No.116 (第15回トラベラーズワクチンフォーラム報告) <<トピックス>> 動物用狂犬病ワクチン 財団法人 日本生物科学研究所 土屋 耕太郎 主任研究員 研究部副部長 はじめに わが国は、幸いにも1956年(昭和31年)の狂犬病発生を最後に、50年余りに亘って清浄性を保っている。この無病状態の樹立と維持には、1950年(昭和25年)に制定された狂犬病予防法のもとに野犬捕獲と飼い犬の登録、予防注射、および検疫の3本柱による防疫対策の徹底実施を果たしてきた先人の努力が高く評価される。 狂犬病ワクチンについては、1885年Pasteurが狂犬病ウイルス弱毒株(固定毒)を感染させたウサギの脊髄を乾燥させ乳剤として人体に応用して以来、わが国でも早くから研究が行われてきた。大正年間には固定毒を用いた減毒ワクチンが開発され、世界に先駆け