もう少しで、東日本大震災から5年が経つ。 多くのメディアでも「5年」の節目を前にして様々な特集が組まれている。私も最近、某メディアの5年特集の取材で、宮城と岩手を訪れた。 2011年4月末、東北新幹線の再開翌日に行って以来、訪れることのなかった石巻の景色はすっかり変わっていた。まだ震災から2ヶ月も経たなかったあの頃、津波の甚大な被害を受けた石巻は、そこがどんな街だったのかまったく想像できないほどに、どこまでも瓦礫に埋め尽くされていた。 流された家の上に乗っかる車。車道に打ち上げられている船。あちこちに無造作に転がる生活用品の数々。そうして強烈な魚の腐臭。魚の加工工場も津波に襲われ、散らばった魚たちが腐っていく匂いが何キロも先まで漂っていた。あちこちでひっくり返った車の窓には「捜索済」の貼り紙が貼られ、自衛隊員が長い棒で瓦礫に埋もれた地面をつつきながら遺体を探していた。当時で、1日5〜6人の