レッドソックス・上沢直之投手(30)がDFA(メジャー昇格の前提となるMLBロースター40人枠から外される措置)となってから、2日が経過した。

 レッドソックス側が9日(日本時間10日)に発表した今回のDFAはトレイ・ウィンゲンター投手(30)をメジャー昇格させるため、上沢を40人枠から外したもので「事実上の戦力外」と言える。上沢は今後、ウエーバーで獲得を希望する球団がなければ自由契約やマイナー降格などの措置が決まることになる。

 上沢は昨オフに日本ハムからポスティングシステムでMLB移籍を試み、レイズとマイナー契約を締結。3月にレッドソックスへ移籍した。5月2日にメジャーデビューを果たしたが、同8日に傘下3Aウースターへ降格。3Aでは13試合に登板し3勝3敗、防御率6・54と十分なアピールができなかった。

 獲得を希望する球団が現れるかは、ここまで実力を発揮できていないだけに不透明。オファーがない場合は自由契約となってあらためて粘り強くMLBで移籍球団を探すか、レッドソックスに残ったままマイナー降格を受け入れるか、あるいはNPB復帰という選択肢も出てくる。

 いずれにしてもマイナーからのメジャー昇格を覚悟して渡米したことから今季いっぱいは米国に残る選択をしたとしても、上沢には快く送り出してくれた古巣・日本ハムを含めNPB復帰という〝受け皿〟がある。これは近年において、MLBを目指す日本人チャレンジャーたちにとっても心強いことだろう。

 あるメジャー関係者は「野茂英雄やイチロー、松井秀喜が渡米した頃は日本人プレーヤーがまだ海のものか山のものか、MLBにとっても分からない時代だった。彼らは一様に退路を断って本物の挑戦者として渡米した。彼らの活躍があり、また多くの〝サンプル〟が出揃ってMLB側の事前の評価が、そう大きく外れない時代になった。特に投手に対する評価と需要が高い現状を見ると、上沢や藤浪晋太郎(メッツ傘下3A)のような〝カジュアルな挑戦者〟は今後も減ることはないと思う」と解説。

 夢をかなえるための渡米で例え夢破れても、日本球界から渡米前とそう変わらぬ評価でまたプレーする場所が与えられる――。いわば、ほぼ〝ノーリスク〟なメジャー挑戦の時代というわけだ。

 しかし俯瞰(ふかん)してみると、こうした流れはすでに日本球界がMLBの〝3A化〟を実質的に受け入れてしまっていることの証左とも言えるだろう。