キャラクターモデルとはプラモデルの一種である。
概要
実在する車両・航空機などのプラモデルをスケールモデルを称するのに対し、アニメやゲーム、映画などに登場する架空のキャラクター・車両・兵器などのプラモデルをキャラクターモデルあるいはキャラクタープラモデルと称する。
具体例をあげるなら、ガンダムやゾイドなどのロボット、ポケモンや仮面ライダーなどのフィギュア、天空の城ラピュタに登場するタイガーモスやナウシカのメーヴェ、宇宙戦艦ヤマトなどの乗り物のプラモデルなどが該当する。本記事ではそれぞれロボット系、フィギュア系、メカ系と分類・呼称し、解説を行う。
プラモデルとしての特徴として、可動にこだわったものが多いことが上げられる。これは特にロボット系とフィギュア系で顕著であり、劇中を意識したポージング再現のための可動構造や耐摩耗性を考慮した材質が用いられている。これらはアクションフィギュアなどやドールと用途が被っているが、プラモデル特有の利点もある(後述)。
スケールモデルと違い本物がない(本物自体が創作物である)ため、スケールやメーカーによってデザインや構造に違いが出ることもあり、作り比べてみるのもよいだろう。また本物に縛られる必要がないため、作り手なりのアレンジ・改造もしやすく、個性も出やすい。
また、スケールモデルは単色成型であることが多いが、キャラクターモデルの多くは多色ランナーや多色成型(いわゆるイロプラ)であることが多く、組み立てるだけで色分けを再現できる。
スケールはまちまちで、ロボット系は1/100やノンスケール、スケールモデルに合わせた1/144や1/72が多く、フィギュア系はアクションフィギュア同様の1/12スケールなど、メカ系もスケールモデル同様のものが多い。
もちろん、組み立てることこそが最大の特徴、最高の楽しみであることは言うまでもない。
ロボット系プラモデル
最も有名な例をあげるならガンプラであろう。これは作りやすさと完成度、値段のバランスがとれた、キャラクタープラモデルはおろか日本のプラモデルの代表といっても過言ではないシリーズである。
他にもゾイドやマクロス、ボトムズ、ACなどが揃っており、メジャーな作品ならほぼ確実にキットが存在する。マイナーだと参考出品だけでお蔵入りということもよくある。
やはり可動に特化した作りであり、劇中同様のポージングやギミックなどメーカーのこだわりがよく反映される。またゾイドなどでは内部に発条やモーターを仕込み稼働させるものや、専用の電飾ユニットを用いることで発光したりするキットも存在する。変形機構を組み込んだものも多く、完全変形を指向したものや差し替えパーツを用いることでプロポーションとの両立を目指したものなど一層の工夫が見受けられる。ビームや噴射光などのエフェクトパーツなどもが豊富な点も見逃せない。
題材のロボットはほとんどが巨大であるため、キットによってはメートル越えのものもある。
可動と耐久性を実現するため耐摩耗性に優れたABSやポリキャップが多く用いられている。
食玩として展開しているものもあり、有名どころではスーパー戦隊シリーズのロボットを取り上げたミニプラが上げられる。これは幼児向けではあるため作りやすく色分けも簡単なものの、本編さながらの合体ギミックや細かなディティールなど大人が見ても唸る出来だったりする。最近ではバンダイがガンダム名鑑ガムを発売し、値段の安さと構造の簡単さやディティールの細かさ、そしてマニアックなラインナップで話題を呼んだ。
フィギュア系プラモデル
ロボット系ほどではないがこちらも多種多様な種類が存在する。
やはり可動に重点をおいたものが多く、近年では人体の可動域そのものをフィードバックした構造のものも増えている。一方で可動しないディスプレイタイプのものも多い。
可動タイプはアクションフィギュアと同一視されがちだが、組み立てや塗装はユーザーにゆだねているためアクションフィギュアに比べてコストを抑えられやすい、塗装もしやすいためカラーバリエーションを自作しやすいなどの利点がある。
関節などの肥大化につながるためポリキャップの使用率は低く、関節のほとんどをABSなどの耐摩耗性プラスチックで補っている。
