窓を開ければ 脚本家・辻真先
窓を開ければ 脚本家・辻真先
窓を開ければ港が見える。メリケン波止場ではない。ぼくがここ30年来住みついている熱海市の港だ。定期航路は初島往復くらいの港だが、東日本大震災のときは賑(にぎ)わった。碇泊(ていはく)中の小型船やレジャーボートが、津波で陸へ打ち上げられまいと逃げだし、沸き立ったのだ。
それは例外として、ふだんは穏やかな眺めである。ぼくが定位置にしているロッキングチェアから立てば、眼下をレールがなん本ものびていて、…
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