引き離されていたヤジディ教徒の母親9人とその子供12人は、イラク国内にある「安全な家」で一緒に暮らすようになった=3月11日、Jane Arraf/©2021 The New York Times。母親の故郷には戻れず、第三国の受け入れを待っている
「平和構築」を専門にする国際関係学者 篠田英朗(東京外国語大学教授)のブログです。篠田が自分自身で著作・論文に関する情報や、時々の意見・解説を書いています。過去のブログ記事は、転載してくださっている『アゴラ』さんが、一覧をまとめてくださっています。http://agora-web.jp/archives/author/hideakishinoda 共和党全国大会でヴァンス上院議員が正式に副大統領候補指名を受諾する演説を行った。労働者のための政策をとる、という基調路線を、家族を大切にする価値観などと織り交ぜて強調したものだった。 https://www.youtube.com/live/P10uwbqcZzs 私が非常に関心を持ったのは、ヴァンス氏が、次々とバイデン氏の実績を非難していくところだ。バイデン氏が上院議員として賛成したNATA加入や中国との貿易取引で、アメリカの労働者の仕事がメキ
ハマス・ヒズボラ「抵抗の枢軸」とは何か――中東における親イラン勢力の成り立ちと動向 溝渕正季 中東地域研究・国際安全保障論 国際 #安全保障をみるプリズム 21世紀において、イラン・イスラム共和国ほど、その戦略的目的のために国外の非国家武装勢力を活用することに成功した国家は他に例を見ない。レバノン、シリア、イラク、イエメン、そしてパレスチナ占領地で展開される紛争において、イランの支援を受けた勢力は、同国が国境を越えて政治的影響力を行使し、地域の敵対者たちに対して優位性を確保する上で大きな役割を果たしている。 1979年の革命以降、イランにとって最大の脅威は米国および地域におけるその同盟勢力(主にイスラエルとペルシャ湾岸諸国)であった。イランのアリー・ハメネイ最高指導者は2014年6月、支持者たちを前に「われわれは世界的な傲慢勢力による挑戦に直面している。率直に言おう。問題は米国が引き起こし
アメリカ政府は、シリアとイラクにあるイラン関連施設などへの数日間にわたる攻撃計画を承認した。米メディアが1日、複数の米当局者の話として報じた。
アメリカ中央軍は現地時間の2日夜、日本時間の3日朝、イラクとシリアの領内で活動するイラン革命防衛隊の「コッズ部隊」やそれに関係する武装組織に対し、空爆を行ったと発表しました。 ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は記者団に対し、先月28日、中東のヨルダンでアメリカ軍の拠点が攻撃され、兵士3人が死亡したことへの報復措置だと説明したうえで、「攻撃はイラクとシリアの合わせて7か所に向けて行われ、標的は武装組織の指揮所やミサイル、それに無人機の関連施設など85に上る」と述べました。 カービー調整官は「報復措置は今夜、終わるわけではない」と述べ、攻撃は一定期間続くとの考えを示しましたが、「アメリカはイランとの衝突も、中東での衝突の拡大も望んでいない」と強調しました。 これに対し、イラン外務省の報道官は3日、声明を出し、「イラクやシリアの主権侵害であり、アメリカ政府はまた、戦略的な過ちを犯した」と非
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー) 前の記事:ちいさい柿みつけた > 個人サイト 私的標本 趣味の製麺 まずは川にコイを捕まえに行く マスグーフに必要なのは、もちろん新鮮なコイである。その辺の魚屋ではあまり売られていないので、アリサさんがわざわざ池袋の中華食材店で生きたコイを購入してくれることになった。 でもどうせなら捕まえて食べたいよね~ということで、希望者は午前中に網を持って集合。 この日は12月なのに気温が20度以上あったので寒くはなかった。 アリサさんが事前にコイが溜まっている場所を調べてくれていたのだが、数日前に大雨が降った影響なのか、そこには一匹もいなかった。これは自然が相手なので仕方がない。 きっと下流に流されたのだろうとゴミ拾いをしながら川を下っていくと、コ
