まず、私は、一般的にいって、現行の9条のもとでも集団的自衛権と呼ばれるものの一部の行使は可能と解釈する余地があると考えています。その意味で、設問1につきCと回答しました。しかしながら、従来の政府見解の変更にあたっては法論理的な説明が十分に尽くされるべきであり、かつ、国会自身もこの点に関するみずからの解釈を示すべきです。たとえば、昨年7月1日の閣議決定における9条の「解釈」の説明は、「従来の政府見解における憲法第9条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための論理的な帰結を導く必要がある」としながらも、安全保障環境の変化を指摘したうえで、いわゆる新三要件のうちの第一要件を「従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った」とするのみです。このような説明は、解釈も必要に応じて変更されうるし変更の必要性がある