3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「『完全を求めて、いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった』。私はこの言葉を忘れたことがない。この言葉は私にとって、心にあって消すことのできない刻印となった」(『プロフェッショナルの条件』) ドラッカーは、知識によって働く者にとって多少なりとも参考になるのではないかと言って、自らの経験をいくつか教えてくれる。 その一つが、イタリアの大作曲家ヴェルディの最晩年の作品「ファルスタッフ」との出会いだった。 小学校での飛び級のおかげで、17歳で高校を卒業したドラッカーは、右派、左派の社会主義者、カトリックの保守派が三つ巴の市街戦を繰り広げる荒廃した生まれ故郷ウィーンを出て、隣国ド
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「人事に関する手順は、多くはない。しかも簡単である。仕事の内容を考える、候補者を複数用意する、実績から強みを知る、一緒に働いたことのある者に聞く、仕事の内容を理解させる」(『プロフェッショナルの原点』) 第一は、仕事の内容を徹底的に検討することである。仕事の求めるものが明らかでなくては、人事は失敗して当然である。しかも、同じポストでも、要求される仕事は、時とともに変わっていく。仕事が変われば、求められる人材も異なるものとなる。 第二は、候補者を複数用意することである。人事において重要なことは、適材適所である。ありがたいことに、人間は多種多様である。したがって、適所に適材を持ってくるには、
「成功している組織には、あえて人を助けようとせず、人付き合いもよくない上司が必ずいる。愛想が悪くいつも不愉快そうでありながら、だれよりも多くの人たちを教育し育成する人、最も好かれている人よりも尊敬を得ている人がいる。部下と自らに厳しくプロの能力を要求する人がいる」(『現代の経営』) そのような人は、高い目標を掲げ、その実現を求める。誰がどう思うかなど気にしない。何が正しいかを考える。頭のよさより、真摯さを重視する。 ドラッカーは、この真摯さなる資質に欠ける者は、いかに有能で人付き合いがよくとも、組織にとって危険な存在であり、上司として、紳士として不適格であるという。真摯さに欠ける者が跋扈するとき、組織は死への道をたどる。
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「マネジメントには2つの仕事がある。第1に、部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す総体を創造することである。第2に、自らのあらゆる決定と行動において、ただちに必要とされるものと遠い将来に必要とされるものとをバランスさせることである」(ドラッカー名著集(14)『マネジメント―課題、責任、実践』[中]) 前者においては、ちょうどオーケストラの指揮者のように、多様な楽器を一つにまとめて、音楽を創造する。後者においては、石臼に鼻を突きつけつつ丘の上を見るという、アクロバティックなことをする。 この2つのことのためにマネジメントが行なうべきことが、第1に、目
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「われわれの社会は、信じられないほど短い間に組織社会になった。しかも多元的な社会になった。財とサービスの生産から、医療、年金、福祉、教育、科学、環境にいたるまで、主な問題は、個人と家族ではなく、個々の組織の手にゆだねられた。そのうえ、知識を通じて生活の資を稼ぎ、成果をあげて社会に貢献する機会が豊富に存在するのも組織だけとなった」(ドラッカー名著集(13)『マネジメント─課題、責任、実践』[上]) 産業革命が人類に膨大な生産力を与えた。そこにブルジョワ資本主義なるイズムが現れ、自由に経済活動を行なわせるならば、見えざる手によって、自由と平等は万人のものになると約束した。 しかし、新たな生産
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「昨日を捨てることなくして、明日をつくることはできない。しかも昨日を守ることは、難しく、手間がかかる。組織の中でも貴重な資源、特に優れた人材を縛りつけられる」(『明日を支配するもの』) ドラッカーは、1980年代半ば以降、少なくとも企業の世界では、変化への抵抗という問題はなくなったという。内部に変化への抵抗があったのでは、組織そのものが立ち枯れとなる。かくして、変化できなければつぶれるしかないことは、ようやく納得された。 しかし、変化が不可避といっても、それだけでは死や税のように避けることができないというにすぎない。できるだけ延ばすべきものであり、なければないに越したことはないというにと
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「われわれはまだ、真の企業理論というべきものも、総合的な経営学というべきものも持ち合わせていない。しかしわれわれは、企業とは何であり、その基本的な機能が何であるかは知っている」(ドラッカー名著集(13)『マネジメント─課題、責任、実践』[上]) 1980年、米国の中堅証券会社エドワード・ジョーンズ社のトップ、ジョン・バックマンは、ドラッカーに手紙を書いた。何通も書いた。「全社を挙げて心酔しており、コンサルティングをお願いしたい」。 「とにかく立派な会社にしたかった。そこへドラッカーの『マネジメント』に出会った。社内の皆が、これが目指す会社だと言った」 ドラッカーの『マネジメント』とは、5
