世論は一変。「当事者がいない」と言えなくなった 選択的夫婦別姓の議論が始まってすでに40年。最近の意識調査では「賛成」が7割を超えるケースが多く、政府のパブリックコメントにも大量の法改正要望が寄せられました。「夫婦同姓の苦しみ」をはじめとする当事者取材も増え、6月の最高裁決定から衆院選に向けて、世論は盛り上がりを見せています。 ほんの3年ほど前は「当事者はどこにいるんだ」と言われたものですが、反対派議員ですら「旧姓の通称使用拡大を推進する」と方針を変えてきました。世論に押され、もはや反対とは言えなくなったのは前進です。 では本当に旧姓の通称使用拡大で選択的夫婦別姓はいらなくなるか。具体的な事例で見ていきましょう。 20年以上実績のある業務上氏名で契約できない 私はもう20年以上、「井田」という名前で働いています。再婚で望まない改姓をした後も、仕事では旧姓を使っています。政府が規制改革の一環