出撃前には絶対にサーロインステーキを食べてはいけません。 「俺のステーキ……」 |
ステーキは厚切り肉を鉄板で焼いた肉料理。主に牛肉を用いるが、鶏肉・豚肉・羊肉、更には魚肉(カジキマグロ等)もよく用いられる。ただし、単に「ステーキ」と言う時は特に指定が無い限り牛肉、つまり「ビフテキ」のことを指す。
概要
肉を焼き易い大きさに切って、フライパン・鉄板・焼き網の上で焼くだけの極めてシンプルな料理である。それ故、刺身・寿司と同様、素材である肉の善し悪しと調理人の腕前に依存する料理である。
大きさとしては120g~300g程度が目安。尚、生肉を一口で食べられる大きさに切って焼いたものは「焼肉」として区別される。
良質な肉は往々にして高額で販売される。日本では穀物飼料で肥育して脂肪をたっぷりと蓄え、赤身(筋肉)に網目状に脂肪が入った([1])国産和牛の霜降り肉が高級肉として尊ばれている。が、牧草を中心として肥育された脂肪の少ない赤身肉も、余分な脂肪の無い健康的な肉として再評価されつつある。
一般家庭では柔らかい高級和牛のステーキはそうそう食卓には供せないから、必然的に脂肪の少なく硬い肉をステーキに供さざるを得ない。普通のデザートナイフの様ななまくらとは大違いの凶暴な切れ味を誇る、硬い肉でも易々と切れるステーキ専用ナイフ&フォークのセットを揃えるのがお勧めである。庶民の味方、100円ショップ・通信販売で廉価に販売されている。
焼き方には様々な種類があり、それぞれ味わいが異なる(後述)
ステーキに使用される肉の部位はサーロイン・フィレ(ヒレ・テンダロイン)・リブ・ランプ等が一般的。これらの部位は肉質が柔らかかったり、脂肪分を多く含んだりしているので、ステーキにするのに適している。
挽肉を捏ねて丸めて整形してフライパンで焼き目を付けて、オーブンでこんがり焼き上げたハンバーグステーキもステーキの一種である。
また、半生肉を挽肉にしてそのまま味わうタルタルステーキもステーキの一種である。元は騎馬民族の保存食であった。
低価格なステーキ向けにサイコロ型・ステーキ肉型に「整形」された「ステーキ用成形肉」が外食産業・業務用冷凍食品を中心に流通をしている。[2]
ステーキソースは洋風のグレービーソース・焼き肉のタレベースが多かったが、今は和風の醤油ベースのものも確実に地盤を固めて一大勢力と成っている。さらに和風な食べ方として、生醤油+山葵・柚胡椒と言う組み合わせや、ポン酢+大根下ろし・紅葉下ろしで食べる場合も増えている。
尚、「肉本来の味を味わってもらう」為に、一部の最高級店では調理は牛脂、味付けは塩のみ、というところもある。この場合、最高級の肉の旨みだけがじんわり広がって何とも言えない味を醸し出す。ただし、何もつけないで美味しいと感じられるのはごく一部の高級肉であることに注意。安い肉を使ったのではあまりお勧めできず、タレが美味しいと感じる人にも向かない。逆に、安価な肉を美味しく食べようとする場合には調理過程にかなりの手間ひまをかけ、ウェルダン以上の焼き加減でしっかり焼き、濃厚な味付けをする必要がある。
基本的な調理方法
加熱調理が不十分でも比較的安心して食べられるので、料理初心者には牛肉のステーキがお勧めである。豚肉・鶏肉でも問題なく生食に出来る種類の肉があるが、一般的とは言い難い。
- 肉は常温に戻してから筋を切って、塩・胡椒を振り、擦り込む
- フライパンや鉄板を十分に加熱し、牛脂・バター・オリーブオイル・菜種油・胡麻油等の油を引き、肉の表面を一気に焼き、肉の旨味が詰まった肉汁が逃げ出さない様に封じ込める。
- 火力を落として、じんわりと肉に火を通し、好みの焼き加減になったらブランデーでフランベをして香り付けをする
- 熱した鉄板皿・温めた平皿にステーキを載せて、お好みでメートルドテルバター、ホースラディッシュ等と付け合わせ野菜を載せて出来上がり!