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「企業にとって、国境はもはや決定要因ではない。それは制約要因、阻害要因、複雑化要因でしかない。今日の決定要因は、没国家のグローバル市場である」(ドラッカー名著集(15)『マネジメント─課題、責任、実践』[下]) 第二次世界大戦後、多少の所得と情報が得られただけで、世界中が同一の需要パターンを発展させた。自動車、医療、教育、テレビ、映画が世界共通の需要となり、世界は一つのグローバルなショッピングセンターとなった。 その結果、あらゆる企業がグローバル企業として行動しなければならなくなった。 当時、このグローバル企業を表す言葉がなかった。そこで、多国籍企業なる言葉が使われた。しかしそれは、現実
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「何をしたいかではなく、何がなされるべきかから考えなければならない。しかる後に、何が自らの強みに合うかを考えなければならない。強みでないものを行ってはならない。他の者に任せなければならない。リーダーたる者は、自らが成果を上げるべきことを知らなければならない」(『プロフェッショナルの原点』) ドラッカーは、リーダーたる者は、なすべきことからではなく、なされるべきことから考えよとさえいう。なすべきことを考えよというと、安易に、なしたいことから考えてしまうからである。 こうして、なされるべきことを考えたら、次に、それは自らがなすべきことかを考える。 もちろんそのためには、あらかじめ自らの強みを
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 東日本大震災が引き起こした福島原発事故、中東世界で広がった民主化要求運動「アラブの春」、ギリシャに端を発したユーロ圏債務危機、ここにきて拡大・過激化する反米・反日デモ――。世界はますます不確実でカオス(混沌・無秩序)的な様相を呈しているようだ。 不確実・カオス的な環境下でも卓越した実績を出す企業がある。米経営学者ジム・コリンズの最新作『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』では「10X(十倍)型企業」として紹介されている。10X型企業を率いる経営者の特徴について、コリンズはこう書いている。 〈まずは、一貫した価値観、長期目標、評価基準を設ける。次に、これらを維持するために狂信的規律を導入する。もしこんな規律を導入したことによって
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「大企業が見出しを飾っている。しかし経済の推進役は、急速に大企業から中堅企業と中小企業に替わりつつある。中堅企業と中小企業が競争力をつけ、大企業が競争力を失いつつある」(『実践する経営者─成果をあげる知恵と行動』) 有能な人材の確保については、中小の組織が負っていたハンディが消えつつある。特に、大企業への就職が終身の保障を意味しなくなったために、中小の組織が有能な若者の選択の対象になった。 技術についても、中小のハンディはなくなった。かつて、あらゆる産業に、それぞれ特有の技術分野があった。それぞれの産業において先端にあるために必要な技術は、すべてそれぞれの産業が生み出していた。ということ
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「今日ではあらゆる組織が、変化に伴うリスクを軽減するために、あらゆる種類の市場調査を行っている。だが、まったく新しいものについて市場調査を行うことはできない」(『明日を支配するもの』) ドラッカーは、真に新しいものには、イノベーションを行なった者や企業家には想定できなかったニーズや市場が必ずあるという。それはほとんど、自然の法則といってよい。しかも、市場調査がそれらのニーズや市場を発見できないことも、ほとんど自然の法則といってよいという。 その典型が、1776年にジェームズ・ワットが設計し、特許を得た鉱山の排水用蒸気機関だった。ワットが考えた蒸気機関の使途は、炭鉱の排水だった。したがって
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「完璧な組織構造などありえない。せいぜいできることは、問題の少ない組織をつくることである」(ドラッカー名著集(14)『マネジメント─課題、責任、実践』[中]) 組織に欠陥があるときに表れる症状にはどのようなものがあるか。 第一が、階層の増加である。情報理論によれば、中継点が一つ増加するごとに、伝達される情報は半減し、発生する雑音は倍増する。組織において階層とは、この中継点である。 そもそも階層が15もあったのでは、運よく各階層を5年で卒業していっても、社長候補と目されるようになるだけで、80歳から90歳になる。 第二が、組織問題の頻発である。組織にかかわる問題を一つ解決した途端に、似た問
