2025-01-09

葬式

2025年1月9日

朝8時、遺影を見つめる。スーツの襟が窮屈だ。昨日まで会社廊下会釈を交わしていた友が、今日は白木の箱の中にいる。

10時、葬儀が始まる。彼の息子は小学生。胸ポケットから折り鶴を取り出しては、泣きじゃくっている。隣で妻が黒いハンカチを握りしめている。数日前のLINEで「今度飲もう」と約束したばかりなのに。

13時、火葬場。煙が空に消えていくのを見送りながら、会社の後輩が「昨日も普通に仕事してたのに」と呟いた。確かに彼は、最期まで仕事メールを送っていた。

15時、骨上げ。箸から箸へ。白い骨が、かつての友の形を留めている。「パパの背骨だよ」と息子に教えてあげたくて、でも声が出なかった。

19時、自宅に戻る。スマホの連絡先から、彼の名前を消そうとして、どうしても指が動かない。LINE最後メッセージ「また今度な」が、まだ未読のまま残っている。

明日からまた、日常が始まる。でも、誰かの日常永遠に終わってしまった今日は、どうしても終わらせたくない夜になった。

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