デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は大塚ホールディングスやエーザイなどの「製薬」業界5社について解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 笠原里穂)
製薬5社中3社が増収
塩野義製薬、小野薬品工業は減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「製薬」業界5社。対象期間は2024年7~9月期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・大塚ホールディングス(HD)
増収率:16.9%(四半期の売上収益6211億円)
・エーザイ
増収率:11.0%(四半期の売上収益1960億円)
・協和キリン
増収率:21.5%(四半期の売上収益1298億円)
・塩野義製薬
増収率:マイナス4.0%(四半期の売上収益1164億円)
・小野薬品工業
増収率:マイナス11.6%(四半期の売上収益1227億円)
今回分析対象とした製薬5社の中では、大塚HDとエーザイ、協和キリンが増収、塩野義製薬、小野薬品工業が減収と明暗が分かれた。
唯一、前年同期比で2割超の増収となった協和キリンは、この3カ月を含む24年12月期第3四半期の業績が前年同期比で増収増益だった。一方で、通期では減益予想としている。
また、塩野義製薬は、25年3月期の中間決算では減収減益だが、通期では増収増益を見込む。小野薬品工業は、中間決算は塩野義と同じく減収減益で、通期でも減収減益予想となっている。
それぞれ明暗が分かれた要因は何だったのか。次ページ以降では各社の増収率の推移を紹介するとともに、決算の注目ポイントを解説する。