このところ夜のとばりが下りた頃に、東の空から昇ってくる一粒のきらめきがある。すっかり暗くなった夜空にひときわ明るく輝き、ひと晩じゅう天上に君臨する星だ。その正体が何か、知っているだろうか。 「惑星の王」の異名をもつ木星である。太陽系最大の惑星で、今はマイナス2.8等の明るさで日没直後の東の空に少しずつ高度を増しながら光っている。そして、まもなく私たちに最も大きく、明るく、美しい姿を見せてくれる。 木星が「衝」となる この巨大惑星は、12月8日に天文学で「衝(しょう)」と呼ばれる瞬間を迎える。衝とは、太陽系の天体が地球をはさんで太陽とちょうど正反対の位置関係にくることをいい、この日、太陽・地球・木星は一時的にまっすぐ並ぶ。これは地球の公転周期が木星より短いために起こる現象だ。 衝の時期は、木星と地球の距離が6億1200万kmまで近づき、太陽光を反射して光っている面を正面から見ることができる。