この画像を大きなサイズで見る イラクの古代都市コルサバードで、2700年前の見事な古代アッシリアのラマッス像が再発掘され、話題になっている。 ラマッス像は、アッシリアの守護神を表したもので、人間の頭、雄牛かライオンの体、鳥の翼を持つ姿で描かれる。 今回掘り起こされたアラバスター(雪花石膏)製の像は高さ3.8m、幅3.9m、重さ18トンという巨大なものだ。 埋められて保護されてきたアッシリアの工芸品ラマッス像 精巧なこのアッシリアの工芸品は、紀元前721年にアッシリア王サルゴン2世がコルサバードの首都を守るために制作を命じたもので、30年ぶりに初めて世界に公開された。 このラマッス像はもともと、1992年にイラクの考古学チームによって、コルサバードの第6ゲートで発見されていたが、発見直後の1995年に頭部が盗まれてしまい、のちに再び発見されてからイラク博物館で保護された。 この画像を大きなサ
ヨルダンの砂漠にあるきわめて保存状態のよい古代ローマの砦、カスル・バシル。機密解除されたスパイ衛星写真を活用した新たな研究により、シリアやイラクの砂漠から、これまで知られていなかった古代ローマの砦跡と思われる遺跡が400カ所近く見つかった。(PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 機密解除された米国のスパイ衛星コロナとヘキサゴンの写真から、シリアやイラクの砂漠にある古代ローマ時代の砦(とりで)が約400カ所特定され、10月26日付けで学術誌「Antiquity」に発表された。その配置パターンから考えると、砦の目的は定説となっている防衛ではなく、キャラバンによる交易、軍隊の移動、地域の情報伝達など、交流を円滑に進めるためだったという説を論文の著者らは主張している。(参考記事:「CIAが歴史的な「機密地図」の数々を公開」) こ
約480ページ。もはや本の厚さごときでは驚かない高野秀行の新作冒険譚の舞台はイラクの南東部、ティグリス川とユーフラテス川の合流地点に四国ほどの大きさで広がる巨大湿地帯〈アフワール〉である。 著者は現代でも謎に満ちた民族が生活し、迫害された人々が逃げ込むという、迷路のように水路が入り組む世界遺産。著者は2017年にこの場所を知り、「行ってみるしかない」と決意した。発想の突飛さはデビューの『幻獣ムベンベを追え!』のころとあまり変わっていない。 混迷を極める中東への冒険はハードルが高い。だがさすが世界各地の“謎”に挑んできた冒険作家。周到な調査や丹念な準備を重ね、信頼できる相棒を得て飛び立つこととなる。 同行したのは「世界の川をすべて旅する」をライフワークに掲げる山田高司。高野が師匠と崇める林業専門家で環境活動家だ。彼が魅せられたのがアフワールに浮かぶ船だった。その船を現地の船大工に作ってもらお
この画像を大きなサイズで見る アメリカ・オハイオ州に住む5歳の少年は、イラクの戦場に行った兵士の父親に会えない日が続いていて、とっても寂しかった。 その辛さをぐっと抑えて、少年は母親に頼んで、父に自分の一番大切なものを送ることにした。 それは生まれたときから一緒で、寝るときも一緒の大のお気に入りの恐竜のぬいぐるみだ。このぬいぐるみがきっと父さんを守ってくれて、無事に家に帰ることができると信じたのだ。 ぬいぐるみを受け取った父親は、片時も離さず持ち歩き、日々の様子を撮影し、息子や家族に送った。 母親がそれらの写真をまとめ、SNSに投稿した動画は、多くのユーザーの心を溶かしたようだ。 イラクにいる父親に恐竜のぬいぐるみを送った息子 オハイオ州に住むウェイロン・ホームズ君(5歳)の父親で兵士のデイヴィッドさん(33歳)は、去年8月に軍事訓練のために家を出て、10月にイラクに派遣された。 ウェイロ
本書を手に取った人は幸せである。なにしろ世界初の報告をいち早く日本語で読むことができるのだから。それも公的機関がまとめたような無味乾燥な調査レポートではなく、抱腹絶倒の冒険譚として読める。これはもう何を措いても読むしかない一冊だ。 イラクに〈アフワール〉と呼ばれる湿地帯がある。ティグリス川とユーフラテス川の合流地点付近にひろがる湿地帯で、かつては日本の四国を上回るほどの面積があったという。 この地は昔から戦争に負けた者や迫害されたマイノリティ、犯罪者などが逃げ込むアジール(避難所)で、権力者も手が出せない場所だった。湿地帯は高さ8メートルにも及ぶ葦が生い茂り、その中を迷路のように入り組んだ水路が通る。これでは軍勢も手が出せない。 それゆえアフワールは1990年代までは反フセイン勢力の抵抗の拠点でもあった。怒ったフセインはティグリス川とユーフラテス川に堰を築き、湿地帯に流れ込む水を堰き止めた
