HDD(Hard Disc Drive, ハードディスクドライブ)とは、パソコンなどに用いられる記憶装置の1つである。単にハードディスクと呼ぶこともある。
概要
音楽用カセットテープ、ビデオテープ等の磁気テープメディア、フロッピーディスク同様、磁気記録方式のストレージである。多くの場合金属製のケースで覆う等の耐磁防護を施してあるが、強磁界の磁石・磁性体はデーターを損壊する可能性があるので近づけない方が良い。(逆に不要になったHDDを捨てる際は強力な磁石を近づけたりすると良い。それでも不安ならHDDの蓋をあけるとデータが読み出せなくなる。)
電源をつけている間しか記憶しておけない(揮発性メモリ)メインメモリに対し、HDDは電源を消してもデータを記憶しつづけることができる(不揮発性メモリ)。現在は3.5インチ(デスクトップ用)のものと2.5インチ(ノートPC・PS3・Xbox360用)が主流だが、HDDビデオカメラやiPod classicや極少数のPCは1.8インチを搭載していた。(現在1.8インチはマイナーになっている)
プラッタと呼ばれる磁性体を塗布された硬質円盤(材質は金属・ガラス等)が1~数枚入っており、これに髪の毛も通らないようなわずかな隙間で浮いた磁気ヘッドからの磁気を当てて、磁力の向きを変化させることにより、データを記録する。
内蔵する場合は本体がSATA、PATA(IDE)、SCSIなど複数存在する規格のどれに対応しているかを調べて合わせる必要がある上(最近はSATA以外しか対応してないHDD/マザボなんてハードオフのジャンクコーナーでしかお目にかからないが)、ノートPCの場合は取り替える形で付ける必要があるためメーカー保証外となる(デスクトップ型も同じく保証外になるが基本的に取り外す必要がないため簡単。※保証対象外の基準はメーカーによって異なり、取り付けただけでは保証の対象外とならないメーカーもある。この場合、増設したHDDによる不具合が対象外である。これについては各取扱説明書に必ず記載されている)ので、簡単に増やしたい場合は外付け型のHDD(USB3.0/USB3.1で接続)を買うのが無難。
電源を消してもデータを記憶しつづけられる、とは言うもののディスク媒体の性質上衝撃や傷に弱く、稼働中の回転による部品劣化は避けられない。そのため、定期的に外部の記憶媒体にバックアップをとるべきである。S.M.A.R.T.という機能に対応したツールを使うことにより、HDDのある程度の寿命がわかるとされているが、Googleによればそんなものにも関係なく突発的に故障することが殆どだという研究結果もある。
但しGoogleの資料でも50℃を超えると如実に故障率が上がっているので、あまり彼のことを熱くさせないのが身のためである。
とにかく、HDDがおかしな音を立て始めたら急いでバックアップを取ろう!
そういった理由もあり最近では速くて衝撃に強いSSDが軍配を上げている。(SSDも突然データが読めなくなることもあり、HDD程ではないが熱に弱いのでバックアップは取ること)PS5では標準でSSD装備になった他、1TB帯ではHDDと遜色ない価格なこともあり、パソコンのOS起動ドライブはそっちに持っていかれがちである。一方で4TB以上の大容量帯ではまだまだ価格面的にHDDは現役でSSD + HDDで動かしている方も多いだろう。
なおHDDに使われている磁石は大変強力で、壊れたHDDから取り出した物は掲示物やブルーシートの固定などに大変重宝するが、指をはさむととても痛いので取り扱いに注意しよう。
主要メーカー
- WesternDigital (世界シェア約50%)
1980年代よりHDDを製造しているが、元々は半導体チップメーカーでHDD専業化は90年代に入ってからである。WD Greenシリーズの低価格と低発熱・低消費電力によりシェアを伸ばしている。
現在の主なラインナップは、
標準型「WD Blue」
低消費電力「WD Green」
高性能「WD Black」
NAS向け「WD Red」
エンタープライズ向け「WD XE・WD RE」
- Seagate Technology (世界シェア約40%)
80年代からHDD専業の老舗である。古くから全方位的なラインナップで製品を供給している。特にエンタープライズ向けの製品シェアが高い。2011年にはSamsungのHDD部門を買収した。
現在の主なラインナップは
3.5inchデスクトップ向け「Barracuda」
2.5inchノート向け「Momentus」
エンタープライズ向け「Constellation」
ハイエンドエンタープライズ向け「Savvio」
- 東芝 ストレージプロダクツ (世界シェア約10%)
小型HDDに強いメーカー。1.8inch・2.5inchで高いシェアを誇る。現在全体シェアは低迷しているが、富士通のHDD部門合併・WDからの3.5inch製造工場買収などで存在感を示そうとしている。
特に、元々NANDフラッシュメモリに強いこともあり、SSDとの融合で競争力を上げようとしている。
ラインナップはMK・DT等があるが、シリーズ名が無くあまり区別されずに型番付けされている。
過去のメーカー
- Samsung
主に2000年代より参入したメーカー。あまりシェアを伸ばせずシーゲートに部門売却。現在はSSD屋に転身している。 - 富士通
2000年頃までは日本最大のメーカーで世界シェア十数%程度あったが、競争激化に伴い東芝に売却。 - マックストア
主要メーカーの一つだったが、小型・エンタープライズ品のシェアを伸ばせずシーゲートが買収 - クアンタム
総合ストレージメーカーでHDDも世界上位だったが、エンタープライズ特化のためマックストアに部門売却 - IBM
世界初のHDDメーカー。IBMの業績悪化・ハードウェア脱却方針に伴い日立製作所に部門売却
関連項目
関連動画
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