平成とは 第2部:国のかたち(5)日本の自画像 昭和から平成にかけて日本の自己イメージを形作ったのは、「外からの視線」だったのではないか。 東の国、日本の経済成長を見習え。ルックイースト政策を唱えたマレーシア元首相のマハティールは92歳になった今も、日本を語る言葉が熱を帯びる。 「日本人は恥ずかしいことをしたらハラキリをするでしょう。だから自動車づくりも竹細工のように正確で完璧だし、勤勉で地位を乱用することもない」 1981年の首相就任時から日本の労働倫理や企業への忠誠心をたたえた。このルックイーストは、同じ頃に出版された米国人学者による「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とともに、むしろ日本で評判となる。 海外からの称賛と羨望(せんぼう)のまなざしは「大国」に手が届きそうな日本の自尊心をくすぐった。平成が始まる前、1人当たり国内総生産(GDP)で米国を抜き、その自負は現実となった。 だが、そ