【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#593】アモモンゴは、フィリピンで目撃された獣人型UMAだ。通常の人間と同じくらいのサイズで、毛深く長い爪を持った類人猿のような存在であると言われており、その名前はフィリピンの西ビサヤ地方で話されるヒリガイノン語で「猿」を意味するamoに由来するという。

 その目撃は2000年代に入ってから報告されており、地元では人間が襲われたり、動物の腹が切り裂かれたりといった事件にて、人間サイズの謎の生物の目撃が報告されたことで住民たちを恐怖に陥れた。

 2008年6月の9日と10日、サガン地区にてエリアス・ガルベスとサルバドール・アギラールの両者がそれぞれ別日に、「長い爪を持った毛むくじゃらの生物」に襲われたとアルベルト・ニコル市長および警察署に届け出た。アギラールは、襲われた際に体中を引っかかれてしまったために病院で治療を受け、一方ガルベスは襲われたものの仲間たちの助けもあって難を逃れたとのこと。この事件は、ニコル市長によって6月12日付のデーリー・スター紙にて語られ、世間に知られるようになった。

 この襲撃事件の前月には、現地でニワトリやヤギが襲われる事件が発生しており、しかもヤギについては腹を引き裂かれて腸が食べられていたとの不気味な報告もなされていた。現地で調査を続けているルディ・トーレス警部によれば、アモモンゴは警備員が不在となっている場所や軍事的な組織のある場所を避けて襲うのだという。トレースは、住民たちに夜間の外出時は警戒するよう強く呼びかけ、ガルベスとアギラールの襲撃からほどなくして、夜間に外を出歩く住民たちは1人もいなくなったと言われている。

 とはいえ、住民たちが安心できないことに変わりはなかった。そのため、住民たちからはエサでおびき寄せて捕獲してほしいという要望が相次いだという。また、その地区は多数の洞窟が確認されているカンラオン山の麓に位置していたことから、そこにアモモンゴが潜んでいるのではないかとも考えられた。

 地元警察が、アモモンゴを目撃した際には即通報するようにとサガン地区の住人に勧告すると、6月の襲撃事件以来、多くの住民が襲われたと報告をしたという。しかし、警察署長のテディ・ベレスはこの謎の生物アモモンゴを単なる野生のサルにすぎないのではないかとの見解を示し、襲われたアギラールの報告も野生のサルに襲われたことによる負傷ではないかと述べた。

 一方でベレスは、その生物の生息域が人間によって乱されてしまったことで、山の食糧にありつけず、飢えに苦しんだ末に人間たちを襲っているのではないかとも考え、じゅうぶんに警戒をするよう呼び掛けた。市長は、なるべく冷静な態度でいるよう住民たちに忠告する一方で、アモモンゴに襲われそうになった際に戦えるような武器を用意しておくことも呼びかけたという。

 アモモンゴの目撃報告は、2008年の彼らの報告以外に具体的なものがなく、またこれ以降目撃・強襲の報告も確認できていない。一説には、ビッグフットをはじめとした世界各地の獣人UMAの特徴が混在した捏造生物ではないかとも考えられている。

 2人の人間にそれぞれ襲いかかったという謎の生物は一体何者だったのだろうか。そして、アモモンゴが再び現れることは今後あるのだろうか。

【参考記事】
https://cryptidz.fandom.com/wiki/Amomongo