辺境作家、最近は普通にノンフィクション作家と名乗られている高野秀行の最新著書「イラク水滸伝」を読んだ率直な感想は「あれ、もしかしてイラク行けるんちゃうん?」だった。実は以前の著書「謎の独立国家ソマリランド」でも同じことを思った。僕は結局訪れなかったが、実際ソマリランド本を読んで現地を訪れたという人の話がネットにたくさん転がっている。今回のイラク本もきっとそうなるに違いない。「あれ、もしかしてイラク行けんじゃね?」と思ったのは、僕だけではなかったはずだから。 当たり前だけど、イラクはずっと行けない国だった。イラクと言えば続く動乱と内戦。高野さんでさえも、行きたくてもずっと行けなかった国(P9)。今もそのまんまだと信じていた。この本で高野さんは、2018年からイラクを訪れている。その当時はまだ爆弾テロがあったみたいだけど、それでもかなり治安が改善していた方で、現地にイラク人の保証人がいれば30
イラク水滸伝 (文春e-book) 作者:高野 秀行文藝春秋Amazonこの『イラク水滸伝』は、『独立国家ソマリランド』などで知られるノンフィクション作家・高野秀行の最新作だ。間にコロナ禍を挟んだこともあって取材・執筆に6年がかかったという大作で、事前の期待は大。家に届いた瞬間からいてもたってもいられずに読み始めたが、おもしろすぎて当日中に最後まで読み切ってしまった。 今回のテーマはイラクとイランの国境近くにある「湿地帯」。ティグリス川とユーフラテス川の合流点付近には、最大時には日本の四国を上回るほどの大きさの湿地帯が存在し、そこには30〜40万人の水の民が暮らしているという。そこで暮らしているのは、アラビア語を話すアラブ人ながらも、生活スタイルや文化が陸上の民とはまるで異なる人々であるという。しかも、道路もなく隠れやすいので、戦争に負けた者や迫害されたマイノリティが逃げ込む場所で──と、
イラク南部ラガシュの古代都市遺跡で、紀元前2700年頃の大規模な居酒屋(大衆食堂)跡が発見された。 人々が腰かけるベンチ、土で作られたかまど、生ごみが残された貯蔵壺、食料を冷やす冷蔵庫に相当するジーアという土の壺など、驚くべきものが残っているのが見つかったのだ。 イラクの古代都市国家「ラガシュ」 現在、テル・アル・ヒバとして知られるラガシュは、古代メソポタミアにあった都市で、4900~4600年前にでき、3600年前に放棄されたと言われている。南西アジアでもっとも古い都市のひとつだ。 湿地帯の都市ラガシュで発掘調査が始まったのは、40年以上前のこと。最近はコロナパンデミックで中断していたが、2019年に再び発掘が始まった。 この画像を大きなサイズで見る発掘が続いている広大な古代都市ラガシュから北方を臨む。昨年春は雨が多かったせいか、沼地が三方を囲んでいる / image credit: L
水没していた青銅器時代の建造物が、干ばつにより川の水位が下がったことで姿を現した。 Universities of Freiburg and Tübingen, KAO 極度の干ばつでチグリス川の水位が下がり、約3400年前の都市が出現した。 イラクはここ数カ月の間、気候変動による干ばつに見舞われている。 考古学者たちは、気候変動によって露出したり破壊されたりした遺物の保存を急いでいる。 気候変動が引き起こした深刻な干ばつによってイラクの青銅器時代の古代都市が姿を現し、これによって調査する機会が得られたと研究者らが2022年5月30日に発表した。 イラクのクルディスタン地方では、2021年12月にこの地域を襲った干ばつから農作物を守るために、チグリス川の貯水場から大量の水が汲み上げられた。そのため水位が下がり、川沿いにある3400年前の古代都市の建造物が再び姿を現した。 国連によると、イラ
欧米諸国はロシアのウクライナ侵攻から数日以内に国際法を行使し、ロシアに厳しい制裁を課した一方でウクライナの難民を手厚く受け入れ、その武装抵抗に喝采の声をあげた。 ところが、こうした対応は中東の人々の怒りを買っている。国際紛争に対する欧米諸国の反応が明らかなダブルスタンダード(二重基準)だというのだ。 パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相は3月初旬、トルコで開かれた安全保障フォーラムの場で「70年以上も実現不可能と言われていたあらゆることが、1週間足らずで日の目を見た」とした上で「欧米の動きは驚くほど偽善的だ」と述べている。 2003年3月に勃発したアメリカ主導によるイラク戦争については、特定の国が他国に違法に侵略したという見方があった。だが、アメリカに立ち向かったイラク人はテロリストの烙印を押され、西側に逃れた難民は安全保障上の脅威になり得るという理由で追い返されることもあった。 バイデン政
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