有名な例としてはバンダイのfigure-riseシリーズがあり、ワンピースやドラゴンボール、仮面ライダーなどがラインナップされている。最近ではアニメキャラを胸像で再現したFigure-rize-Bustシリーズを展開し、レイヤードインジェクションなるイカれた驚異の色分け変態技術を披露しモデラーたちを驚かせた。さらにデフォルメ体系のぷちゅあらいずを発表し、今後の展開が期待される。
マックスファクトリーが展開するminimum factoryは1/20という小ささに精密な造形と色分けを施したキットであり、フィギュアメーカーとしての意地を見せつけた。
コトブキヤも世界樹の迷宮やロックマン、KOS-MOSなどを展開してきたが、自社のロボットプラモデル"フレームアームズ"を美少女化した"フレームアームズ・ガール"を発表。武装と広い可動の両立を実現し、培ってきた変態技術を見せつけ業界を震撼させた。
メカ系プラモデル
アクションフィギュア要素が強いロボット系やフィギュア系とは異なり、造形やギミックの再現に凝ったものが多い。
組み立てもスケールモデルに近く難易度も少々高めである。
宇宙戦艦ヤマトやロボットアニメの各種戦艦に加え、紅の豚の飛空艇をはじめとしたジブリメカ、新作公開に合わせて展開を始めたスターウォーズシリーズなど、老若男女問わないメカがキット化されている。
創作におけるこれらのメカは大きさゆえに舞台装置であることも多く、いわば世界観そのものといっていい。模型を通して作品を感じ取りやすいのがメカ系プラモデルの特徴である。
フィギュアやその他模型との差別化
キャラクターモデルとフィギュアやその他模型などの完成済み模型との違いは、やはり組み立てるという工程にある。
スケールモデルキャラクターモデル問わず、やはり自分の手で再現するというのは楽しく、愛着の湧くものである。作りながら部品の位置関係や構造などを感じ取るのは感慨深いものがある。
また、比較的改造がしやすい。プラモデルは未塗装ランナー状態で出荷される、すなわち色分けはユーザーの塗装を前提としており(もっとも、最近はイロプラが主流であるので必ずしも塗装が必須ではない)、材質も塗装に耐え打る素材でできている。また、分割もしやすいため部分ごとの塗装も楽である。また、自分だけのオリジナルカラーにするなんてことも容易である。フィギュアの場合は材質が塗装に適していなかったり、あらかじめ塗装済みのため塗装しなおす場合は一度塗装をはがす必要があるなど手間がかかってしまう。
簡単なパーツ構成のプラモデルをモナカ割りと揶揄するように、多くのプラモデルは中がスカスカである(これはコスト削減のためだけではなく、軽さなどの意味合いを持つ)。したがって中に配線やLEDなどを仕込むことが可能であり、発光ギミックを内蔵した改造なども可能である。組み立てに接着剤を使用していない場合は簡単に分解できるため、完成後に組み込むことも可能である。対してフィギュアに発光ギミックを仕込むにはやはりパーツ単位で分割したりナイフやドリルで加工したりする必要があり、手間が多いことに変わりはない。なおかつ組みあがった状態のものを分解するため、破損の危険性がプラモデルよりもおのずと大きい(関節などは一度くみ上げたら分解できない構造のものがある)。
またプラモデルの最終的な完成度、塗装はユーザーの腕に任せるものの、安価なフィギュアに見られるあたりはずれ(製品ごとの微妙な造形やプロポーションの違い、塗装のバラつきなど)の心配はほとんどない。
もちろん、フィギュアでこれらの改造ができないわけではないが、やはり完成品に手を加えるという行為にためらいを感じる人も多い。模型誌などで改造は自己責任という言葉が使われることがあるが、プラモデルは組み立てすら自己責任と言えるのでその分気持ち的に改造...とまではいかなくともワンポイントの加工がしやすいのではないだろうか。
当たり前のことであるが、工作が面倒という人や工作が苦手な人、塗料や溶剤などが苦手な人にとっては完成品のほうがありがたいだろう。もちろんモデラーにとっても製作や改造は個人の自由であるため、無理をする必要はない。昨今ではつや消し・つや出しコーティングやウェザリングのみの簡単フィニッシュも薦められることが多くなった。
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