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「マネジメントとは、企業をはじめとする個々の組織の使命にとどまることなく、一人ひとりの人間、コミュニティ、社会に関わるものであり、一人ひとりの人間の位置づけ、役割、秩序に関わるものである」(上田惇生著『ドラッカー入門─万人のための帝王学を求めて』) ドラッカーとは、「今日の転換期の到来を予告した現代社会最高の哲人」(ケネス・ボールディング)であると同時に、体系としてのマネジメントを確立しマネジメント手法のほとんどを生み出したマネジメントの父である。 第一次世界大戦後、ブルジョア資本主義とマルクス社会主義に代わりうるものがファシズム全体主義しかなかったときに、ドラッカーは、経済的存在、社会
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思う。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし、何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」(『プロフェッショナルの条件』) ドラッカーは、この強みを知る方法を教える。“フィードバック分析”である。なにかまとまったことを手がけるときは、必ず9ヵ月後の目標を定め、メモしておく。9ヵ月後に、その目標とそれまでの成果を比較する。目標以上であれば得意なことであるし、目標以下であれば不得意なことである。 ドラッカーは、こうして2~3年のうちに、自
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「企業家たる者は、体系的にイノベーションを行わなければならない」(ドラッカー名著集(5)『イノベーションと企業家精神』) イノベーションは思いつきではない。地道な作業である。 しかもドラッカーは、イノベーションに成功するには避けるべきタブーが3つあるという。それはちょうど、イノベーションに成功するための心得を反対側から見た注意事項でもある。 第一に、凝り過ぎてはならない。凝り過ぎは失敗の元であり、生産者側の自己満足にすぎない。懲り過ぎた財・サービスに大事な時間とおカネを使う者はいない。博物館で見せてもらえばよい。 大きな事業にしたいのであれば、時間もおカネもさほど余裕のない人たちが、気軽
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「企業家はイノベーションを行う。イノベーションは企業家に特有の道具である。イノベーションは、富を創造する能力を資源に与える。それどころか、イノベーションが資源を創造する」(ドラッカー名著集(5)『イノベーションと企業家精神』) ドラッカーは、イノベーションに成功するには、3つの心得が必要だという。いずれも当たり前のことでありながら、しばしば無視される。 第一に、集中しなければならない。複数の異なる分野でイノベーションに成功することはほとんどない。あのトーマス・エジソンさえ、発明を発明したといわれるほど発明の方法論に通暁しながら、電気の分野でしかイノベーションを行なわなかった。 イノベーシ
巨匠ピーター・ドラッカーと、その後継者と目されているジム・コリンズの二人の偉大なるビジネス・シンカーを取材した唯一の日本人といわれているのが、ジャーナリスト・翻訳家の牧野洋氏。 米国西海岸に在住する同氏は、ジム・コリンズの最新作である『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』(原題はGREAT BY CHOICE:UNCERTAINTY,CHAOS,AND LUCK――Why some thrive despite them all、日経BP社)を翻訳・出版した。 コリンズは激しく変化する不確実な時代に他を圧して成長している7社を取り上げ10X型企業と名づけた。それらの企業やその指導者である10X型リーダーの性格をライバル企業との比較で描いている。 牧野氏は、マネジメント思想におけるドラッカーとコリンズの位置づけについて、同書に解説を執筆した。タイトルは「コリンズとドラッカー」
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言 マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。 バックナンバー一覧 「意思決定には守るべきルールがある。重要なことで容易にコンセンサスを得られたときには、そのまま決定を行ってはならないというルールである。諸手を挙げての同意は、何も考えていないことを意味する」(『経営者に贈る5つの質問』) 問題は、すべて複雑である。あらゆるものが、あらゆるものに、複雑に絡み合っている。あらゆる視点から見るには、あらゆる異論を必要とする。 そもそも、簡単な因果律で全容を明らかにできるような単純な問題は、経営会議の議題にはなっていない。 一つの事実を与えられればもう一つの事実が明らかとなり、やがて論理の力によってすべてが明らかにされる─。近代合理主義は、科学技術の発展を通じて
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