【王将戦】終盤の△6四角が決め手に 藤井王将 長い中盤戦に耐え好機逃さず終止符

[ 2024年1月9日 05:08 ]

第73期ALSOK杯王将戦第1局第2日 ( 2024年1月8日    栃木県大田原市・ホテル花月 )

王将戦第1局第2日・A図
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 【関口武史 明暗この一手】菅井の封じ手は▲4七飛。自陣を整える手を選択すると31分の考慮で△8六歩と藤井から戦いを起こした。一気に敵陣を攻略するのではなく▲6六銀を強要。2度目の駒組みを目指す高等戦術で、中盤は菅井の左銀の働きを巡る戦いとなった。

 菅井が▲5六歩~▲5五歩と前進を目指すが、藤井の△4四角~△3五角が銀の裏を突く活用でそれを許さない。対して菅井は▲5七銀と引きさらに▲3六歩~▲4八銀と自陣に引き付けバランスを保つ。午後4時を過ぎ、お互いの自陣に4枚の金銀が密集する長い中盤戦が続いた。80手目の藤井が△8七歩と垂らし再び戦火は王から遠い8筋で上がった。

 ここからの両者の歩の使い方はまさに秘術を尽くした攻防で、△8八歩成に手抜いての▲7三歩が菅井の勝負手。選択肢の広い局面をつくり藤井の持ち時間を削る。秒読みに追い込まれた藤井が放った△5七歩は菅井陣を揺さぶる問いかけで、菅井に攻防の選択権を委ねる勝負術。クライマックスは菅井の▲5四歩~▲4四歩の垂らし。飛車を見捨てる強烈な手順で、藤井が飛車を取ると▲5三歩成から4筋にと金を量産して食いつく狙いだ。

 だが藤井はさらに上をいく。△6四角(A図)の攻防手が激戦に終止符を打つ好手。対して▲5三歩成とと金をつくると、△5九飛が継続した一手。攻めては△3九飛成、受けては△5三飛成があり先手の収拾がつかない。藤井が長い中盤戦を耐え抜き、一瞬のチャンスを逃さず開幕戦を制した。(本紙観戦記者)

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