定規とは、以下の意味を持つ言葉である。
- 定規(ていき) - 定まっている規則。決まっている物事。
- 定規(じょうぎ/ていき) - 線を引いたり図形を描いたりする際に正確に描けるように補助する道具。
この記事では2について解説する。
概要
直線や曲線を引くときに用いる器具。線を引く道具のため、目盛りはついてなくても構わないし、実際に目盛りの無い定規も売られている。
古くは「定木」とも書いた。こう書いた場合でも、木製のものに限らず、竹製やプラスチック製のものを指すことがある。これは筆を使わなくなっても「筆箱」というのと同様である。
「物差し」という用語とはしばしば混同されるが、「定規」は線を引くための道具、「物差し」は長さを測るための道具と使い分けることがある。もっとも、学校や日常生活で使うものは、両者を兼ねるものがほとんどのため、さほど気にする必要はない。
ただし、製図用など、より正確性や使いやすさが求められる場合は重要になる。
例えば、「直角を出す」という点では同じであるにもかかわらず、「定規」である三角定規は直線を引きやすく、「物差し」である指矩(さしがね)では困難である。一方、木材の端から○cmのところに印をつける、などは指矩の方が使いやすい。
種類
様々な種類の定規がある。直線だけとは限らない。
直定規
直線のみに対応した定規。長方形をしている。
三角定規
→三角定規
直角三角形をした定規。通常は、60度/30度と、45度/45度の2枚組である。この組は、前者の長い方の隣辺と、後者の斜辺が同じ長さになっている。
直角を利用して垂直・平行な線が描ける。平行線は、定規を2枚使用し、一方を滑らせると描きやすい。
直角定規(スコヤ)
主に建築などで用いられる。直角をけがくためのL字型の定規。
L字の短辺は分厚くなっており、ここに基準面を当てることによって、より正確に直角を出すことができる。
似たような道具に指矩(さしがね)がある。用途に応じて使い分けたり、どちらか一方で代用したりする。
T定規
T字の頭部を製図板の縁にあてがうことで水平線を引くことができる。垂直な線は、この上に三角定規をあてがって引く。
90年代以降は、ドラフターの普及によりほとんど使われることがなくなり、さらに後の時代にはCADが普及したことにより、ますます使われなくなった。
ドラフター
→ドラフター
製図板上にアームがついており、そこにL字型の定規がついている製図用具。
上記T定規以外にも様々な機能がついており、CADが普及するまでは活躍した。
雲形定規
→雲形定規
コンパスやテンプレートでは描けない曲線を引くための定規。
様々な形状があり、複数枚組になったものが多いが、1枚でいろいろな曲線が引けるものもある。
引きたい曲線にあう部分を探してあてがい、線を引いて使う。
しかし、雲形定規は曲率の変化が「引きたい曲線に合う部分」を探すのが大変である。
従って、用途によっては他の曲線定規を使った方がいい場合もある。
その他の曲線定規
円以外の曲線は、任意寸法で描くことが困難である。
これらの曲線のうち、特定の業務でよく使うものは専用の定規がある。
寸法の違うものが組になっていることが多い。業務用のものでは、小さなものから大きなものまで数十枚組になったものが売っている場合も。
自在曲線定規
鉛の板が内蔵された、柔らかいプラスチックの定規。
自在に曲げることができ、任意の曲線に対応する。
構造上、あまり大きく曲げることはできない。そのため、あまりにも急なカーブや、学校のノートなど小さい場所には向かない。
学校における定規
図形や線を描くときお世話になるであろう道具。
特に小学生の頃は、フリーハンドで綺麗な直線を描くのは難しいため、算数や図工の授業でなくとも使った方が見やすく、きれいになる場合もあるだろう。
児童・生徒が使うものとは別に、教員が黒板で用いる用の巨大な定規もある。
しかし、見やすさのために湾曲している黒板もあり、その場合はフリーハンドで描かなければならない。
定規と授業評価について
テストで「定規を使わないと×」とする教員がおり、その是非がインターネット上で論争になることがある。また、授業中ノートを取る際、幾何学的正確性が求められない文脈なのに、定規を使わないとかき直しを指導する例もある。
まず前提として、定規は道具であり、道具は「使った方が便利になるもの」である。「使わないと間違いになるもの」ではない。むしろ、要不要を状況に応じて判断するのも重要な能力である。
また、算数/数学と理科の一部を除く教科で、描いた図形が正確に直線であることが求められることはない。「答案やノートが綺麗であるかどうか」は算数でも(書写以外の)国語でも理科でも社会でもなく、生活態度の評価規準ですらない。読み間違いなどがない限り、評価の対象となるべきではないものである。
「先生が定規を使いましょうと言ったから」を根拠に「先生の話を聞いているかどうか」の評価規準として適切、という考え方もあるが、評価規準というのは「○○していれば××の能力があり、していなければない」と明確に決定できなければならないものである。「定規を使わないならば先生の話を聞いていない」とは限らないため(先生の話といえど鵜呑みにせず、自分で判断できる能力がある、という場合もある)、は評価規準として信頼性があるとはいえない。
三角形や四角形、グラフなど、幾何学的考察の対象となる図形を描くときは、定規を必須とすることに妥当性がある。「三角形を作図せよ」という問題は、引いた線がほぼ直線でなければ三角形とは認められない。
ただしこの場合も、作図することが題意でない場合は、意図が伝わるのであればフリーハンドでも差し支えはないと考えられ、事実高校数学ではそのような評価となっている。
例えば、証明問題で「図の三角形ABCは~」という時の図は、三角形で、頂点ABCがどこを指しているのかなど、理解に必要な部分が示されていれば、すなわち、証明を見ている人が三角形ABCを正確に脳内に思い浮かべられるのであれば、その三角形が定規で描かれているかどうかは関係ない。
筆算の答えを書く際の直線や、分数の括線(分子と分母の間に引く線)は、上下を区別するためのものである。区別できていれば正確に直線である必要はない。
例えば、以下の答案を定規を使っていないからと言う理由で×にすべきではない。
このように、道具は用途によって使い分けるものであり、直線も目的によって正確性が求められる場合とそうでない場合がある。定規を使わなかったから×という評価は、幾何学的厳密性が求められる作図に対してのみ行うべきものであろう。
他の使い方
定規は作図・計測用の道具であり、本来の用途以外に使うと目盛りや直線が歪んでしまうことがある。本当は推奨されない使い方である。
棒状であることから、チャンバラなどに用いられたり、投げたりスカートめくりに用いられたりと乱暴な使われ方がされることもしばしば。
プラスチックの板であることから、机の上を滑らせて落とし合う遊びもある。
また、はじくことで特徴的な音が鳴るため、これを利用して楽器のように使う人もいる。 →モノサシスト
慣用句
杓子定規
→杓子定規
直線部分のないしゃもじを定規にすることから、どんなねじ曲がった規則にも従うこと、または従わせようとすること。
関連動画(モノサシ含む)
関連コミュニティ(モノサシ含む)
関連項目(モノサシ含む)
- 5
- 0pt