アゼリ(Azeri)は、1998年生まれのアメリカの競走馬である。後に日本に繁殖牝馬として輸入されている。
父Jade Hunter、母Zodiac Miss、母父Ahonooraという血統。
父*ジェイドハンターはイギリス出身だが後にアメリカに移籍してGIを2勝し、通算14戦6勝。日本でも1年だけリース供用されたが、アメリカ生まれの外国産馬である*エーピーグランプリ(ラジオたんぱ賞)に匹敵する産駒は出なかった。
母ゾディアックミスはオーストラリアでGIII1勝を含む9戦3勝だが、本馬を産んだ翌年に落雷で死亡し、デビューした産駒は本馬のみである。ゾディアックミスの従弟には1999年にBCマイルを勝ったSilicがいるほか、その母Capricorniaのいとこにいずれも仏GIを勝った*ノーリュート(リュパン賞)とRiver Lady(プール・デッセ・デ・プーリッシュ)の兄妹がいる。
母父アホヌーラは競走馬としては大物になりきれなかったが種牡馬として成功を収めた。
本馬はCigarや*アラジといった名馬を所有したアレン・ポールソンがケンタッキー州に所有するブルックサイドファームで生産した馬である。両馬同様に航空チェックポイントから名前を取り、アゼルバイジャンの首都バクーにある「Azeri」からその名を付けられた本馬だが、1歳9月のキーンランドセールでは買い手がつかずに11万ドルで買い戻しとなった。翌年にポールソンが死去すると、息子のマイケルが所有することになった。
最初はサイモン・ブレイ調教師に預けられた本馬だが、結局デビューすることなく3歳8月に女性調教師のローラ・デ・セルー師の元に移った。更に3ヶ月が経った3歳11月に主戦のマイク・スミス騎手鞍上でようやくデビューし、6番人気ながら先行抜け出しで6馬身差の圧勝を決めてデビュー勝ちした。翌月の一般競走と年を跨いで4歳1月のオプショナルクレーミング競走(出走馬の一部が売りに出されているレース)を連勝したが、初重賞出走となったラカナダS(GII)では先に抜け出したSummer Colonyに1馬身及ばず2着となった。
続くサンタマルガリータ招待H(GI・9ハロン)では前々年のBCディスタフを勝ち前年のBCディスタフで2着だったSpainが先に抜け出す展開となったが、これを直線で一気に差し切ると3馬身差をつけてあっさりGI初勝利を挙げた。次走アップルブロッサムH(GI・8.5ハロン)では直線入り口で先頭に立った本馬に同期で前年クイーンエリザベスII世チャレンジカップS(GI)勝ち馬のAffluentが襲いかかったがこれを1馬身1/4差で破って勝利した。
ミレイディブリーダーズカップH(GI・8.5ハロン)ではスミス騎手の判断でスタートから逃げ、そのまま3馬身半差で押し切った。ヴァニティH(GI・9ハロン)も3馬身差で逃げ切り、126ポンド(約57.2kg)や127ポンド(約57.6kg)という抜けたトップハンデを背負わされたクレメント・L.ハーシュH(GII)とレディーズシークレットブリーダーズカップH(GII)をいずれも楽勝した。
ここで初の遠征を行い、中東部のイリノイ州・アーリントンパーク競馬場での開催となったブリーダーズカップ・ディスタフに出走した。ここではSpainやAffluentといった対戦経験のある有力馬はおらず、アッシュランドS・スピンスターSとGI2勝を挙げている3歳馬Take Charge Lady、ケンタッキーオークスとアラバマSを連勝してきているFarda Amigaなどが相手となった。
レースでは単勝2.8倍の1番人気に支持されるとスタートから先頭に立ち、直線で好位から2番手に上がったFarda Amigaに影を踏ませず5馬身差で逃げ切った。
この年は9戦8勝を挙げて文句なしでエクリプス賞最優秀古馬牝馬を受賞した。また年度代表馬も受賞したが、過去に牝馬で受賞したAll AlongやLady's Secretと違って牝馬限定戦にしか出走していなかったため、一部に異論を唱える向きもあった。
5歳時はアップルブロッサムHから始動した。ここでは逃げたTake Charge Ladyを番手から追撃すると直線で差を少しずつ縮め、アタマ差で交わして勝利した。続くミレイディブリーダーズカップHでは2番手から向こう正面で早めに先頭に立つとそのまま3馬身差で押し切った。ヴァニティHとクレメント・L.ハーシュHではいずれも127ポンドのトップハンデとなったが、道中他馬に絡まれながらも逃げて完勝し連勝を11に伸ばした。
レディーズシークレットブリーダーズカップHでは、128ポンド(約58.1kg)という斤量を背負いながらも1.2倍の断然人気に推された。しかし出負けした上に直線で斜行してきたElloluvから不利を受け、2着(3位入線からの繰り上がり)に敗退した。
このレース後、セルー師が引退を勧めるほどの屈腱炎を発症し、ブリーダーズカップには出走せずシーズンを終えた。エクリプス賞ではGI4連勝を挙げた4歳馬Sightseekを抑えて再び最優秀古馬牝馬を受賞した。
馬主のポールソンは本馬を諦めず、最終的にダレル・ウェイン・ルーカス調教師に本馬を預けて再起を試みた。半年の休養の後、3連覇がかかるアップルブロッサムHで復帰した。
