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ビタミンAとは、脂溶性ビタミンの一種である。レチノールなどとも呼ばれる。
概要
ニンジンやカボチャなどに含まれるβカロテンを始めとするカロテノイドから小腸内で作られるほか、レバーやニンニク、ウナギなどにも多く含まれる。
暗いところで物を見るときは視細胞の感光タンパク質が利用されるが、その過程でビタミンAは常に消費されている。そのためビタミンAが欠乏すると、暗いところで物がよく見えなくなる「夜盲症(トリ目)」という状態に陥る。また皮膚や髪などの上皮組織形成にも関わっていて、欠乏により皮膚が乾燥しやすくなったり髪が細くなったりする。体を作るビタミンであるため、妊婦や幼児にとって重要なビタミンである。
脂溶性ビタミンなので、ニンジンなど単体で食べるよりも油で炒めたりするほうが効率良く摂れる。しかし過剰分が尿で排泄される水溶性ビタミンと違い、過剰に摂ると過剰症というマイナス作用も出るので注意。過剰症としては頭蓋内圧の上昇、肝障害など。特に妊婦の場合は胎児への催奇形性を示すことがある。
ちなみにβカロテンなどは必要な分だけ体内でビタミンAに変換されるため、過剰症を引き起こしにくい。
妊娠を計画している女性はレバーとやつめうなぎに注意
ビタミンAが含まれている食品には以下のようなものがある
食品 | レチノール当量(μg/100g) | 国際単位(I.U./100g) | 5000I.U.を摂取するのに必要な量(g) |
鶏レバー(生) | 14,000 | 47,000 | 11 |
豚レバー(生) | 13,000 | 43,000 | 12 |
やつめうなぎ | 8,200 | 27,000 | 18 |
牛レバー(生) | 1,100 | 3,700 | 136 |
前述したように催奇形性(奇形児が生まれる)を引き起こすため妊娠3ヶ月以内、または妊娠を希望する女性5000I.U/日以上のビタミンAの投与は禁忌となっている。しかし上記表で分かるとおり、この量は食品でも簡単に取れてしまうため注意が必要である。タイトルで「妊娠を計画している」と書いたのは通常奇形が問題となってくる妊娠1ヶ月はまだ妊娠に気がつかない時期であり、計画的な妊娠でないと気をつけようがないからである。催奇形性については「サリドマイド」の項目が参考になる。
厄介なことにビタミンAは摂らなすぎも良くないので、人参などに含まれるβカロチンの形で摂取しておくと良い。
過剰なビタミンAの健康障害
催奇形性を含めて過剰なビタミンAでは以下のような健康障害がある
健康障害項目 | 最小用量 |
頭蓋内圧上昇による泉門の隆起 | 7,500μgRE(幼児の1 回摂取) |
肝毒性 | 7,500μgRE/日を6 年間摂取 |
骨密度の減少と骨折(34~77 歳の女性) | 1,500μgRE/日の摂取 |
脂肪代謝(コレステロールの上昇) | 7,500μgRE/日を4 年間毎日摂取 |
催奇形性 | 3,000μgRE/日を超える摂取 |
ビタミンA不足による健康障害
ビタミンAが不足すると夜盲症、結膜・角膜乾燥症に進行しついには失明する。発展途上国では25万~50万人/年ビタミンA不足から失明すると推定されている。
ビタミンA不足の原因
関連動画
関連リンク
- ビタミンAの過剰摂取による影響(pdfファイル)
- 内閣府食品安全委員会
関連項目
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- ページ番号: 5017313
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