焼く際に使用する油は基本的に何でも良いが、油にはそれぞれ独特の香りと味があるので、肉の味を純粋に味わいたい人は牛脂を使用すると良い。なお、サラダ油は名前の通り、「サラダ=生野菜にかける専用の油」である事が多く、加熱すると劣化する為、炒め物・揚げ物に不向きな油もある事に注意されたい……という俗説もあるが、実際のサラダ油は揚げ物にも適していることからステーキにも十分適している。変に癖がない分むしろ扱いやすいかもしれない。
ニンニクの香りを油に馴染ませる場合は、出来るだけ低温でじんわり加熱し、ニンニクの香りを油に馴染ませ、ニンニクは肉を焼く時には除き、ニンニク油だけを調理に使った方が良い。ニンニクを取り除かないと、肉を焼いているうちに焦げ付いてしまう。取り除いたニンニクは好みで焼き上がったステーキに乗せても美味しい。
味付けは焼く前に振りかける塩・胡椒を基本として、任意のソースをかける。グレービーソースの場合、ステーキを焼いた後のフライパンに残った肉汁と焦げを絡ませることで、さらに美味しくなる。
因みに、鉄板焼きの店等では客にステーキを供する際に、あらかじめ鉄板の上でカットすることがあるが、切り口から旨味の詰まった肉汁が鉄板に逃げてしまうので、あまり親切なサービスとは言えないが、肉のカットができない箸を使う関係上どうしてもこのサービスが必要になる店もある。高級店だとカットした切り口もちゃんと焼いてくれることも。
なお、フライパンや鉄板で焼くのは日本で多いやり方だが、北米などでは鉄板ではなく、グリルで焼くことが多い(東京と神戸にある超高級店である「麤皮」でもグリル焼きを採用している)。鉄板焼きの店はわざわざ「ジャパニーズステーキハウス」と呼ぶぐらい日本的であるとも言える。
焼き方
下に行くほど、より肉に火を通す焼き方となる。
- ロー
- 生肉。要するに、切った肉を全く焼かずに供する。タルタルステーキがこの状態。焼いてないのにステーキなのか?と思うかもしれないが、ステーキという単語の本来の意味は「切り身」なので、間違いでは無い。でも、日本では肉刺しやユッケと呼ぶことの方が多いだろう。当然、高価な上質肉をコストをかけて衛生状態に最大限に気を使った流通過程~加工過程を通さなければならず、「生食用」の肉を出荷しない(できない)食肉業者も多くある。当然ながら大衆店で食す場合は食中毒のリスク(実際に死亡案件もある)を了解の上注文すべきである。現在の食品衛生法では、大きくカットした肉の表面を焼いた後焼けた部分を切り捨てて提供するため非常に高価である(可食部の3倍以上のサイズのステーキの料金がかかる)
- ブルー
- 表面のみにごく僅かだけ火を通す焼き方。いわゆる炙り刺身のような状態。後述するレアと違い、殆ど生の状態に近い。レアが「火の通ったステーキのナマ」なのに対し、こちらは「中には火を通さない刺身のナマ」である。当然ながら、ロー同様に食中毒のリスクが高い。現在の食品衛生法ではロー同様に大きくカットした肉を一旦焼いて、焼けた部分を不可食部として切り捨てるため高価になる。
- ブルーレア
- ブルーとレアの中間。表層を数十秒だけ焼いた状態のもので、いわゆる「牛のタタキ」に近い。実際のタタキの場合、余熱が通らないように焼いた後氷水で締めることもある。火の通らない脂は美味しくないため、ロー~ブルーレアまでには脂の少ない赤身が適している。日本ではこちらも大きくカットした肉を焼いてから、焼けた部分を捨てなければならないので高価となり、ブルーレアで提供される店はほとんどない。
- レア