ここではチリでGI3勝を挙げた後に移籍してきてラフィアンH(GI)を含む重賞3勝を挙げていたWild Spirit、前年のアラバマSなどGI3勝の4歳馬*アイランドファッションといった新興勢力の前に1番人気こそ譲ったが、レースでは以前同様にスタートから逃げて2位入線(進路妨害で3着降着)のWild Spiritに1馬身半差で逃げ切り、復帰初戦を勝利で飾った。
しかし、続くヒューマナディスタフH(GI・7ハロン)では3着以下こそ離したものの軽ハンデのMayo on the Sideにアタマ差で敗れ2着、初の牡馬混合戦となったメトロポリタンH(GI・1マイル)では番手追走も伸びずブービー8着、単勝1.8倍の支持を受けたオグデン・フィップスH(GI・8.5ハロン)では初の直接対決となったSightseekに4角で交わされると失速し4着最下位と足踏みが続いた。なお、メトロポリタンHから主戦がパット・デイ騎手に交代している。
ゴーフォーワンドH(GI・9ハロン)でもSightseekとの対戦となり、前走同様逃げた本馬に4角でSightseekが詰め寄ってきたが、今度は直線で粘り腰を見せ、Sightseekに1馬身3/4差をつけ逃げ切ってGI10勝目を挙げた。この勝利でSpainが記録した北米における牝馬の最高賞金記録を更新した。
パーソナルエンスンH(GI・10ハロン)ではハナを叩いたRoar Emotionを追撃したのが響いたか直線で伸びを欠き、奇しくもレース名の由来であるPersonal Ensignを祖母に持つ前々年のエクリプス賞最優秀2歳牝馬Storm Flag Flyingに差され1馬身1/4差2着に敗れた。しかし、続くスピンスターS(GI・9ハロン)では逃げたTamweelの番手から運ぶと直線あっさり交わして3馬身差で勝利した。
この後はブリーダーズカップ・ディスタフではなく、牡馬相手のブリーダーズカップ・クラシックに出走した。しかし相手が持ち前の快速を武器に4連勝中のGhostzapperや前年覇者Pleasantly Perfect、GIホイットニーHを含む5連勝中の*ロージズインメイなどでは流石に分が悪く、逃げたGhostzapperに追いつけず9馬身3/4差の5着までだった。
牡馬混合戦こそ大敗したものの、シーズンを通しての活躍を評価され史上初めて3年連続でエクリプス賞最優秀古馬牝馬を受賞した。また、通算獲得賞金407万9820ドルは後にZenyattaが更新するまでの北米における牝馬の最高記録だった。
引退後はケンタッキー州で繁殖入りし、アメリカで3頭の仔を産んだ。2009年にノーザンファームの吉田勝己代表に購買され来日した。この2009年にGhostzapperとの年度代表馬配合で産まれたWine PrincessはアメリカでGII・GIIIを1勝ずつしている。
日本ではディープインパクトとの配合が多く、セリに上場された産駒は2億5200万円で落札されたロイカバードを筆頭に高額となる傾向が強かったが、堅実に勝ちはするものの重賞ではロイカバードの2016年きさらぎ賞・京都新聞杯3着とシルヴァンシャーの2019年京都大賞典3着が最高とイマイチ伸びきれていないところは否めない。
2020年に父*ドレフォンの牝馬を産んだのを最後に繁殖を引退し、ノーザンファームのリードホースとなっている。本国では2005年にオークローンブリーダーズカップH(GII)がアゼリブリーダーズカップH(後にアゼリS)と改名されたほか、2010年に殿堂入りしている。
*ジェイドハンター Jade Hunter 1984 栗毛 |
Mr. Prospector 1970 鹿毛 |
Raise a Native | Native Dancer |
Raise You | |||
Gold Digger | Nashua | ||
Sequence | |||
Jadana 1979 鹿毛 |
Pharly | Lyphard | |
Comely | |||
Janina | Match | ||
Jennifer | |||
Zodiac Miss 1989 栗毛 FNo.1-l |
Ahonoora 1975 栗毛 |
Lorenzaccio | Klairon |
Phoenissa | |||
Helen Nichols | Martial | ||
Quaker Girl | |||
Capriconia 1983 鹿毛 |
*トライマイベスト Try My Best |
Northern Dancer | |
Sex Appeal | |||
Franconia | *ラインゴールド Rheingold |
||
Miss Glasso |
クロス:Northern Dancer 5×4(9.38%)
掲示板
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最終更新:2024/12/22(日) 02:00
最終更新:2024/12/22(日) 01:00
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