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 2025年度政府予算案の公共事業関係費は、12年連続で6兆円を超える水準を維持した。国土強靱(きょうじん)化関連には24年度当初予算比0.9%増の4兆円を計上。24年1月の能登半島地震を受け、防災に関する様々な新規事業を創設する。ただし、少数与党となった国会で予算案がそのまま成立するかは不透明だ。

公共事業関係費の推移。当初予算は12年連続で約6兆円維持へ(出所:財務省の資料を基に日経クロステックが作成)
公共事業関係費の推移。当初予算は12年連続で約6兆円維持へ(出所:財務省の資料を基に日経クロステックが作成)
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 政府は24年12月27日、一般会計総額115兆円5415億円となる25年度予算案を閣議決定した。24年度当初予算を2兆9698億円上回り、3年連続で110兆円を超えた。

 公共事業関係費は24年度当初予算から30億円増の6兆858億円と、12年連続で6兆円を安定的に維持。このうち国土強靱化には0.9%増の4兆706億円を計上した。

 国土交通省関係の一般会計総額は、24年度とほぼ同額の5兆9528億円とした。同省所管の公共事業関係費は5兆2753億円で、同じくほぼ横ばいだ。これとは別に、地方創生につながる地域独自の取り組みを後押しする「新しい地方経済・生活環境創生交付金」を、国交省所管の公共事業関係費として598億円交付する。

2025年度の国土交通省関係の予算案。国土交通省関係予算は前年並みに。「増減率」は24年度当初予算に対する割合(出所:国交省の資料を基に日経クロステックが作成)
2025年度の国土交通省関係の予算案。国土交通省関係予算は前年並みに。「増減率」は24年度当初予算に対する割合(出所:国交省の資料を基に日経クロステックが作成)
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急所施設の耐震化費を補助

 

 国交省は25年度予算案の作成に当たり、「国民の安全・安心の確保」「持続的な経済成長の実現」「個性を生かした地域づくりと分散型国づくり」の3本柱を掲げた。24年1月の能登半島地震を踏まえ、防災・減災に向けた新施策を盛り込む。

2025年度予算案の国土交通省関係の主な事業。地震対策に2032億円を計上。カッコ内は24年度当初予算に対する比率 (出所:国交省の資料を基に日経クロステックが作成)
2025年度予算案の国土交通省関係の主な事業。地震対策に2032億円を計上。カッコ内は24年度当初予算に対する比率 (出所:国交省の資料を基に日経クロステックが作成)
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 例えば、上下水道は25年度予算案で、「水道施設整備費・下水道事業費など(個別補助金)」に24年度当初予算比22.7%増の1383億円を計上した。「水道基幹施設耐震化事業」を創設し、浄水場や送水管などの「急所施設」の耐震化にかかる工事費を個別補助する。能登半島地震では、耐震化されていなかった急所施設が破損し、下流側の管に水を送れなくなる事態が多発した。

石川県輪島市で地震によって破損した送水管を撤去する様子(写真:横浜市)
石川県輪島市で地震によって破損した送水管を撤去する様子(写真:横浜市)
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 さらに、災害時の代替水源確保に向け、都道府県と水資源機構を対象に、可搬式浄水施設の整備にかかる費用を個別補助する「水道広域的災害対応支援事業」を創設する。能登半島地震では、可搬式浄水施設を用いて水供給の早期再開につなげた。