感情と意思決定 私たちは、自分の意思決定がその時の感情に影響されてしまうことをよく経験しているし、他人の感情も意思決定に影響することをよく知っている。上司の機嫌が悪い時に、何か頼み事をしてもうまくいかないから、なんとか機嫌がいいときを狙って頼み事をするというのは、上司の意思決定が感情によって異なることを私たちが知っているからだ。与えられた情報が同じで、常に合理的な意思決定を人間がしているなら、本人の機嫌がいいかどうかは、関係ないはずだ。コンピューターの能力が高まって人工知能によって様々な意思決定が自動化されたなら、意思決定に必要な情報が同じであれば、常に同じ判断をするはずだ。しかし、人間は明らかにそうではない。 なかでも「怒り」の感情は、私たちの日常生活でトラブルを引き起こすもとになっている。何かに腹を立ててしまって、関係ない人に八つ当たりしたりして、仕事や人間関係で失敗したという経験は誰