書等を成立要件としている契約も存在する。
近代私法の基本原則の一つに契約自由の原則がある。これは、契約はお互いが望んで行うものであるから、契約を締結するかどうか、相手方は誰か、内容や方式はどのようなものであるかは全て自由であり国家の干渉を受けるべきではないというものである。契約自由の原則の背景には、個人が平等であれば自由競争が社会を有益にするという思想があるとされている。しかし、現代社会においては大企業と一消費者のように持っている情報や立場の面で平等とは言えない場合も多いため、様々な法律で契約自由の原則を制限していることも多い。
契約に関する基本的な事項は民法で規定されている。契約の類型によっては消費者契約法や特定商取引に関する法律など特別の法律で規定されているものもある。そのような契約についてはまず、特別な法律の規定を適用し、その法律に規定がない場合は、民法の規定で判断することとなる。重要事項の説明やクーリングオフなどは特別な法律で定まっているものであり、全ての契約に適用できるわけではない。
自身がよく分からない分野の契約、説明が曖昧など少しでも違和感のある場合は相手の言い分やパンフレットの数値を鵜呑みにして即決せず、企業や商品レビューを必ず調べる、利点と併せ欠点や維持管理費用なども考慮するといった対抗策も必要である。
※相手が悪質な場合、相手に聞いても(その相手に)都合の良い事しか返ってこない。
詐欺や悪徳業者なども該当しやすく、安いものには安いだけの理由があるといった点も忘れてはいけない。安価で釣り上げ諸費用を加算していき全然安価でなくなる…といったボッタクリ手口もある。
契約について説明する前に無効と取消の違いについて説明しておく。無効とは最初から効力がないことであり、取消とは効力が発生しているものについて意思表示により効力が生じなかったことにすることである。取消には取消権を持つ者が意思表示をすることによって初めて起こるものであるのに対し、無効は誰かが意思表示をしなくても当然に効力を発生しないものである。
たとえば、後で説明するように詐欺にあって契約をした場合は契約の取消が可能である。しかし、詐欺の被害者が詐欺の事実を知った上で契約が有利であるという理由から取消を行わないこともできる。そして、契約を認める追認により不完全な法律行為を有効に確定させることができる。しかし、これが取消ではなく無効であったとしたら、仮に当事者が契約内容に満足していたとしても契約の追認により有効にすることは出来ない。
一般的に、取消は取消権を持つ者を保護する目的で規定されていることが多く、無効は法の理念を守るために規定されていることが多いとされている。
契約は法律行為の一つであるから、民法における法律行為に関する規定については原則として契約についても適用される。
たとえば、法令の公の秩序に関する規定(強行規定)に反する法律行為は無効である。また、法令には違反していなくても公序良俗に反するものも無効である。ただし、どの規定が強行規定であるかは必ずしも明文化されておらず、公序良俗に反するものとはどんなものであるかについても議論がある。
他にも意思能力のない者が行った法律行為は無効であるとされている。意思能力とは自分がした法律行為によりどんな権利義務関係が発生するか理解する能力のことである。しかし、意思能力があるかどうかは立証が難しいため、民法では制限行為能力者という制度をもうけて取引をする能力が欠けている者を保護している。単独で有効な法律行為をなしうる能力を行為能力といい、この行為能力が制限される者が制限行為能力者である。制限行為能力者には次の4種類がある。
また、契約は当事者の意思表示によって成立するものであるから、民法における意思表示に関する規定も契約を考える上で重要である。契約当事者が自由な意思決定をし、その意思に従った表示がされていれば何も問題ないが、実際にはそのような場合に限られない。意思決定と外部に示した表示が異なる場合を「意思の欠缺(けんけつ)」といい、そもそも意思決定自体が自由になされなかった場合を「瑕疵(かし)ある意思表示」という。
意思の欠缺には次の3種類がある。
瑕疵ある意思表示には次の2種類がある。
民法では代表的な13種類の契約を定めている。これを典型契約という。具体的には贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解である。これらはあくまで例示にすぎず、この13種類以外の契約も有効である。これを非典型契約という。また、典型契約についても雇用契約が労働法で制限されているように、民法以外の法律に規定があるものも多い。
契約当事者が互いに経済的対価を支払う契約を有償契約といい、有償契約以外の契約を無償契約という。また、契約当事者が互いに対価的な権利義務関係を有する契約を双務契約といい、双務契約以外の契約を片務契約という。双務契約であれば有償契約であるが、逆は成り立たない。たとえば利息をつけてお金を貸す契約(利息付金銭消費貸借契約)では、貸主は貸すお金を、借主は利息を支払うため有償契約になるが、契約の成立にはお金を貸すという行為が必要であり、契約が成立した時点で貸主に義務は存在しないから片務契約になる。なお、このように物の引渡しなどの行為が必要な契約を要物(ようぶつ)契約といい、当事者の合意のみで成立する契約を諾成(だくせい)契約という
消費者と事業者との間の情報や交渉力の格差を考慮し、消費者と事業者の間の契約に一定の制限を設けることにより消費者の利益を守る目的で成立したのが消費者契約法である。これまでも銀行法や保険業法など特定の契約について消費者保護を目指した法律はあったが、消費者契約法は対象となる契約が広く消費者と事業者の間の契約ならばほぼ全て対象になる。
消費者契約法では不適切な勧誘で誤認・困惑した契約の取消と消費者に一方的に不当・不利益な条項の無効について定めている。不適切な勧誘には次の5つがある。
なお、不適切な勧誘の場合の取消は誤認に気づくか困惑した時から6ヶ月以内で、かつ契約から5年以内でなければならない。また、不適切な勧誘があったとしても、誤認・困惑しなかった場合は対象外である。不当・不利益な条項には次の4つがある。
これらの条項は無効であるため、当事者が取消を行う必要はなく期間の制限もない。
訪問販売など特にトラブルが多い取引を特定商取引として規定し一定の制限を加えたのが特定商取引に関する法律である。特定商取引法又は特商法と略されることが多い。特定商取引には次の5つがある。
特定商取引を行う事業者には特定商取引の種類に応じて、事業者や勧誘目的の明示義務、不当な勧誘の禁止、誇大広告の禁止や広告への重要事項の記載義務、消費者への書面交付義務などの規制がある。また、いわゆるクーリングオフ規定がある。これは、申込み又は契約後に契約書面等を受け取ってから一定期間であれば、消費者は無条件に契約を取消しできでるというものである。一定期間とは訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供は8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引は20日間である。なお、通信販売にはクーリングオフはない。
雇用契約書・労働契約書といった書面で交わされるもの。
無知な若者のアルバイトや派遣社員に対して不当な雇用契約書(または労働契約書)を盾に酷使するブラック企業もある。常識の範囲を逸脱するもの、労働基準法に違反するような契約[1]は署名捺印してあろうが双方が同意していようが元から無効である。
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最終更新:2025/03/03(月) 08:00
最終更新:2025/03/03(月) 08:00
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