- 表層のみを焼く焼き方。ブルーレアの状態から弱火でさらに表裏を約30~60秒ずつ焼いた状態のもの。肉の内部温度を肉質が変化せず、なおかつ食中毒の原因菌がほぼ死滅する程度の温度(55~60℃)にまで温める焼き方である。中は殆ど生のように見えるが、余熱でしっかりと火は通っていて、かつブルーレア以下の焼き加減と比べて食中毒のリスクも低い。その為、肉汁を損なうことなく、加熱による旨味の活性化を得ることができる。しかし失敗すると単なる生焼けになってしまうので、上手に焼くには技術がいる。
- ミディアムレア
- ミディアムとレアの中間。肉の内部温度を肉質が変化しないギリギリの温度(60~65℃)まで温める焼き方。レアよりは生っぽくなく、ミディアムよりも肉汁がより多く残っているので、ステーキ通好みの焼き加減と言われている。
- ミディアム
- レアとウェルダンの中間。肉の周辺はしっかり固まり、中心部はミディアムレアと同様肉質が変化しない程度まで火を通す焼き方。肉質断面にうっすらと赤味が残っている程度まで焼くので、生焼けの心配をしなくても良く、肉汁もあまり損なわないので、一番手頃な焼き方と言える。
- ミディアムウェル
- ミディアムとウェルの中間。断面はミディアムよりさらに赤味が少ない。
- ウェル
- ミディアムウェルとウェルダンの中間。断面は肉の中心部に僅かに赤味が確認される程度。
- ウェルダン
- 肉の中心までしっかりと火を通し、肉質がほぼ完全に変化するまで焼く焼き方。断面はほぼ赤味がなくなる。弁当など調理後しばらくの間常温で置かざるを得ない場合は安全上ウェルダン以上の焼き加減を求められることが多い。しかし肉が肉汁がかなり損なわれてしまう焼き方なので、質の良い肉を用いるときにはお勧めできない。また、品質が悪い肉・整形肉・豚肉ないしは鶏肉を用いるときも、安全上ウェルダンにせざるを得ないこともある。
- ベリー・ウェルダン
- 完全に火を通す焼き方。断面から肉汁が出なくなるほど徹底的に焼く。ここまで焼けば多少悪くなった肉でも食べられるようになるかもしれないが、肉の旨味は期待できない。
- オーバーウェル
- 通常料理として適した焼き加減を大きく超えて火を通す焼き方。レストランで供することはまずあり得ず、衛生状態に関して不安の大きい肉や豚肉(ポークステーキ/トンテキ)を調理する時の焼き加減といえる。
関連動画
関連静画
関連項目
- 料理
- 肉料理
- 料理の一覧
- 洋食
- 牛肉 / フランベ
- 鉄板焼き
- 焼肉
- 死亡フラグ / 超時空要塞マクロス / 柿崎ぃぃぃぃぃ!!! / 柿崎速雄
- ガーリックステーキ
- サイコロステーキ
- ハンバーグステーキ
- トンテキ
- ステーキ丼
- レモンステーキ
- シャリアピンステーキ
- いきなりステーキ
- やっぱりステーキ
- ステーキ宮
- ステーキ屋松
- ブロンコビリー
- 肉の万世
- え!! おなじ値段でステーキを!?
脚注
- *人間で言えばメタボ状態の
- *業務用食材を扱っているスーパー等で一般消費者も購入可能である。十分に加熱しないと食中毒を起こす汚染肉がどうしても製法上混在している(というか、通常の食肉流通に乗せられない品質の肉を使用したり衛生管理のコストをカットすることで価格を下げている)のが現状であるため、食中毒事件も発生している。製品の仕様として、ウェルダンが必須である(商品パッケージには必ず「肉の中までしっかりと火を通してください」と記載されている)。
子記事
兄弟記事
- なし
- 12
- 0pt