孔子(前551~前479)とは、古代中国の思想家で、儒教の創始者である。
孔子の生涯
魯国の昌平郷の陬邑で生まれる。名は丘、字は仲尼。先祖は宋国にいたという。若いころの事績は不明で、確実なのは『論語』為政篇にある15歳で学問を志し、30歳で身を立てられた、というものである。
李氏の役人になると、牛馬を飼育する役職に就いたという。やがて魯を去り、諸国を転々としていったとする。そして52歳の時『史記』によれば再度魯国でようやく政治に関与することとなった。しかしライバル国である斉が孔子の政治力を恐れて女楽を送り、それを機に再び魯を去ることとなった。
孔子はその後諸国を転々し教えを説き、前482年に69歳で魯に帰国。経書の整理と弟子の育成に努め、73歳で没することとなる。
司馬遷の記した『史記』孔子世家は伝説が多く含まれており、現代においても多大な影響力を有すこの人物の生涯は、謎に包まれているようだ。
孔子の思想
孔子の生きた春秋時代末期は、礼を基礎に置く古代周王朝の礼政一致の封建制度が崩壊し始めていた。孔子はそんな時代に周の一族の国である魯を立て直すため、下剋上の風潮の中で単なる理想主義に走らず、政治に関与していった。
そのために彼が行ったのは、大義名分を正すことによる社会秩序の回復である。それを実現させるためには為政者が有徳者でなければならず、徳治を説く。さらに当然民は為政者に従うべきと考え、孝を重んじさせる。そしてその核となるのが人を愛すること、すなわち「仁」である。この結果儒学では、仁を中核に礼を重んじる思想が発展していった。
ただし、現在は儒教として宗教化しているが、孔子は天明と鬼神については語っていない。あくまでも人として生きていくための日常道徳、それこそが孔子の思想だったのである。
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